マノロ・マルティネス、良いファエナの直後にコヒーダ。アンドレス・レブエルタが勝手に場内1周。

2005年4月24日マドリード、ラス・ベンタス(第1級)闘牛場の結果。

 小雨が降り途中から雨は上がる。観光客を除いてみんなが冬服を着ての観戦。ダウン・ジャケットを着ていたが、風が吹くので下はズボン1枚なので寒い。ガブリエル・ロハス牧場の牛(Procedencia actual=現在の起源<基の血統>、カルロス・ヌニェス牧場)。4頭目の牛が交換し、ソブレロはフェルナンデス・パラシオス牧場の牛。闘牛士、エル・ニーニョ・デ・ラ・タウリナ、アンドレス・レブエルタ、マノロ・マルティネス=コンフィルマシオン・デ・アルテルナティーバ。観客は1/3弱。ソルのアンダナーダにて、三木田さん、カドヤンと観戦する。開始18時。終了は20時15分頃。

 マノロ・マルティネスは、コンフィルマシオン・デ・アルテルナティーバ。1頭目と6頭目の牛を相手にした。初めの牛の時に、コンフィルマシオン・デ・アルテルナティーバの儀式があった。ニーニョ・デ・ラ・タウリナに何と言われたかは知らないが、彼はコルドバの闘牛士で、フィニート・デ・コルドバしかフィグラのいないコルドバに、もう一つの希望をもたらせる存在になるかも知れない。

 最後の6頭目について書く。大きなゆっくとしたベロニカを繋ぐと、「オーレ」がなった。メディア・ベロニカはアレナ中央で決めて拍手がなる。ピカは非道いところに入った。マノロ・マルティネスが止めているのに、牛の肩胛骨を支える腱を散々痛めつけた。2回ともそうだった。ベロニカの時に良い動きだったのに牛の動きが止まった。だから、ニーニョ・デ・ラ・タウリナがキーテを出来なかった。バンデリージャはクーロ・ハビエルが良い打ち方をした。牛は、観客へ捧げられた。

 ファエナの始まりはアレナ中央で、左手にムレタを折りたたみ、カルトゥチョ・デ・ペスカドでタブラにいる牛を誘いパセを通した。それから手の低いナトゥラルを繋ぐと、「オーレ」がなった。誘うときの距離も良かったし、コロカシオンもナトゥラルも美しかった。やるじゃないかこいつ。そう思ったが、心配が1つあった。それは、カポーテの誘うときに首を左右に振っていたのでいつ体の方に向かってきてもおかしくない牛だったからだ。パセ・デ・ペチョでムレタを牛にはらわれて取られてしまった。牛の前に落ちたムレタを恐がりもせずに急いで取って、また牛に向かった。根性もやる気もある。それから距離を取りクルサードしてナトゥラルを繋いでいたらコヒーダされた。角は左太腿に刺さった。立ち上がって1人で歩いたが傷は深そうだった。血が出ていないから動脈には刺さっていないようだが、神経には達しているかも知れない。カジェホンの中にはいると担がれて医務室に向かった。角傷は、左太腿に15cm。

 代わりに、エル・ニーニョ・デ・ラ・タウリナが登場して闘牛を続けた。コヒーダされたのがナトゥラルだったからか、デレチャッソから始めた。しかし、ナトゥラルの時に比べて誘うときの距離が極端に近くなっていた。そうしないと牛が動かないようだった。クルサードして手の低い長いパセを繋ぐ。悪くはない。だがそれだけだった。そして、コヒーダされたナトゥラルは1度もやらなかった。終わった後アレナに出てきて挨拶したが疑問の残るファエナだった。

 エル・ニーニョ・デ・ラ・タウリナは以前に比べれば考えて闘牛をやっていた。でも、それだけだ。彼がフィグラになれない理由は自分で分かるだろう。技量が足りなくても、もっと工夫が必要だった。『将太の寿司』のように最高の材料(牛)じゃなくても、最高の料理(ファエナ)を観客に提供しようという努力がまだまだ足りない。

 アンドレス・レブエルタには、殆ど何も期待していなかった。だから、今日の彼には未だ希望が持てると思った。5頭目のファエナは良かった。デレチャッソではパセをすると牛が膝を着いた。それでも距離を取ったり、クルサードして牛を誘っていた。ナトゥラルでも初め牛が膝を着いた。距離を取りまたナトゥラルを繋ぐと手の低い長い良いパセが3回繋がった。「オーレ」がなった。パセ・デ・ペチョで牛の返りが早かった。悲鳴の後、拍手が沸いた。牛が悪いのに手の低い長いナトゥラルを3回繋いだのは素晴らしい。後は膝を着いたり、パセが短くなったりで良いファエナにはならなかったが、あそこまで動かした努力を買う。剣は、スエルテ・コントラリアでピンチャッソ1回の後、カイーダで決まった。ペティシオンといえるほどの物ではない耳要求があった。彼は拍手に応え挨拶に出てきてそのまま勝手に場内1周をした。口笛が鳴った。売れない闘牛士。記録が欲しいんだろうが頂けない行為だ。

 ガブリエル・ロハス牧場の牛は力が弱く、仮に初めに動いてもファエナ前半でバテてきて動きが止まってしまう。血統がカルロス・ヌニェス牧場。つまり、ヌニェス・デル・クビジョ牧場と同じで、ラス・ベンタスのようなアレナの広いところでは良い闘牛を観るのが難しい血統だ。ホセ・トマスが1番好きなヌニェス・デル・クビジョ牧場。しかし、ここラス・ベンタスではダメ。牛が悪すぎた。5頭目、6頭目はそれでも未だマシだった。6頭目、マノロ・マルティネスはもうちょっと注意していればもっと良いファエナが続けられたと思う。それが残念だ。


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