オルテガ・カノ復活のファエナ。エル・フリ耳1枚。

2001年4月27日セビージャ(第1級闘牛場)

 快晴のレアル・マエストランサ闘牛場。ホセ・ルイス・マルカ牧場。闘牛士、オルテガ・カノ、エンリケ・ポンセ、エル・フリ。

 オルテガ・カノは、今年復帰して闘牛を始めた。引退前はそんなに良くなかったので、期待していなかったが1頭目のカポーテで非常に素晴らしいカポーテ捌きを披露した。闘牛所に詰めかけたファンは、往年のオルテガ・カノをそこに観た。

 2頭目では、そんなに良い牛ではなかったのに、カポーテの時から観客を沸かせた。パセの後膝を着く牛だったがムレタになると、クルサードして牛を誘い丁寧にそして大胆に手の低い長いパセを繋いだ。闘牛場は帰ってきたオルテガ・カノに酔いしれているようにオーレを連呼しパソドブレが鳴った。彼の美しい芸術的なパセを繋ぐと観客はまるでクーロ・ロメロが良い闘牛をやったときに喜ぶときのように嬉しがっていた。

 闘牛場にマエストロが帰ってきた。微妙な間の取り方も心得たものだったし、牛とも距離の取り方も分かっていた。オルテガ・カノは自信に満ちていたし観客の気持ちも掴んでいた。残念だったのは剣刺しがピンチャッソだったから耳を逃した。次は良いところに剣が決まった。ポーズと取って牛が倒れるぞとやっていたがアビソが1回なった。デスカベジョ1回。観客は耳を要求したがかなわかなった。場内1周する時のオルテガ・カノはゆっくり時間をかけて闘牛場に来ている知り合いに挨拶したらして、久しぶりのレアル・マエストランサの場内1周を楽しんでいた。

 エンリケ・ポンセは、殆ど良いところがなかった。今日は全体的に牛が悪かったがポンセは何もすることが出来なかった。パセを繋いでも直ぐに疲れて誘いに乗らなくなる。2頭目の牛は、クルサードして誘っても動かなかった。どうしようもない牛だった。観客は当然口笛を吹くが仕方のないことだった。

 エル・フリは、角が折れて交換した牛で耳を切った。バンデリージャも2頭とも打った。最後の牛では、アジュダード・ポル・アルトを直立不動のまま3回繋ぎトゥリンチェラッソを決めるとオーレが響いた。パソドブレが鳴った。非常に良いファエナの始まりだった。ナトゥラルを繋ぎパセ・デ・ペチョを決めるといつものようにガジャンド(叫んだ)した。

 ナトゥラルでも手の低いパセを繋いだ。パセの時に腰を曲げすぎるのはいつものことだったが牛を良く動かし剣刺しも良いところに決まった。耳1枚。

 今日は初めの牛を観たときにダメかなと思ったが、オルテガ・カノ、エル・フリが良いファエナを見せた。特に、個人的には全盛期を思わせるようなファエナを見せたオルテガ・カノを観ることが出来て良かった。


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