イバン・ガルシアがやる気を見せた。ダメ、ルギジャーノ、角を間違えているクーロ・ディアス。

2006年4月30日マドリード、ラス・ベンタス(第1級)闘牛場の結果。

 晴れ初めはTシャツでも暑いが日が暮れると風が吹き肌寒い。フェルミン・ボオルケス牧場の牛(Procedencia actual=現在の起源<基の血統>、バルタサル・イバン牧場)。闘牛士、ダビ・ルギジャーノ、クーロ・ディアス、イバン・ガルシア。プレシデンテ、フリオ・マルティネス・モレノ。5割くらいの入り。ソンブラのアンダナーダにてKadoyanと観戦する。開始18時30分、20時37頃終了。

 ダビ・ルギジャーノは、改名してダメ・ルギジャーノになったようだ。初めの牛は本当に非道いもんだった。ムレタを1分くらいしか持っていなかった。直ぐに剣を代えてバホナッソで斜めに剣を刺しデスカベジョが6回。口笛が吹かれた。2頭目の牛は、少しはやる気を見せてベロニカを繋ぐが牛が動かない。モンテラまで投げてベロニカをするが、腰が引けたパセを繋いでいた。ブリンディースを観客にしてファエナを始めた。アレナ中央から牛を誘いデレチャッソで牛をパセして観客を少し沸かせたが、牛も悪く続かない。パセの時に腰も揺れる。やる気を出しているのが判るんだけど、ダメな闘牛の典型。

 クーロ・ディアスは、セビージャで犯した間違いを今回も犯した。彼は右手のパセが好きなのだろうが、牛は左利きで左角でパセを繋ぎべき所を右角でパセを通すから当然牛がダメになる。初めの牛も2頭目の牛も同じような物だった。年回5回も闘牛が出来なかった闘牛士がサン・イシドロで活躍して30回以上できるようになったときに、それまで努力を積み重ねてきていなかったからだろうが、地方の闘牛場でも活躍できず、去年は9回しか闘牛をやっていない。やらなければならないところを努力していないとダメだ。どうでも良い努力など必要ない。人生にはそういう努力も確かに必要だ。しかし、事闘牛に関しては、どうでも良い努力はいらないのだ。

 2頭目の牛の時に、角を間違えているが丁寧にパセを繋いでいた。トゥリンチェラでは牛は最後までムレタを追ってパセが長かった。剣を代えて、アジュダード・ポル・バッホを膝を折って繋いだ。しかし、スエルテ・コントラリアで牛を置いて剣を刺し行ったら、空振りしてアレナの倒れた。みっともない。昔耳のファエナをやったエンカボが同じ事をやって耳をなくしたことがあった。ドジだ。そのあと、カイーダで決めて牛が倒れて挨拶した。

 イバン・ガルシアは、初めの牛で観客が耳を要求した。僕は観ていて耳ではないと思った。だから彼も場内1周をしなかった。それ自体が二流闘牛士ではなく一流闘牛士になる資質を持っていることを表していると僕は思う。それでも、彼は彼の闘牛のスタイルを貫き通した。初めの牛はベロニカをすると、左角では首を横に振りながら通り、右角の方では、首を上に振るようにして飛ぶような感じてパセが通っていた。ピカは、左後ろに入った。キーテは、体に近くを牛を通すチクエリナ3回メディア・ベロニカを決めると拍手がなった。良い仕事だ。

 次のピカは、遠くから呼んで右前に入った。ピカドールへ拍手が送られる。バンデリージャは自分自身で打った。右に走り2回角間で打った。3回目は左に走り角間で打って牛を追わせて止め、拍手を受けた。ファエナは、アレナの内側で膝を折ったデレチャッソから始めた。クルサードして2回パセを繋いだ。牛が動かない。またクルサードして2回パセを通してパセ・デ・ペチョ。拍手がなる。右角だと牛が首を上に振るようにしてパセが通る。難しい。良いパセを引き出せない。デレチャッソからパセ・デ・ペチョ。離れナトゥラルからファロール、パセ・デ・ペチョ。拍手がなる。ナトゥラルの方がパセが短くメディア・パセになっている。牛の動きが止まり、デレチャッソに変えても動きが悪い。クルサードして2回パセを通したが牛が止まった。剣を代えて、スエルテ・コントラリアでカイーダで決まり牛が直ぐ倒れた。弱い耳要求が起きたが当然耳は出なかった。観客からの拍手を受けカジェーホンから手を振って挨拶していたが拍手が大きくなりやまなったかったので、アレナに出てきて挨拶した。場内1周はしないかった。

 この日のフェルミン・ボオルケス牧場の牛は最悪だった。殆ど良い牛が出てこない。パセをすると直ぐ膝を着く、よたよたしている。牛に力がないからパセが長く繋がらない。やる気がない。マンソ。パセのあとの返りが早い。頭を下げないと色々非道かった。良くもこれだけ悪い牛を出したもんだ。それでも、イバン・ガルシアがやる気見せたし、ちゃんとした闘牛をやっていた。何とか上に上がっていこうという意志が感じられる。

 しかし、ダビ・ルギジャーノはアルテルナティーバをしてもう15年。アルテ系の闘牛士として期待を受けていた時期もあったが、今は昔の話。今居る状況から抜けだろうとか言う気を感じられない。ここまま、ローカル闘牛士で終わるぞ!下山さんに、ダビ・ルギジャーノは終わったと言ったら、始まってもいないから、終わってもいない、と、言っていた。でも、一応ラス・ベンタス闘牛場で2回プエルタ・グランデし損なっているのだ。あの頃の輝きは全くないのだ。クーロ・ディアスはいつも右からパセを始めるけど、牛が左利きでも右でパセを繋ぐ。それで牛をダメにしている。その繰り返しが多い。何年か前に苦節10年で、良いファエナをサン・イシドロでやって注目を集めたが、牛の扱い方が全く判っていない。これでは、ダメだよなぁ。

 本当は、ルギジャーノにしろ、クーロ・ディアスにしろ活躍して欲しい闘牛士だけど、そんな望みは捨てた方が良いようだ。唯一期待出るのが、サン・イシドロにも出場するイバン・ガルシアだけだった。希望を持って闘牛をやっているし、その希望が現実になることを祈りたい。


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