ミゲル・アベジャン残念な場内1周。

2001年5月25日、マドリード、ラス・ベンタス闘牛場。(第1級闘牛場)

 快晴のラス・ベンタス闘牛場。ノー・アイ・ビジェテ。

 エル・トレロ牧場(3頭目がサルバドール・ドメク牧場。5頭目がナサリオ・イバニェス牧場)。闘牛士、ヘスリン・デ・ウブリケ、リベラ・オルドニェス、ミゲル・アベジャン。

 ヘスリン・デ・ウブリケは、考え方を変えたと何人かから聞いていたがやっていることは昔と変わらない。1頭目は直ぐに膝を着く牛で交換。代わって出てきた牛も良くなかった。右手のパセを繋ぎアレナの内側に牛を持ってきて右手を繋ぐがクルサードをしていない。ナトゥラルでもそう。今までアレナのタブラよりの端の方でしかファエナをやってきていないからまともに牛を扱えない。何にもしないうちに剣を刺した。剣だけがちゃんと決まった。

 2頭目は、もっと非道かった。牛とも距離が判らない。牛が自分の方に動いてくるのでズルズル下がる。それでパセを繋ぐものだから口笛を吹かれる。牛が動かないところに立ってそれから距離を探って牛を誘うという当たり前の手続きを出来ない闘牛士。勿論、クルサードはしていない。剣は、ピンチャッソ2回でカイーダ。お粗末だ。ファエナの間、観客に見て貰えない。呆れられている。

 リベラ・オルドニェスは、パセは繋いだ。でも、クルサードはしていない。右手もナトゥラルもクルサードしていない。足を引いてパセをするので口笛を吹かれる。剣はピンチャッソの後カイーダ。2頭目はもっと非道かった。ムレタを何かも跳ね上げられてまともなパセを出来ないでいる。テンディド7から、「Un Petardo」(ペテンとか退屈という意味)とヤジを合唱されていた。ヘスリンと同じく何もせずにお金だけを持って帰ると言うことでは、ペテンかも知れない。

 他の2人があまりにも非道いのでミゲル・アベジャンの闘牛を観るとこれが闘牛なんだと思ってしまう。でもこれが本当はまともなのだ。1頭目は、頭の高い牛で心配した。右手の膝を折ったパセで案の定ムレタを引っかけられて真ん中辺りを破いてしまう。ムレタを代えてアレナ中央へ。離れていた距離をムレタを振りながら詰めていって牛を誘う。アベジャンが簡単にやっていることを上の2人は出来ない。2流じゃなくて3流だね、きっと。

 立ち位置からしてすでにクルサードしている。牛はムレタに向かって走ってきた。「オーレ」。観客はちゃんと判っている。右手のパセを、左足を軸にして繋げると(リガール)「オーレ」が続いた。パセの後の、パセ・デ・ペチョを2回脚を動かさずに繋ぐと喝采が沸いた。右手の低い長いパセをリガールしてパセ・デ・ペチョ。「オーレ」が続く。ナトゥラルは体の近くを通して繋いだ。パセ・デ・ペチョで喝采がなる。剣は、スエルテ・ナトゥラルでバホナッソ。剣を抜いて刺し直し。コントラリアで角度が深く刺さった。牛は口から血を吐きながら崩れるように倒れた。剣が悪かったので耳にはならなかった。残念な場内1周だった。

 最後の牛はマンソだった。逃げ回って落ち着きがない。ピカを刺すのにも苦労した。ムレタは右手の膝を折ったパセから始め中央へ。右手のパセをリガールしてパセ・デ・ペチョ。牛が外のほうに行くパセだった。あまり良くない。右手のパセをリガールしていると牛が、ブスカンドしてきた。それでも足を動かさずにパセ・デ・ペチョを通すと「オーレ」がなった。何度か危ない場面がありムレタを角に払われて落とした。ナトゥラルは上手く繋がらなかった。右手で体の後ろを通すシルクラールを2回繋いだ。闘牛場が沸いた。剣は、スエルテ・ナトゥラルで、メディアでバホナッソだった。

 今日は、昨日に比べると牛が悪かった。それでもまともな闘牛士が1人出ていたので観客は闘牛を楽しめただろう。闘牛士が退場するときにヘスリンとオルドニェスに口笛が吹かれた。喝采を浴びて退場したのアベジャンだけだった。当然の事だけど。去年の今年と言うこともあるのだろうが、まともな闘牛をしているから観客はアベジャンの味方だ。さて、アベジャン。1日にもっと良い闘牛を見せてくれ。


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