2000年5月2日、ラス・ベンタス(マドリード)の結果

エウヘニオ耳逃す。アベジャン、カポーテで観客を沸かす

por 斎藤祐司

 快晴のラス・ベンタス闘牛場。ゴヤ時代の衣装で行進したり楽隊の行進などもあった。騎馬闘牛士のレオナルド・エルナンデスを始め、闘牛士、ウセダ・レアル、エウヘニオ・デ・モラ、ミゲル・アベジャンの3人もゴヤ時代の衣装を着て行進が始まった。バンデリジェーロ、ピカドールもゴヤ時代の衣装を着ている。

 行進の時、闘牛士達は、帽子を右手に持っている。クアドリージャは帽子をかぶっている。行進用のカポーテを通常はしているがゴヤ闘牛の時は、カポーテを使用する。

 レオナルド・エルナンデスから始まった。いい仕事が出来なかった。剣刺しもバホナッソだった。

 ウセダ・レアルは、2頭とも牛に恵まれなかった。初めの牛は変な動きをする。カポーテのパセの後にすぐ振り向く。ムレタは膝を折ったパセから始めた。こういう牛に対しては有効なパセから始めた。右手の時に牛を誘いづらい。牛は闘牛士の体を狙ってくる。ナトゥラルでは、右手より長いパセだ出来た。クルサードすると危ない牛だ。ナトゥラルでも体を狙いだした。剣刺しは1発で決めた。バホナッソ気味に入った。デスカベジョ4回。

 2頭目は、前脚をカポーテのパセの時に痛め、ピカでもっと悪くなり牛が交換になった。代わった牛は、頭が下がるが動かない牛。真面目にパセを繋いだし、クルサードもしていた。だが牛が悪かった。剣は1発で決めた。バホナッソ気味だった。

 エウヘニオ・デ・モラは、良いファエナを見せた。1頭目では耳を取れるはずだった。しかし、その牛は良い牛ではなかった。頭が高い牛。この体型の牛は、TTT、元カウボーイの石井さんから教わった。尻を見れば判るのだ。去年のホセ・トマスが5月26日の2頭目に相手した牛と同じだったからだ。だから非常に難しい牛だ。

 だが、この牛の気性は、ブルラデラに角を突き立てないように頭の良い牛だった。闘牛士はこういう牛は難しいが僕はこういう気性の牛が好きだ。体型は嫌いだが。案の定パセの最後に首を振り上げていた。隣で見ていた中崎君にそれを説明するとなるほどと言っていた。エウヘニオは不思議な闘牛士だ。こんな悪い牛を平気な顔して動かしてしまう。右手、左手のパセは手の低い長いものだった。パセ・デ・ペチョの角度はこれ以上ないように決めていく。これが彼の特長だ。

 剣が決まらず、耳が取れなかった。ピンチャソ1回。ピンチャソ・オンダ1回。メディア。デスカベジョ1回。

 2頭目の牛は、白い線をまたいで出てきた。こういう牛は気性に問題がある。気の小さい臆病な牛だ。競馬でも、ゴール板の影を飛び越えていくような馬は出世するのが難しいのと同じだ。足を止めたパセが出来ない。牛も動かない。それでも、パセ・デ・ペチョは相変わらず良い。剣刺しは牛の頭を上げれずピンチャソが続いた。こういう牛に限ってこうなる。

 ミゲル・アベジャンは、気迫あるカポーテ捌きを見せた。足をしっかりと止めたベロニカを繋ぎラルガ。闘牛場に、「オーレ」がなった。チクエリナは牛の近くで誘い、パセは体の近くを通す。オーレは一層大きく叫ばれた。牛の角がアベジャンのカポーテを捉えるので体が揺れ転びそうにない。キーテは、ガオネラ(体の後ろにカポーテを持ってするパセ)で馬の前に持っていって、ラルガ・カンビアールで牛を置いた。驚き声とオーレがなった。

 ウセダのどうでも良いキーテで牛は転んでしまった。それから牛が動かなくなった。ムレタでは、4回しかまともなパセが出来なかった。

 2頭目の牛は、良い牛だった。初めにラルガ・カンビアールから始めたがベロニカなどのパセで前脚を痛めてしまった。ピカが入って牛が膝を着いて交換になった。

 代わった牛は悪い牛だった。ナバラを繋ぎラルガを決めた。しかし、ムレタになったら牛は動かなくなった。牛が悪すぎた。アベジャンのやる気は伝わってきたが何せ牛が悪く、どうにもならない。

 一緒に行った中崎君が言った。「アベジャンのカポーテと、エウヘニオのムレタと、ウセダ・レアルの剣刺しを合わせたら、耳2枚出ていたでしょう。」、と。 2枚はどうか判らないが、1枚は確実に出ていた。エウヘニオが剣を決めていたら耳1枚出ていただろう。今日は耳は出なかったが、エウヘニオの良いファエナと、セビージャを期待させるアベジャンを見れたのが嬉しい。


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