牛は悪かったが、アンベル・ポサダが観客を沸かせた。

2005年4月30日マドリード、ラス・ベンタス(第1級)闘牛場の結果。

 快晴。Tシャツでもソルでは暑い。おい夏だぜという闘牛観戦日より。帽子がなくては暑いのと見づらい。ロマン・ソランド牧場の牛(Procedencia actual=現在の起源<基の血統>、ファン・ペドロ・ドメク牧場)。2頭目の牛が交換し、ソブレロはエル・カオソ牧場の若牛。見習い闘牛士、アンベル・ポサダ、アルバロ・フスト、アレハンドロ・モリジャ。観客は1/3弱。今年からフェラ・デ・アボノなので観客は激減。しかし、通常の日曜日に比べれば多い。ソルのアンダナーダにて、観戦する。開始18時半。終了は記録せず。

 アンベル・ポサダは、初めの牛の時は悪くないと思ったが、剣刺しが非道い。カイーダでアトラベサーダ。弱い耳要求があったが口笛を吹かれた。牛が悪いせいもあるが、ムレタを角ではらわれていた事が気になる。右手から左手にムレタを代えながらパセをするのも綺麗、ナトゥラルも良かった。剣を代えてからの一連のパセ、アジュダード・ポル・バッホは今一盛り上がりに欠けた。剣が悪かったが挨拶。

 4頭目は、初めの牛のファエナより良かった。ベロニカを繋ぐと、「オーレ」がなった。レマテは、なんとナバラ。ビックリした。拍手がなったが牛はパセで後ろ脚が余計悪くなった。ピカは2回とも左後ろに入って、牛が離れると2回とも膝を着いた。ファエナはアレナ中でデレチャッソから初めパセ・デ・ペチョをすると牛が膝を着いた。脚が弱いから仕方ないが大事にパセしないとつぶれる牛だ。クルサードしてデレチャッソを3回繋ぎパセ・デ・ペチョ。離れクルサードして手の低い長いナトゥラル2回繋がったが、牛が膝を着いた。もう一度クルサードしてナトゥラルを繋ぐ。彼はナトゥラルが良い。しかし、牛が悪すぎる。手の低いパセをするとつぶれるのだ。ファエナの初めで手の高さはそんなに高くなかった。つまり、メディア・アルトゥーラでやっていた。一応は手順を踏んで手を低くしているがそれでも牛がつぶれるのだ。

 トゥリンチェラをして場所を移動した。こういうところが疑問だ。脚の弱い牛でこういう事を繰り返すと牛は益々動かなくなるからだ。アレナ中央でナトゥラルを2回、クルサードし直してナトゥラルを繋ぎトゥリンチェラ、パセ・デ・ペチョ。拍手がなる。離れナトゥラルを3回繋ぐと牛は体の近くを通るようになりパセの後の返りが早くなった。それでもモリネーテをする。無謀だ。自分がやりたいパセを繋ごうとする若さ。牛の特性を生かそうとしない。ナトゥラルを繋ぎパセ・デ・ペチョで剣を代えた。スエルテ・コントラリアでバホナッソ。口笛が鳴る。デスカベジョ1回で弱い耳要求。耳は当然出ずに挨拶。まだまだ足りない物がある。それをアレナの中で考え、表現できなければ厳しい現実が待っているだけだ。

 アルバロ・フストのバンデリジェーロは、アルベルト・マルティネス(元ビセンテ・バレラ、去年のファンディ)と、ビクトル・ウーゴ(元ホセリート)の所に付いていた2人がいたのにはビックリした。この2人なら、有名闘牛士についてもおかしくない。それをあえて付けているところに彼への期待度を感じた。しかし、良い物は持っているが実力不足だ。角2本クルサードしてナトゥラルを繋ぐ所は良い。右角がブスカンドしているとナトゥラルに代えるところも良い。でも、牛を判っていない。牛の特性を生かすと言うことがどれほど大変なことなのか彼は実感しているだろう。剣刺しでも構えているときから、牛の正面に立っていない。これじゃ良い剣が刺せないだろう。

 アレハンドロ・モリジャは、3頭目時はクルサード不足が目立った。しかし、最後の牛の時は、コロカシオン(立ち位置)が良かった。だが、無駄な場所の移動をしたり、ムレタを牛にはらわれていたり、剣刺しの時の牛の置き方が悪かったり、剣刺しも悪かった。

 総じて今日の見習い闘牛士は力量不足。闘牛士としても個性、特徴をどれだけ沢山観客に印象づけアピールできるかが、1流闘牛士になれる条件だ。そういう物が不足している。牛も悪かったが、見習い闘牛士も悪かった。


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