2000年5月23日、ラス・ベンタス(マドリード)の結果

ハビエル・カスターニョ、プエルタ・グランデ!
グラン・トゥリンファドール・デ・ノビジェーロ!
彼はホセ・トマス2世か? エル・トレオン、グラン・トロス、2頭!

por 斎藤祐司

 快晴のラス・ベンタス闘牛場。エル・トレオン牧場。ビクトル・デ・ラ・セルナ、セバスティアン・カステージャ(フランス人)、ハビエル・カスターニョ。ほぼ満員。

 何よりも先に書かなければならないのは、ハビエル・カスターニョ。彼は、グラン・ファエナを2頭の牛でやった。

 1頭目は、足を揃えたベロニカを繋ぎ、左右に手を代えてのラルガの連続をして観客を沸かせた。ピカは、右に入った。キーテは体の近くを通すチクエリナを繋ぎラルガで締めた。オーレと悲鳴が上がる。ピカは左後ろに入った。ムレタでは、手の低い長い右手のパセを繋ぐとオーレがなった。ナトゥラルも手の低い長いパセを繋いだ。クルサードをしている。パセ・デ・ペチョも脇が絞まっている。牛が何度も体に触って揺れていた。ムレタ捌きが上手い。剣を代えに行くとき油断から、後ろを向いて歩いていくときにコヒーダされる。だが、コルナーダにはなっていない。

 剣を代えてからのマノレティーナの剣先とタキージャドールが反対になったパセ(何と言ったかど忘れした)を牛の近くで誘って始めると悲鳴とオーレがなった。牛が体に近くを通るからだ。剣はレシビエンドで決めた。瞬間観客は立ち上がったが、何と物凄いバホナッソだった。前のおじさんは頭を抱え、隣のおっちゃんは、ケ・ラスティマ!ケ・ラスティマ!と何度も言っていた。牛は口から大量の血を吹き出してもんどり打って倒れた。耳2枚が消えた瞬間だった。あー剣さえちゃんと決まっていれば耳2枚だった。観客はため息混じりに下を向いた。

 ハビエル・カスターニョの2頭目も良い牛だった。出てくるとその容貌の美しさに拍手が起きた。角は上を向き、走り回る牛だった。シンプルなベロニカでオーレがなる。ピカは、右、右前に入った。牛は膝を着くと観客は口笛と手拍子を鳴らし牛の交換を要求した。が、こういう牛は代えない方が良い。バンデリージャで元に戻る可能性を持っているからだ。ブリンディースは観客に捧げられた。大きな拍手が沸く。モンテラ(帽子)は、かぶる方が上を向いた。観客はガッカリしていたが・・・。牛は案の定、ムレタになったらちゃんと動き出した。

 両足を揃えた両手のパセを通すとオーレが鳴りだした。牛は体に触れながら通っていく。右手の低い長いパセを決めてパセ・デ・ペチョをすると牛はハビエルの体に肩をぶつけながら通っていった。もう観客はハビエルものもだった。オーレと喝采が鳴った。クルサードしてパセを繋ぎ、パセ・デ・ペチョ。右手のパセを繋ぎ、パセ・デ・ペチョの時に牛が止まりかけてコヒーダされそうになるがこそを動かず堪えて、パセをすると闘牛場は拍手に包まれた。ホセ・トマスのようなクルサードをして観客を引きつけた。マヌエル・カバジェーロのようにして、牛の前でムレタで牛を止めたりしていた。

 ナトゥラルでも、2本の角を越えてクルサードして行くと、拍手が鳴った。ムレタを牛の方に出すと牛はゆっくりと動き出した。オーレ。手の低い長い綺麗なナトゥラルだった。パセ・デ・ペチョを決めると観客は立ち上がって喝采を送った。剣を代え、スエルテ・ナトゥラルで、物凄い剣を決めた。総立ちになった闘牛場の観客は手に白いハンカチを持って振りだした。牛は前脚を踏ん張って口から血を吹き出して倒れないようにしていた。

 だが、もう時間の問題だった。観客は興奮しながら待っていた。牛は崩れるように倒れると、ハビエルは後ろを向いて胸を張って右手を上げると観客は歓喜の声を上げて手に持ったハンカチを振ってプレシデンテに口笛を吹いて耳を要求した。プレシデンテは白いハンカチを出した。観客は今までより大きな口笛を吹いてもう1枚の耳を要求した。当然の要求だった。もう一枚のハンカチだ出された。

 カジェホンからカピタリスタたちがアレナの中に走っていった。アルグシルから耳2枚を受け取って観客に挨拶するとハビエルの股座にカピタリスタの1人が頭を突っ込んだ。肩車されたハビエルは両手に耳を1枚ずつもって場内一周をしてプエルタ・グランデから出ていった。

 この日出た、ビクトル・デ・ラ・セルナはもう闘牛をやめた方が良いだろう。殆ど何も持っていなかった。才能がないのだ。もう1人出た、セバスティアン・カステージャは、若く才能を持っているパセを見せた。ただ、良い牛が出ているのに耳を取れなかったのが不満だ。

 ハビエル・カスターニョが相手にした牛は、グラン・トロだった。ただ牛をグラン・トロにしたものまたハビエルだったのだ。他の2人は牛を生かせなかった。ビクトルは牛をダメにし、セバスティアンは、生かせなかった。全体的に突進する牛だった。闘牛には適している牛が出てきた。エル・トレオンの牛は今年のサン・イシドロの中で最も優秀な牛を出した牧場だ。これは、今年休養を取っている闘牛士、セサル・リンコンの牧場だ。

 セサル・リンコンは、パルラデ系の血統の牛を飼育している。ハンディージャ、ファン・ペドロ・ドメクと言った良い牛を出す牧場から牛を買ってきて交配した。彼が厳選した血統で良い牛を出す。セサルの目と飼育方法が間違っていないことを証明した。

 3日続けての耳。こんなサン・イシドロも珍しい。本当に良い闘牛だった。


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