牛が悪いのに命賭けのロブレニョ剣で耳が消え、フェルナンド・セペダは何もせずモヌメンタル・ブロンカと座布団の雨が降る。

2005年5月2日マドリード、ラス・ベンタス(第1級)闘牛場の結果。

 晴れ。日が沈んだら風が肌寒かった。上着が必要だ。コンデ・デ・ラ・コルテ(3頭目、4頭目)、マリア・オレア・ビジャヌエバ(1頭目、2頭目、5頭目、6頭目)牧場の牛(Procedencia actual=現在の起源<基の血統>、両牧場ともコンデ・デ・ラ・コルテ牧場)。ソブレロ、1頭目、エル・セラノ牧場。2頭目、ドミンゲス・カマチョ牧場。闘牛士、フェルナンド・セペダ、ウセダ・レアル、フェルナンド・ロブレニョ。5月2日ゴヤ闘牛の日なので観客は8割くらいに増えた。ソルのテンディド7アルトにて、観戦する。開始18時半。終了は記録せず。テレマドリードでTV中継があった。

 フェルナンド・セペダは、何しにまた出てきたわけ?ここに出てくるからにはそれなりの覚悟と準備が必要だろう。そんな物は何もなかったような物では出てくる意味は何処にもないじゃないか。1頭目の牛は、デレチャッソをするとブスカンドした。だからナトゥラルに代えた。でも、牛が悪かったから動かなかった。それで剣刺し。それは不満だけど理屈は判る。良しとしよう。

 でも、許せないのが4頭目だ。ふざけるなよ!エル・チャノが良いバンデリージャを2回決めて喝采に応えて観客に挨拶をした後、ムレタをまともに何回振ったんだ。膝を折ったデレチャッソをすると牛はブスカンドした。危ない。そんなの観れば判る。それなら、ナトゥラルをやれよ。右の角が体の方に来るから、もう出来ません。は、許されないだろう。左角で1回も試さないで剣を代え、牛の前でムレタを赤旗のように振っているだけかよ。お前はコミュニストか?

 20世紀前半のスペインのコミュニストは命賭けで赤旗を振ったぞ!罵声、口笛が沢山なる。当たり前だ。同情の余地なし。ピンチャッソ2回の後、剣が空振り。笑いと激怒が観客席に起こった。それからカイーダで決まり、また口笛と罵声が飛ぶ。牛が座ったが、プンティージャで立ち上がり、アビソがなる。なかなかやらなかったデスカベジョは6回失敗。観客が、ウノ、ドスとカウントを数える。その度に罵声と口笛が飛ぶ。ようやく決まった後に、闘牛場が一斉にブーイングと口笛を鳴らした。それでも足りないくらいだ。チョリソ!カポーテの王様、ナトゥラルが良かったから昔は、ホセリートがライバルと言っていた男がこれかよ。余りにも情けなくないか?

 ウセダ・レアルは、2頭目も5頭目も牛が悪くて牛を交換した。2頭目の代わった牛のベロニカで観客を沸かせた。ファエナの始まりは膝を折ったデレチャッソをすると2回目にムレタを角に取られた。アレナの内側へ行きクルサードして長いパセが2回繋がったが牛が膝を着いた。この牛も良くない。それからクルサードしてパセを繋ぐことを繰り返した。根気よくクルサードを繰り返して牛を何とか動かそうと努力していた。しかし、ムレタを角はらわれたり、膝を着いたり、おまけの風が吹いたりでファエナは盛り上がらなかった。ナトゥラルをしてもパセが短く危なかった。仕様がなしに剣を代えて牛を置こうとムレタを振ると牛が座った。口笛が鳴る。非道い牛だ。スエルテ・コントラリアで剣は決まったがテンディダだった。5頭目の代わった牛はもっと非道くパセを何度も繋げるような牛ではなかった。

 フェルナンド・ロブレニョは、命賭けだ。また、昔のフェルナンドが帰ってきた。セビージャのフェルナンド(セペダ)とは大違いだ。3頭目の牛は、ポルタガジョーラから始めた。ファエナは、遠目から牛を呼んでデレチャッソを3回繋ぐとブスカンドした。それでもひるまずデレチャッソをクルサードして繋ぐ。また、ブスカンド。ナトゥラルに代えたが、今度は2回パセが繋がると牛が膝を着いた。闘牛士がちゃんとやろうとしても牛が言うことを聞かない。

