バンデリージャで観客を総立ちにさせたエル・ファンディ。

2003年6月2日マドリード、ラス・ベンタス闘牛場(第1級闘牛場)の結果。

 ラス・ベンタス闘牛場。1頭目、3頭目、5頭目、ガルシグランデ牧場、2頭目、4頭目、6頭目、ドミンゴ・エルナンデス牧場。闘牛士、マヌエル・カバジェーロ、リベラ・オルドニェス、エル・ファンディ。ノー・アイ・ビジェテ。テンディド6でYさん、Tさんと観戦す。

 マヌエル・カバジェーロには、ガッカリした。もうビクトリーノ・マルティン牧場の牛とやっていた時の気迫とか情熱がなくなったのだろうか。クルサードは足りないし、距離の取り方がダメ。精彩を欠いた。彼は立派な技術者。職人。だからあまり悪いことは書きたくない。こういう日もあるだろうが・・・。

 リベラ・オルドニェス。お坊ちゃまは今日も何しに出てきたのだろう。そう、お金を稼ぎに出てきました。これがあれにとって重要なことで、怪我さえしなければ他はどうでも良いはず。いえいえ違います。服が血で汚れては大変です。靴下に土埃が付いたら不潔です。だってお坊ちゃまは育ちが違うんだもの。

 エル・ファンディのバンデリージャ打ちは最高だ。おそらく、闘牛士史上最高のバンデリージャを打つ。未だかつてこんなに凄いバンデリージャを打った闘牛士はいないだろう。ファンディより凄いバンデリージャを打ったのは、モレニート・デ・マラカイがやったキエブロだけだ。キエブロはモレニート・デ・マラカイ以上の打ち方が出来るヤツはいないだろう。これからも出てこないだろう。他のバンデリージャの打ち方はファンディ以上の打ち方を出来るヤツは出てこないだろう。今日もラス・ベンタス闘牛場の観客をバンデリージャ打ちで総立ちにさせた。

 3頭目の牛のバンデリージャ打ち。左後ろに下がりながら牛を誘う。牛の動きが緩くなり止まった。左に廻って角先前で2本打つ。歓声が上がり拍手。次が右後ろに円を描きながら下がり牛を誘って角の間の真ん中で角が下がったときにピッタリと打つ。でかい歓声が上がり喝采が鳴る。立ち上がっている人が沢山いる。最後が右に走って行って何気なくあっさりとビオリンを決めた。またでかい歓声が上がり観客は総立ちになって喝采を送る。牛の周りを手をかざして走り回る。時々フェイントを入れたり走る角度を変えたりして牛に突かれないようにして最後にフェイントを入れて牛を止め、総立ちになった観客の喝采に応えて挨拶をした。

 文句なしに凄いバンデリージャ打ちだった。でも、ファエナは良くなかった。足をどたばたさせすぎる、クルサードが足りない。足を開きすぎ。パセの時の体の線が美しくない。牛も悪かった。この牛を完全には理解していなかった。エル・ソロを想い出した。彼はベンタスでもバンデリージャ打ちだけで総立ちにさせた事があった。勿論、口笛も散々吹かれたが。でも、ムレタを持つと3流闘牛士だった。ファンディはそこまで悪くはない。去年はベンタスで耳1枚を2回取っている。エル・ソロとは全然違うけどもっとムレタの振り方や牛の扱い方を考えて工夫しないとダメだ。アポデラードのサンティアゴ・ロペスが付いているんだからそれでも昔に比べれば大分上手くなっている。でも、あれだけのバンデリージャ打ちが出来るんだから、もっと沸かせることが可能なはずだ。もう癖になっているのかどうか?修正可能かどうかは解らないが。

 今日はエル・ファンディのバンデリージャ打ちだけ。ファンディのバンデリージャは最高!


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