por 斎藤祐司
牛、トレストゥレジャ。闘牛士、リベラ・オルドニェス、ウセダ・レアル、モランテ・デ・ラ・プエブラ=ヘスリン・デ・ウブリケ引退で替わりに出場。
晴れ渡る空の下、闘牛が始まった。昨日よりは暑くない。何故なら午前中は曇りだったからだ。ウセダ・レアルのクアドリージャは左腕に黒いリボンをつけて、ついこの間まで共に生死を賭けて仕事をしていた、今は亡き、ホセ・ムニョスの死を悼んでいた。
リベラ・オルドニェスは、この日4頭目の牛は難しかった。カポーテの時から体の方に向かってきていた。ピカだ入っても、バンデリージャが撃たれても、ほとんど矯正はされなかった。それでもファエナではクルサードを繰り返し左右のパセを通した。パセ・デ・ペチョは相変わらず脇が開いているが、牛のすぐ近くでクルサードしたり、見栄を切ったりした。でも、パセは味付けされていない料理の様なものだった。剣刺しも牛の頭が下がったまま刺しに行ってピンチャソしたり、剣が下手だ。俺の大嫌いな闘牛士だが、今日は真面目にパセを繋ごうとしていた。それが良かった。口笛を吹かれようが、ヤジを飛ばされようが平気な顔をしていられる神経にいつもながら驚く。これは育ちか、血統なのか。
ウセダ・レアルは、初めの牛は先日死んだ、彼のピカドール、ホセ・ムニョスに捧げてファエナを始めた。これは胸が熱くなった。次の牛はなかなか動かない牛だった。この時に見せたクルサードは物凄かった。牛の鼻面10cmもないところに立って、左右の角先の中に彼の足が入っていた。そういうクルサードを何回もしてパセをして観客を沸かせた。今日1番出来が良かったのが、ウセダ・レアルだ。剣が2回共凄い刺し方をした。あれだけの事をしてみせれば観客は彼に期待を寄せることだろう。最終日、ビクトリーノ・マルティンの牛の時、期待できそうだ。
モランテ・デ・ラ・プエブラは、初めの牛で良いベロニカを繋ぎメディア・ベロニカで観客を沸かせた。去年とは全然違う。期待のファエナは、盛り上がりそうになると風が吹いて邪魔した。それでもナトゥラルの時にパセの形は凄く良い。右手の時は右足が流れていたのが減点材料。初めの剣刺しが凄く良かった。6月2日またヘスリンに替わって出てくるようなので次ぎに期待したい。セビージャのファエナはホントに凄かったので充分期待できると思っている。
今日は日陰になったら風が冷たかった。リベラ・オルドニェスに対しても観客は冷たかった。でも所詮は二流闘牛士。生まれと血統だけが彼の売り。マドリードではもう飽きられている。
それに比べて、これから一流に定着しようとしている、ウセダ・レアルと、モランテ・デ・ラ・プエブラはそれぞれに良いところを見せて、観客にアピールできたと思う。観客がいくら批判しようが闘牛士は命を賭けてやっていることを我々は忘れてはいけないのだ。良い闘牛が見れるように願うと共に、全ての闘牛士の無事を願わずにはいられない。 Hasta
man~ana.
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