 そして、ナトゥラルでもブスカンドをする。牛が悪い。距離を取り角2本分クルサードして牛を誘う。このコロカシオンが良い。牛は3回動いたがまた膝を着いた。折角盛り上がりかかるとこれだ。闘牛士は良い。牛がダメなのだ。パセ・デ・ペチョを2回決めて剣を代えた。スエルテ・ナトゥラルでピンチャッソ2回。それでも観客は拍手を送る。ちゃんと闘牛士がやっているからだ。その後、カイーダのテンディダで決まった。デスカベジョ1回。喝采。挨拶しようとしたが口笛が鳴り引っ込んだ。

 最後の牛も悪かったが、良くやった。体を張り、命を賭けた。牛はブスカンドする危ない牛だった。ベロニカを繋ぐと、「オーレ」がなった。レマテはメディア・ベロニカ。喝采がなる。ピカは右後ろと、左後ろに入った。ファエナは、膝を折ったデレチャッソから始めてアレナ中央へ。距離を取り牛を呼んでデレチャッソが3回繋がると、「オーレ」がなった。が、牛が膝を着いた。距離を取りデレチャッソ2回するとブスカンドする危ない牛。またかよ。どの牛も非道い牛ばかりだ。パセ・デ・ペチョで拍手がなる。距離を取り、デレチャッソを4回繋ぐと、「オーレ」がなった。パセ・デ・ペチョで喝采がなる。

 距離を取りデレチャッソ、これを繰り返す。こうしないと危ないし、牛が動かないようだ。思う出した。初めて代理でサン・イシドロに出場して凄いファエナをした時も距離を取ってはパセを繋いだ。あの時の様だった。ゾクッとするなぁ。このパセをするまでの間が何とも心地良い。7,8m離れたところに角2本分クルサードして立って牛を誘う。これがフェルナンドだ。でも、また牛はブスカンドした。ナトゥラルに代えた。2回繋いだが角を地面に突いた。本当にダメな牛だ。もう少しで盛り上がるのに・・・。距離を取り、間をあけて手の低い長いナトゥラル繋がる。「オーレ」がなる。が、また牛が膝を着いた。困ったもんだ。離れてナトゥラルを繋いでいたらパセが短くなった。危ない。右の角でも左の角でも体を狙う。それでもクルサードしてナトゥラルを繋ぎパセ・デ・ペチョ。拍手が沸く。観客はフェルナンドに夢中だ。

 離れデレチャッソ。クルサードを繰り返して丁寧にパセを繋ぐ。おい、フェルナンド・セペダ。これが闘牛じゃないのかい。これが命を賭けるって事じゃないのかい?えっ!パセ・デ・ペチョで拍手が鳴り剣を代えた。距離を取りクルサードしてナトゥラルを通す。体ギリギリを牛が通っていく。緊張が走る。それでもクルサードしてナトゥラル、トゥリンチェラ、パセ・デ・ペチョ。喝采がなる。スエルテ・コントラリアでピンチャッソ。溜息が闘牛場に漏れる。スエルテ・ナトゥラルで体ごと牛に向かって剣刺しに行くがメディアで剣が抜ける。それでも観客は拍手をした。それからスエルテ・コントラリアでカイーダで決まった。牛が座り、拍手が鳴り挨拶をした。それでも白いハンカチを振っている人が少しいた。あー本当に耳を取らせてやりたかった!良い仕事をした。残念だ。心から喝采を送りたい。

 今日は牛が悪かった。コンデ・デ・ラ・コルテ牧場の牛はダメだ。闘牛にならない。それでもちゃんとやらない奴と命賭けの闘牛をする奴に別れる。同じフェルナンドの名前でも、セペダとロブレニョじゃ天と地ほどの違いがある。セペダは去勢されたオカマ以下で、ロブレニョは反り返って勃起したペニスのように逞しい。同じ闘牛観るならロブレニョのように命を賭けて男を見せて貰わないとなぁ。

 フェルナンド・セペダが退場する時の罵声と口笛が鳴り座布団の雨が降った。ウセダ・レアルには拍手が鳴り、フェルナンド・ロブレニョには喝采がなった。当然だ。でも、何故、フェルナンド・セペダは後2回サン・イシドロ出場して、フェルナンド・ロブレニョは1回しか出場しないんだ!それっておかしくないか?フェルナンド・セペダがまた出てきて同じ事をしたら、引退前のエミリオ・ムニョスのように車の前でアフィショナードに殴られるぞ。


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