2000年4月24日、セビージャの結果

エウヘニオ・デ・モラ、プエルタ・デ・プリンシペを逃す!
サリダ・デ・オンブロス・パラ・プエルタ・デ・クアドリージャ

por 斎藤祐司

 切符を持っていなかったので闘牛場に行ったらダフ屋が寄ってきた。いつものことだ。ソンブラのテンディド2列目を6000ペセタで手に入れる。正規の値段は、9500ペセタ。セビージャはこういうことがある。ダフ屋はこんな使い方もあるのだ。

 ウセダ・レアルは今日は牛に恵まれなかった。何とか牛から良いパセを引き出そうとしていたが結果が出せなかった。しかし観客は失望はしなかっただろう。2頭とも彼は真面目にファエナをした。2頭目で見せたチクエリナ3発とメディア・ベロニカは最高の出来栄えだった。しかし、ナトゥラルの時に牛が止まったり、探したするので非常に危ない牛だった。それがなければもう少し上手く行ったはずだ。

 今日もっと観客を沸かせアフィショナードを喜ばせたのはエウヘニオ・デ・モラだった。初めの牛は、カポーテの時に右側から誘って牛を通すときにカポーテを持って行かれそうになっていたが、ムレタで見せた心地よい時間はその事を忘れさせるに充分だった。クルサードして牛を誘い、右手、左手両方のパセは見事だった。彼の特長である、パセ・デ・ペチョは体の近くにムレタを出して誘って内側から内側へ牛を通す絶品のパフォーマンスを見せてくれた。アフィショナード達はその度に驚きの声を出していて、この声がオーレの声と混じってから、喝采に掻き消されていった。剣刺しは、 Hoyo de aguja と言われる肩骨の間の凹んだ部分に真っ直ぐに入っていった。耳1枚。

 97年、98年のサン・イシドロ祭で見せた決め技はさらにキレを増しているように思えた。

 エウヘニオの2頭目は、非常に難しい牛だった。それだけに価値のあるファエナだった。カポーテの時は、どうにもならないだろうと思った牛が、ムレタに持ち替えて誘うと面白いように向かってきた。それも距離に変化を付けて誘ったのと、牛からの角度も変えていたからだ。そういうところまで判ってきたのかと感心した。

 それにしても面白いように見事なパセ・デ・ペチョが決まった。こんなパセ・デ・ペチョ他に誰が出来るのだろう。誰もマネの出来ないパセ・デ・ペチョだ。剣刺しも良いところに1発で決まった。当然、耳2枚になるはずだった。が、牛がなかなか倒れなくて1回アビソが鳴った。観客がプレシデンテに大声で罵声を何度も上げていた。そんなことがあったから耳1枚が消えてしまった。

 剣刺しの時までは、プエルタ・デ・プリンシペを疑わなかったのだが・・・。非常に残念な結果だった。こんな事もあるのだ。剣があまりにも良いところに刺さるとこの様に牛がなかなか倒れないことがあるのだ。

 ファン・バウティスタは、初めの牛では真面目にパセを繋いでいたが、牛が悪かった。良い剣が入ったが彼には可哀想な牛だった。2頭目の牛は、変な動きをする牛だった。が、ちゃんとパセの出来る牛だった。が、パセをするのに苦しんでいた。ガッカリの結果だ。今年のバレンシアでグラン・ファエナしたファンは、セビージャでは良いところを見せることが出来なかった。

 エウヘニオは、カピタリスタに肩車されて場内一周してクアドリージャの門から出ていった。本当に惜しい事だ。あの時牛がすぐ倒れていたら今日この瞬間プエルタ・デ・プリンシペが見れたのに。エウヘニオ、またサン・イシドロで会おう。5月2日のゴジェスカでそのパセ・デ・ペチョを見せてくれよ!


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