99年4月30日、サン・セバスティアンのフェスティバル闘牛

ホセ・トマス完璧に近いファエナ、完璧に近い剣刺しで耳2枚。
ポンセ、コルドベス耳1枚。

por 斎藤祐司

 牛、ファン・マヌエル・クリアド。騎馬闘牛士、パブロ・エルモソ・デ・メンドーサ、闘牛士、パコ・オヘダ、セサル・リンコン、エンリケ・ポンセ、マヌエル・ディアス“エル・コルドベス”、ホセ・トマス、ミゲル・アベジャン。

 

 1頭目、メンドーサ。騎馬闘牛は良く分からない。何が良いのかも。でも、メンドーサはアンディー・カルタヘナと共に最近売り出し中の騎馬闘牛士。なかなか見せてくれる。まずまずの仕事をしたが、剣が半分しか刺さらないのに牛は倒れた。耳の要求が観客からあったが耳は出なかった。ブエルタ。プレシデンテに対して観客から大きな抗議があった。

 2頭目、パコ。今は騎馬闘牛士をやっているが、80年代を代表する闘牛士。牛はよく膝を着く。ピカは両肩の間、背中の所に入った。キーテはチクエリナ2発にラルガ。足を引いてパセしている。バンデリージャは角の間で撃っていた。パセは往年の鋭さがない。腰が引けている。しかし、パセを重ねるごとに近場でクルサードする。それでも牛は動かない。パコは牛の頭に左手を置いてクルサードしてパセをし観客を沸かせる。が、音楽は鳴らなかった。剣はスエルテ・ナトゥラルでピンチャソ・オンダ。2回目に良い剣が刺さった。

 3頭目、セサル。難しい牛が出てきた。左右のパセどちらも危ない。それでもホセ・トマス並みにクルサードしていた。音楽が鳴った。セサルはこの難しい牛で何とかパセをやろうと努力した。が、直ぐにブスカンドする牛なのでどうにもならなかった。剣はピンチャソ1回の後、良い剣が入った。デスカベジョ1回。

 4頭目、ポンセ。良い牛が出てきた。ピカは左肩上に入るが刺し変えて背骨よりに入れる。マリアノのバンデリージャは、2回ともトロ・パサードだ。でも人気があるので拍手を受ける。牛は観客に捧げられた。いつものことだがピコでパセをして観客を沸かせる。パセ・デ・ペチョは脇が開いている。これもいつものこと。牛を動かしているので音楽が鳴る。膝をよく着く牛。スエルテ・ナトゥラルで剣を1発で刺す。デスカベジョ2回。白いハンカチが揺れる。隣のおじさんがデスカベジョ2回で耳を出すな。といっていたが、1枚出る。牛が良かった。

 5頭目、コルドベス。ベロニカのパセの時、足が流れる。ピカは肩より後ろに入った。問題あり。バンデリージャは5本刺さった。ムレタではロディージャ(両膝を着いたパセ)で3発、パセ・デ・ペチョは脇が開いているが、観客は喜んでいる。アレナ中央で牛を誘い右手でパセ。が、これが危ない。ナトゥラルは危なくない。ムレタを角にはらわれる。クルサードが足りないナトゥラルが続く。右手のパセはピコ(先端)で牛を動かして拍手を受ける。観客は大喜びだ。牛が危ないので仕方ない。ナトゥラルで牛を廻す。巻き込むように牛が来てコヒーダされる。が、立ち上がって牛の頭にキス、尻に抱きつきキス。大喝采。これはパセの素晴らしさで受けているわけじゃない。ロディージャのモリネーテからカエル飛びの連発。「オーレ」の合唱。大きな抗議の口笛も鳴る。剣はバホナソ。牛が直ぐ倒れたので観客は耳を要求した。バホナソだから牛がすぐ倒れたもになぁ。耳1枚。2枚目も要求していた。次の牛がなかなか出てこなかったので中年女性がプレシデンテの所に行って何故耳を出さないのか白ハンカチを振っていた。あの人は他の観客からは応援を貰っていたが基本的に闘牛を知らない人 。でも、こういう人も居なければ闘牛は成り立たないのだ。

 6頭目、ホセ・トマス。牛良い。ブルラデーラを角で突かない。しかし、ケレンシアに問題あり。近場でチクエリナ2発、ラルガ。完璧に近いランセだった。右手左手両方でクルサードして牛を動かす。牛も良い。パセの時手が伸びきった時の腰のそり方、胸の張り方は凄い。コルドベスと違ってこれこそ闘牛だ。あまり闘牛が良すぎて写真ばかり撮って文章が書けない。完璧な剣刺し、当然の耳2枚。ホセ・トマス、サン・イシドロが待ってるぜ。

 7頭目、アベジャン。牛が悪い。パセは左側を通せない。直ぐ膝を着く。右も危ないかも知れない。カポーテでチクエリナ、裏側でのパセで、観客を引きつけるが牛が悪くファエナにならなかった。コヒーダされたが大丈夫だった。ピンチャソの後、剣を決めるが、バホナソ気味に入った。


 ホセ・トマスが最高の闘牛を見せた。セサルは牛が悪く駄目だった。アベジャンはもっと駄目だった。

 マドリードに戻ってきて30日のノビジェーロを観る。エル・ファンディが耳1枚取る。こいつファエナはまだ味がないがバンデリージャ撃ちは、エル・ソロを彷彿させる。なかなかの技量だ。これから化けるかも知れない闘牛士だ。


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