99年6月2日、ラス・ベンタス(マドリード)の結果

ミゲル・アベジャン、大流血!
エル・コルドベス、耳に届かず。

por 斎藤祐司

 

 牛、ダニエル・ルイス。闘牛士、エル・コルドベス、モランテ・デ・ラ・プエブラ、ミゲル・アベジャン。

 今日も、快晴で風が強い日だった。毎年流血や大怪我があるのがサン・イシドロ。今年はこのままそんなことがないのかと思っていた矢先に昨日のホセ・トマスのコヒーダがあった。あんなに長い間牛の上に乗っていたコヒーダは始めて見た。そして、今日のミゲル・アベジャンは本当に一突きだった。

 今日は、まずミゲル・アベジャンの事から書くことにする。出てきたときから落ち着きのない変な牛だった。カポーテでパセをするとそのまま走っていってなかなか帰って来ない。ようやく来ても足を止めたパセが出来なかった。ピカは右肩上に入れ、刺し代えて左肩寄りに入った。次のピカは、肩の上に入った。コルドベスが出ていってキーテをするがまともなパセが出来なかった。バンデリージャを撃つときも撃ちにくそうだった。キーテの時に、パセをすると、飛び跳ねた。バンデリージャを撃つときもそうだった。

 ファエナは、右手から始めた。膝を折ったパセを2回やった後、中央に行って牛を誘うと、牛はムレタに向かって走っていった。右手のパセを繋ぐと「オーレ」がなり続けた。パセ・デ・ペチョで一連のパセを締めくくると喝采がなった。次ぎも右手のパセを続けた。クルサードして4回パセをしてパセ・デ・ペチョをすると脇に牛の背が当たって彼はよろけた。この辺からおかしくなった。「オーレ」がなり、喝采が起きた。観客は去年のプエルタ・グランデを思い出していたのかも知れない。

 牛はマンソだった。そしてパセごとに飛び跳ねるようになっていった。右手のパセを続け右手のパセ・デ・ペチョをしようとしたら牛は彼の腕を頭で突き上げ右脇腹も突いた。その前のパセが体の方に牛が来ていた。この時から危なかった。また右手のパセを繋ぐとまた牛は腕をはらった。だから右手からムレタを左手に持ち替えてナトゥラルをしようとクルサードして牛を誘った。牛はムレタに向かって真っ直ぐに向かっていったかに見えたがムレタが彼の体を過ぎて後ろの方にそのまま振ろうとしたときに、牛は首を2回振った。

 その2回目がミゲル・アベジャンの左足のまたから10cm位の所を一突きした。牛は首を振ると、体はそのまま上に上がり慣性で角から体が抜けてアレナに腰から落ちた。みんなが助けに来た。ミゲルは自分で立ち上がると刺された場所を右手で探って、それからまた牛に向かおうとした。が、この時すでに傷口からは小便の様に血が流れ出ていた。

 何故判ったかと言うと、僕は彼の正面から300mmの望遠レンズを付けて見ていたからだ。もう出来ない。でも彼はまた牛に向かおうとして、みんなに担がれていても必死で抵抗した。だが、みんなは彼を離さなかった。何故なら出来なからだ。角が腹の中に入って臓器に刺さっていたら大変な事になる。ミゲルの顔はもう色がなく白かった。

 帰って来てビデオを観たら、容態をバンデリジャがインタビューで応えていた。それを書く。傷の深さは20cm。腰の所までで、止まっている。重要な臓器には角は達していなかった。傷は綺麗で問題はない。と、言っていた。治るにはどれくらい掛かるか判らないが6月17日の、ラス・ベンタス闘牛場のベネフィセンシアには出場は出来ないだろう。

 エル・コルドベスは、この日5頭目の悪い牛で、怖がることなくパセを繋いで観客を沸かせた。彼の真骨頂。でもペピン・リリアの様にクルサードをちゃんとやっている分けじゃない。観客を沸かせたことは沸かせたがそれだけだ。剣もバホナソだった。僕は耳に値しないと思った。観客は耳を要求したがプレシデンテは正しい裁定をした。耳は出ず。喝采に応えて挨拶しにアレナに出てきたが、バンデリジェーロが場内一周するように促したが彼は拒否してカジェホンに引っ込んで行った。多分、怒っていたのだと思う。が、甘い。怒るのは昨日のペピン・リリアの方だ。

 モランテ・デ・ラ・プエブラは、良いパセを続ける場面があったがそれが続かない。良いものを持っているのだからもうちょっと勉強した方が良いと思う。バンデリージャを撃ってるときに、ムレタに水をかけていたりして、牛がカポーテにどんな反応をするのか最後まで観ていなかったり、牛が変な動きをするととたんにパセが悪くなったりする。パセの形だけ良くても牛との関係でそれが出来ないとどうしようもない。もう少し勉強しないと、セビージャだけの闘牛士になってしまうのだ。

 今日は見たくないものを見てしまった。闘牛にはどうしてもつきまとうのがコヒーダ。あれは何度見ても嫌なものだ。今年もまたアレナは闘牛士の血で濡れてしまった。ミゲルよ。ファエナを続けたい気持ちは良く分かる。でも自分の体をもっと大事にしないと。君は若くして才能も技量も勇気も持っているじゃないか。それを大切にするためにあんな時は直ぐに医務室に向かうべきだ。観客は君を見に闘牛場に足を運んでいる。去年のプエルタ・グランデはけしてフロックだとは思っていないのだ。ゆっくり休んで治して来て欲しい。死ぬには未だ早いんだから。


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