晴れのラス・ベンタス闘牛場。1頭目、ホセ・ルイス・ペレダ牧場。2頭目、カルロス・ヌニェス牧場。3頭目、4頭目、5頭目、6頭目、ラ・デエシジャ牧場。第1ソブレロ、ナバルロサル牧場、第2ソブレロ、ホセ・バスケス牧場。闘牛士、ビセンテ・バレラ、ルイス・ミゲル・エンカボ、マティアス・テヘラ。ほぼ満員。テンディド6でYさん、Tさんと観戦す。
ビセンテ・バレラ。今年のバレンシアの火祭り(ファジャス)のトゥリンファドール。最近バレラと言うと、アントニオ・バレラの事になるのだろうか?あまり変わり映えのしない闘牛だった。去年出てきたとき、確か後ろの席にバレンシアのペーニャのご婦人3人と何故か若い男が座っていた。どっかで観たことあるなぁと確認しようとしたが後ろを何度も振り向いてじろじろ見るわけにもいかず声を掛けなかったが、もとビセンテのバンデリージャで今エル・ファンディの所でやっている、アルベルト・マルティネスだった。やっぱりペーニャの人って大事にされているんだと思った。
あれから1年。あの時ペーニャのご婦人方は、「今日のバレラは全然ダメなの」と、3人揃って頭を横に倒してガッカリした顔をしてから笑ったが、今日もそんな感じだった。パセを繋ごうとしているがクルサードが足りない。がんばっているがパセを繋げば良いという分けではない。あれから1年。素直な感想を言えば、変わってないなぁ。
ルイス・ミゲル・エンカボの牛は、2頭とも出てきたときは物凄く勢いが良くて走って期待させる牛だった。所がパセを何度か繋いでいると体を捻ってダメになったり、5頭目はラルガ・カンビアールを2回した走る牛だったが、ピカが入ると使い物にならなくなった。ピカは良いところに入っているにも関わらず。牛が交換になった。5頭目の変わった牛もダメであまり観るべきものはなかったがこの牛を、いつも迅速に牛の交換する、“牛使い”に捧げたのには感動した。観客も良く判っていて、拍手を送っていた。
2頭目の牛は腰を捻ったか、後ろ脚を捻ったかして動きが悪くなった。ムレタでは中央で距離を取って牛を誘いデレチャソを繋いでパセ・デ・ペチョをした。それからまた充分牛から距離を取りクルサードして牛を誘ってパセを繰り返していた。こういう丁寧な牛とのやり取りは観ていて面白かった。勿論、牛が動かなくなっているから良いファエナにはならないがエンカボの技術が観れた。牛のことも解っている技術が。
マティアス・テヘラは、観客から拍手を1番多く貰った。3頭目の牛は良くなかったが、観客に牛を捧げた。口笛が鳴る。鳴っても良い。それでちゃんと良いファエナが出来るなら。でもその牛で良いチクエリナ、牛を体ギリギリに通しメディア・ベロニカも綺麗だった。ファエナは、アレナ中央付近で膝を着いて右手のパセを繋ぎ立ち上がってパセ・デ・ペチョ。デレチャソと繋ぎパセ・デ・ペチョ。牛が動かなくなってきて、ナトゥラルでクルサードしてもなかなか動かない。デレチャソを繋ごうとするが牛が動かない。口笛が鳴る。剣を代えた。スエルテ・コントラリアで良い剣が入り牛が座った。
最後の牛では、膝を着いたベロニカから始めた。良いベロニカだった。ピカの時に馬が倒れてピカドールが危ない場面があった。逃げようとしたピカドールがブルラデロへ行ってカジェホンの中に入ろうとしたが腹が太くてブルラデロに挟まったのには笑った。ピカドール退場の時に、「食事制限したら」と声がかかりこれまた笑ってしまった。
フェエナはデレチャソで牛を誘いパセをし後ろでムレタを左手に交換してナトゥラルを始めた。このムレタ捌きは良かった。しかし、牛が動かずしかもパセをするときにムレタを角で何度もはらわれては仕様がない。ムレタの振り方も外に高く振っているのは気にくわない。牛が動かないからクルサードも角2本していた。また、牛の正面を向いてムレタを体の後ろに隠してクルサードしているやり方は凄く良い。それを繰り返して何とか良いパセを引き出そうと努めていた。牛が動かないから右手で持ったムレタを背中の方に出してパセしたり工夫もしていた。
ナトゥラルから右手に持ち替えてシルクラールをしてパセ・デ・ペチョ。盛り上がった。剣を代えて、体の後ろにムレタを隠してから牛を誘ってマノレティーナを繰り返して繋いだ。技としては素晴らしい技術だ。剣は牛をほぼ中央に置いて非道いバホナッソ。そのまま剣を抜いた。口笛が鳴る。その後、スエルテ・コントラリアでメディアより少し入っている剣刺しになり牛が座った。
マティアス・テヘラは、良い技術を持った闘牛士だ。でも、未だ何かが足りないと思って学んでいこうとしないと本当のフィグラにはなれないだろう。これは経験だけでは埋めれないものがある。それを理解し消化できたとき良い闘牛士になれるのだろう。
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