99年5月28日、ラス・ベンタス(マドリード)の結果

ペピン・リリア、真面目なクルサードで観客を沸かす。

por 斎藤祐司

 

 牛、ロス・バジョネス。ペピン・リリア、ビクトル・プエルト、ホセ・ルイス・モレノ。

 快晴の闘牛場。ソルは日が当たっている間は暑い。闘牛が始まる前に、「Diario 16」 を読んでいたらホセ・トマスが26日の闘牛で剣刺しが出来ずピンチャソを10回やったときに、右肘を悪くして明日のアランフェスと6月1日にサン・イシドロに出場出来なくなった。と、でていた。

 ペピン・リリアは、今日1番観客を沸かせた。4頭目の牛のファエナは、中央部で右手のパセを繋いで始めた。腰から“く”の字に曲がってへっひり腰のパセやパセ・デ・ペチョをした。それでもパセを繋いで拍手を貰う。牛が動かなかったので、牛の顔の前でクルサードして左手のナトゥラルを繋ぐと「オーレ」がなり、喝采を浴びた。牛のすぐ前でクルサードしてナトゥラルを繋ぎパセ・デ・ペチョで一連のパセが終わると立ち上がって喝采を浴びせる人が沢山いた。ペピンが体を張って、命を賭けて闘牛をしているのが観客に伝わったからだ。剣が悪くピンチャソを4回やって、牛が疲れて膝を着いた。ファエナが終わった。剣刺しが悪い。

 ビクトル・プエルトは、初めの牛の見せたキーテだけが良かった。チクエリナをし、後ろから牛を誘って、カポーテの裏側でパセする、メディア・ファロール。もう一度チクエリナから、メディア・ファロールをしてメディア・ベロニカで「オーレ」と喝采を浴びたのが唯一の見せ場だった。後は何しにでてきたか判らない。パセは腰が引け、足が流れる。やる気だけがビクトルの持っているもの。それがなかったらただの醜男。見るに絶えない。剣刺しは2回とも非道いバホナソ。彼を観客は物凄い口笛とブーイングで迎えた。

 ホセ・ルイス・モレノは、真面目にパセをしていた。幾つかの箇所で観客を沸かせた。ビクトルの初めの牛の時のキーテでチクエリナを繋いで「オーレ」を言わせメディア・ベロニカを決めると喝采が彼を待ち受けた。しかし、本質的に改良するところが目立った。

 その一つは、カポーテ捌き。シンプルなベロニカの時に、牛を通す方の足を突っ張る様にして、その足の方の腕も同じ感じになる。見ていてはっきり二流を観客に印象づけるものだろう。それと、ムレタではパセするときに腰を変に曲げすぎて、牛をパセするときに手が体の大分外側を通って行く。これだとベンタスではピコに間違えられる。恐らく、手を低くするためにやっていることだろうが。それと、ナトゥラルの時に、剣を持つ右手の肘が90度ぐらいに曲がっていて、パセをしている。どうも右腕が醜い。

 どうして肘を伸ばして出来ないのだろう。左手も低くするためだろうが、腰が変に曲がっている。こういうのは癖だから直りようがないのだろうか。こういう風に腰を不自然に曲げていると牛にコヒーダ(突かれた)された時に、最も危ないと思う。パセは形の美しさだけでもなく護身の為にもしっかりとした姿勢が必要だと思う。

 6月1日は、エル・タトとペピン・リリアだ。ペピンは、腰が引けていても真面目にパセをしようとするが、タトは大嫌い。ホセ・トマスがでないならあまり観たくなくなった。エル・フリはでないだろうし、セサルが出ないかな。でも、ボテにもでてきて欲しい。


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