2000年5月30日、アランフェスの結果

エル・フリ、プエルタ・グランデ。フィニート、モランテ、耳1枚。
ファン・ペドロ・ドメクの牛にしては悪かった。

por 斎藤祐司

 完成のアランフェス。ファン・ペドロ・ドメク牧場。フィニート・デ・コルドバ、モランテ・デ・ラ・プエブラ、エル・フリ。ソルの1列目で見る。大体満員。

 フィニート・デ・コルドバは、2頭目で耳を切った。初めに牛はパセの後に、角をアレナに刺して転ぶバランスの悪い牛だった。良いナトゥラルなどを見せたが剣がピンチャソじゃ耳は取れない。2頭目は、ブルラデラに角を突く牛だった。シンプルなベロニカを決めてゆっくりとしたメディア・ベロニカを2回、ラルガを決めオーレを拍手が鳴った。牛はパセの後、すぐ振り向く牛だった。ピカは左側に入った。バンデリージャが打たれると走り回りカポーテで止めようとすると、膝を着いた。ムレタでは、牛を我慢強くパセを丁寧に繋ぎ角度のあるパセ・デ・ペチョを決めて喝采を浴びた。両手のパセとも手が低い良いパセだった。スエルテ・コントラリアでピンちゃっそ1回。これからバホナッソで決まって耳1枚。

 フィニートが場内一周していると5歳くらいの女の子が花を渡した。それからフィニートについて1/4周アレナを廻った。フィニートが観客からの帽子を返しにタブラに近づくとその女の子もフィニートにくっついて歩くので、場内が和やかな笑いに包まれた。最後に女の子にフィニートがキスしてカジェホンの中に帰っていった。

 モランテ・デ・ラ・プエブラは、1頭目の剣刺しを決めていたら、耳を取っていただろう。両手とも手の低い長いパセを繋いでいたが、牛が動かなかったので思ったほど盛り上がらなかった。後半は、シルクラール、モリネーテ、パセ・デ・ペチョと繋いで観客を沸かせた。剣は、レシビエンドを試みたが牛が動かなかった。彼は左手のムレタを尻より後ろまで引いてから牛に向かってムレタをもう1度出したがそれでも牛は動かなかった。仕方ないので、ボラピエで刺しに行った。決まったかに見えたが剣の先が腹から出ていたので観客はガッカリした。

 2頭目では、シンプルなベロニカを繋ぎ、ゆっくりした綺麗なベロニカを2回決めるとオーレと喝采がなった。パセの後、馬の前で牛が膝を着いた。ピカは、右に入った。牛の動きが悪い。ムレタでは、中央で腰の入った手の低いナトゥラルを、右足を中心ににして左足を一歩引いて何度も繋ぐとオーレがなり場内が興奮した。パセ・デ・ペチョをすると牛は膝を着いてしまった。

 それからも、丁寧にパセを繋いだがあまり盛り上がらなかった。モランテの美しいパセが帰って悲しく見えた。モランテは真面目な闘牛士なので忍耐強く牛を動かし続け、スエルテ・ナトゥラルで完璧な剣を決めた。右手を高々と上げてバンデリジェーロにカポーテを振らなくても倒れると合図を送り、観客に訴えた。隣の爺さんに、「完璧だね」というと、爺さんは、「そうだよ」と言った。耳1枚。あんなに完璧なのも珍しい。

 エル・フリは、元気の良いところを見せた。1頭目の牛では、ラルガ・カンビアールを3回続けると観客はオーレを叫んだ。それからベロニカを繋ぎ、ラルガを決めた。チクエリナの連続で馬に持っていき、ピカは、左に入った。キーテは、膝を着いたチクエリナを繋ぎオーレを叫ばせた。が、コヒーダされた。手首に辺りを刺されたようだった。助けられてからまた、膝を着いたチクエリナを続けると観客は興奮してオーレを叫んだ。バンデリージャも自分で打って盛り上げた。

 ムレタでは、牛はあまり動かなかった。パセが途中で切れることが多かった。体を突きに来たりもした。危なかったがクルサードして丁寧にパセを綴った。牛に直ぐ近くでクルサードして体の後ろでムレタを振って牛の動きを確認してパセをしていた。尻の方までムレタを動かしてのパセも通した。剣はピンチャソの後バホナッソで決まったが耳1枚出た。

 2頭目は、もっと動かない牛だった。逃げる牛を剣やムレタで挑発してパセを繋いだ。後半で、クルサードしていると牛が後ろに下がって行くと、クルサードしながら牛の30cmの距離を保ちながらそれを追いかけて行った。観客はそれを観て喝采を送った。剣は、バホナッソだったが耳1枚出た。もう1枚観客は要求したがバルコニーに座っていたプレシデンテは口を、ノーと動かしているのが見えた。

 フリは、元気が良かった。パセを繋ぐと興奮して顔を赤くしていた。結構激情型かも知れない。ホセ・トマスの闘牛を観た後だと、どうしても、自己アピールが強すぎて着いていけない。決して悪い闘牛じゃないけど・・・。

 フィニートも牛に恵まれなくて今ひとつだった。パセ・デ・ペチョの映像が目に残っている。それと、あの女の子と。モランテは、牛にアルテを殺されていた。顎を引いて腰を入れた足を伸ばしたパセは、最も美しいパセだ。剣刺しの凄さが印象に残った。

 それと期待していたファン・ペドロ・ドメクだったが、ガッカリした。今日は3人がプエルタ・グランデをさせる牛を出さなきゃ。


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