2000年5月25日、ラス・ベンタス(マドリード)の結果

牛が最悪! 闘牛士も最悪!
最低の日。

por 斎藤祐司

 曇り空だが、蒸し暑い。バルデフレスノ牧場の牛が獣医の検査を全部が通らなかったようで、3頭目、4頭目、5頭目がフライレ・マサスに代わった。ペピン・ヒメネス、ハビエル・コンデ、ルイス・マヌエル。大体満員。

 ペピン・ヒメネスは、何をやってるんだ。牛が悪いのは観ていれば判る。でもクルサードしない牛を誘う。牛との距離の取り方も今日はダメだった。風強くやりにくかった。時々形の良いパセを見せるが手が高い。牛は探りを入れるから、腰が揺れ足が流れる。剣を刺しに行けばピンチャソ、刺さればバホナッソ。デスカベジョだって4回やった。もうちょっと何とか出来るだろう。

 ハビエル・コンデは、非道かった。1頭目では何もしなかった。パセの時、腰が引けているし、足を止めてちゃんと出来ずに、牛の前で左右にムレタを振っていただけだった。物凄い口笛を吹かれた。ピンチャソ1回で半分剣が刺さった。観客は怒っていた。当然だ。何もしないのだから。

 2頭目では、ムレタで3回続けて右手の良いパセをしてオーレを言わせた。でもそれだけだった。パセ・デ・ペチョの時に、脇が大きく開き観客に怒られていた。パセ・デ・ペチョの度に口笛が吹かれた。クルサードしてナトゥラルをするが腰が揺れる。牛の前で見栄を切る。ちゃんとやってたら良いけど、やってないから口笛を吹かれる。見栄なんかしなきゃ良いのに。剣はバホナッソ。はったりだけじゃ通用しないよ。ベンタスでは。

 ルイス・マヌエルは、今日1番良かった。1頭目で良いところほんのちょっとだけを見せた。カポーテでは、全然ダメな牛だった。カポーテの反対に動いていて非常にやりにくかったからだ。だが、ブリンディスして、ムレタに代わったらビックリした。中央に立ってブルラデラにいる牛を誘うと牛はムレタに向かって入りだした。観客はビックリして見守った。

 ムレタを振ると牛は走り抜けて遠くへ行った。左足を一歩引いて右手のムレタを出すと牛はまた走りだしてパセをして、通り過ぎて振り向いた。観客は、オーレを叫びだした。左足を一歩引いて右手のムレタを出すと牛はまた走りだしてパセをして、通り過ぎて振り向いた。オーレが大きくなる。そしてまた右手のパセをやってパセ・デ・ペチョをすると観客は喜んで喝采を送った。

 彼はカポーテの時に既に牛の特性を見抜いていたのだった。だが悲しいかな、技術、才能の質と言うのが足りなかった。せっかく牛の特性を判っていても、その後が続かなかった。後はつまらないファエナになった。判っていてそれを実践することは容易なことではないのだ。つまり、今の彼には技量が不足していたのだ。

 それは、2頭目の牛の時にも確認できた。つまり化けの皮が剥がれたのだった。牛も悪かったがちゃんとしたパセが、何回出来たのだろう。ムレタは角にはらわれ、牛が狙って来るので腰が引け足が流れていた。そして剣刺しは2回ともバホナッソだった。

 今日は、今年のサン・イシドロで最低の日だった。殆ど何もなかった。あるとすれば、マヌエルの1頭目の初めの所だけだった。牛も闘牛士もダメだった。


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