エスプラは良く分かっている。エンカボも分かってきた。

2002年5月2日マドリード、ラス・ベンタス闘牛場(第1級闘牛場)の結果。

 小雨が上がったが凄く寒いのマドリード、ラス・ベンタス闘牛場。牛、1,5,6頭目がアルクルセン牧場。2,3,4頭目がカルロス・ヌニョス牧場。闘牛士、フランシスコ・エスプラ、ルイス・ミゲル・エンカボ。マノ・ア・マノ。テンディドが9割以上の入り、全体で約9割の入り。

 色々な意味でフランシスコ・エスプラは、闘牛のことを良く分かっている。まさに闘牛博士。扱いにくい牛が出てくるとカポーテでもあしらい方を知っているし、エンカボがバンデリージャを打つとき目が悪いのが判ると自分の立っていた位置からエンカボを手で制してゆっくりと歩いていってエンカボの後ろに立ち牛をエンカボの方に向けた。観客はそれを見ただけでエスプラに拍手を送っていた。当然だ。ラス・ベンタス闘牛場の観客は良く闘牛のことを知っている。勿論、僕はここで見続けたことによって闘牛を覚えたのだからこれも至極当選だ。

 テルシオ・デ・バンデリージャまでの時に、牛の目が悪いなと思ってみていると、エスプラはちゃんとそういうことは判っていて良い目の方に立ってパセを始める。そういう当たり前のことを、当たり前にする。これは大変重要なことだし、こう言うことが出来ないと良い闘牛をすることは出来ない。酔っぱらって疲れているので書きたいことは色々あるが書けないので、最後に、今日のエスプラのエピソードを1つ紹介してエンカボのことを書く。

 今日3頭目(エスプラの2頭目)の牛の剣刺しの時、スエルテ・ナトゥラルで非常に良い剣を刺した。直ぐにバンデリジェーロたちが牛の周りに立ってが、それを手で制止して、近づくな、牛を動かすな、と念を押して、背中を向けて、ブルラデロの方にゆっくりと歩いていった。剣刺しの後1度もバンデリジェーロのカポーテは振られなかった。ブルラデロに着く頃に剣の一撃だけで牛は倒れた。観客は立ち上がって喝采を送った。何て格好良いんだろう。あんなの観たことない。闘牛は耳だけじゃないんだ。これだけ内容のある闘牛を見せられたら今日の入場料は安いものだ。

 ルイス・ミゲル・エンカボは、最後の牛で良くやった。最後の牛で良いベロニカを繋いだ。メディア・ベロニカ2回、ラルガを決めると「オーレ」が止んで歓声と喝采が起こった。ピカが入ると牛が右前脚を痛めて牛交換。代わった牛は、ベロニカの時、左角が通る方(ムレタでナトゥラルをする方=左手のパセをする方)が短いパセになって牛が飛んでいた。これはムレタの時、始めに右手でやらないと危ないぞと思って観ていたら、エンカボもちゃんと右手のパセから始めた。

 これは、エスプラ効果なのかどうか。エンカボも段々分かってきた。30歳前にこういうことを理解してくればもう少し良いところとをサン・イシドロで見せてくれるかも知れない。牛を見極めることは非常に重要なことだ。それを掴んだかも知れないと思った。これからだぞ、エンカボ。サン・イシドロに期待しよう。

 今日は、後ろに座っていたおばちゃんが何回、「何て寒いの」と言ったことだろう。着込んでいったつもりだったけど、冬用のジャンパーの下はTシャツだったのでトレーナーを着てくれば良かったと思った。下はGパンに雨具用のズボンをはいたがそれでも寒かった。座布団を敷いてないので冷えた座席の石が尻を寒くする。1番冷たくなったのは袋だ。立つと内腿が袋に当たって冷たかった。終わったら直ぐにトイレに行った。これで闘牛まで寒い内容だったらもっと寒かっただろうが、今日は面白い闘牛が観れた。


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