エル・フリ耳1枚。剣で1枚消えプエルタ・グランデを逃す。

2003年5月27日マドリード、ラス・ベンタス闘牛場(第1級闘牛場)の結果。

 晴れのラス・ベンタス闘牛場。1頭目パルティド・デ・レシナ牧場、2頭目アルクルセン牧場、3頭目ハンディージャ牧場、4頭目アドルフォ・マルティン牧場、5頭目ハビエル・ペレス・タベルネロ牧場、6頭目フエンテ・インブロ牧場。の予定が2頭目のアルクルセン牧場の牛が交換になり3頭目予定のハンディージャが2頭目になり以下順番が一つずつずれてソブレロのトレアルタ牧場の牛が6頭目に登場。闘牛士、エル・フリだけ。ソリタリオ(ウニコ・エスパーダ)。ソブレサリエンテ、パスクアル・メスキータ、ダビ・サレリ。ノー・アイ・ビジェテ。テンディド6でYさん、Tさんと観戦す。

 入場行進の後、トルコで起きた飛行機事故犠牲者に1分間の黙祷が捧げられた。

 1頭目から3頭目までは退屈だった。1度として、「オーレ」がならない。騒いだのは2頭目の牛の交換の時だけ。因みに1頭目から3頭目までのキーテを書いておく。1頭目は変形ナバラ。何というパセなのか知らない。形はナバラと一緒だが牛をパセするときにカポーテの裏側で通す。2頭目のキーテは、メディア・ファロールからガオネラをし、パセの後、カポーテを頭の上を通してメディア・ファロールガオネラを続けメディア・ベロニカ。3頭目はチクエリナを繋ぎメディア・ベロニカ。しかし、4頭目から沸いた。

 4頭目はハビエル・ペレス・タベルネロ牧場の牛。足を止めたベロニカが出来なかった。ピカが入って牛が少し変わった。キーテはナバラを繋ぎメディア・ベロニカ。催促の拍手がなりバンデリージャも打った。右に回り角の間で打ったが1本しか刺さらなかった。右に回り角の間で2本打った。タブラ近くで右に回り牛とタブラの間3m位の所で打った拍手を受けた。牛は観客に捧げられた。

 アレナ中央に立ち牛を誘う。右手のパセをリガールすると「オーレ」がなった。パセ・デ・ペチョ。牛から離れ右手のムレタで牛を呼んでパセをリガールしてパセ・デ・ペチョ。「オーレ」が続き拍手。ナトゥラルの1回目のパセでブスカンドした。危なくコヒーダされる所。それでも怯まずに牛に向かって行くがクルサードが足りない。ナトゥラルを繋ぎパセ・デ・ペチョ。離れ正面を向いてクルサードして右手のパセを繰り返す。パセ・デ・ペチョの後、見栄を切り剣を代えた。ナトゥラルからトゥリンチェラなどを繋ぎスエルテ・ナトゥラルで牛を置いた。3頭目までは全て剣が1回で刺さっていた。これで刺されば耳が出る。しかし、ピンチャッソ。頭が低い状態で剣刺しに行くので踏み込んでいけない。が、その後に凄い剣を決めた。弱い耳要求があったが耳は出なかった。折角今まで1回で剣刺しを決めていたのに・・・。2回目の凄い剣が決まっていれば文句なしに耳だった。

 5頭目はあのフエンテ・インブロ牧場の牛。期待が高まる。出てきた牛は角が雌牛のようで体型も小さく細い。ベロニカを繋ぐと左角が体の前を通った後、反対に回る牛だった。ピカは左前に入った。キーテはベロニカを繋ぎメディア・ベロニカ2回。そして、伝家の宝刀ロペシーナを3回、セルピエンティーナ。ロペシーナは牛を誘った位置とパセする位置が1m位ずれていた。だから、そんなに沸かなかった。

 ファエナはデレチャソ、トゥリンチェラ、デレチャソ、トゥリンチェラ、と繰り返しパセ・デ・ペチョ。ナトゥラルを1回やるが直ぐに離れてまたデレチャソ。パセ・デ・ペチョで拍手。デレチャソをリガールしてパセ・デ・ペチョ。ナトゥラルをリガールして繋いでいたときに、口笛や罵声がなった。クルサードしていたフリがテンディド7を観てからクルサードを外すと観客は賛否両論出て、フリ擁護派がテンディド7に向けて右手の中指を立てて罵声を飛ばしたりして怒りだした。テンディド7はちゃんと闘牛をやっていないじゃないかとこちらも罵声を飛ばす。

 しかし、これがあってからフリはクルサードをちゃんとしてムレタもちゃんと最後まで振ってパセを始めた。だから、この後は今までになかったような大きな「オーレ」の合唱が起きた。ナトゥラルをクルサードしてリガールすると「オーレ」の合唱が続いた。パセも体を過ぎてからもちゃんとムレタを振ってやっている。パセ・デ・ペチョで喝采が鳴る。ナトゥラルを繋ぐと「オーレ」が続く。正面を向いてクルサードして牛をパセすると「オーレ」が続いた。足を一歩も動かさずパセ・デ・ペチョを何度も通すと「オーレ」と喝采が鳴り最後に顔を真っ赤にして見栄を切る。観客は立ち上がって惜しみない喝采を送った。

 剣を代え、アジェダード・ポル・バッホで牛が膝を着いた。左手の膝を折ったパセを繋ぎトゥリンチェラ、パセ・デ・ペチョ。スエルテ・ナトゥラルで牛を置き、カイーダ気味に決まった。牛は座った。白いハンカチがラス・ベンタス闘牛場を覆った。プンティージャ1回。そして待望の耳1枚がようやく出た。笑顔の場内1周だった。

 6頭目は途中、コヒーダがあったがプンタッソ(角に突かれる)だったので大丈夫だったが、顔の右側が牛の返り血で赤黒くなっていた。最後の剣刺しは牛をアレナの中央へ持って行ったので何かするなと、思った。そしたら何とレシビエンドを試みた。失敗したがなかなか良い。またレシビエンドをやり今度はコントラリアで決まった。

 今日は耳が全然出ないかと思っていたら耳が出ました。剣が決まっていればプエルタ・グランデしていました。番長は喜んでいた。「フリは俺のパドリーノだから」三木田さんも喜んでいた。Yさんも。Tさんもそう。寿美さんは冷静に、「牛が全部違うガナデリアだから良い牛が出れば耳は出ると思ってた」俺が1番意地悪な考え方をしていたようだ。

 フリ、やれば出来るジャン。これで、しばらくはフリに対する批判は少なくなるだろう。それと一つ加えるとすれば、今までパセの時に腰を捻りすぎていてパセの形がみっともなかった。今日は腰を捻りすぎていなかったので以前に比べて綺麗に見えた。


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