2000年5月22日、ラス・ベンタス(マドリード)の結果

ソトルコ耳1枚!ポンセ、ペティシオン。カバジェーロ、グッと来るファエナ。

por 斎藤祐司

 曇りがちだったが闘牛が始まる頃は晴れた。プエルト・デ・サン・ロレンソ牧場。ソトルコ(メキシコ)、エンリケ・ポンセ、マヌエル・カバジェーロ。今日もノー・アイ・ビジェテ。今日はノートとボールペンを忘れて行ったので新聞に鍵で傷を付けるようにして書いていたら、5頭目から、後ろに座っていたおばさんがボールペンを貸してくれた。だから、短い観戦記になる。

 ソトルコの、1頭目は、脚が悪く直ぐ交換になった。ナトゥラルは良かった。が、パセ・デ・ペチョは脇が開いていた。手の低いパセを繋いでいた。剣は、スエルテ・ナトゥラルで凄い剣を刺した。2頭目では、化けの皮がはげるのかと思っていたら違った。カポーテでは足を止めたパセが出来ない牛だった。ブリンディスは観客に捧げられた。嘘だろうと言うのが感想だった。良い牛には見えなかったからだ。しかし、ピカが1回しか入れなかったから動くかも知れないとも思った。

 右手、左手とも手の低い長いパセを繋いだ。パセ・デ・ペチョもそんなに脇は開いていなかった。丁寧に忍耐強く牛を誘い続け、パセを繋いだ。よく頑張ったと思う。これだけパセを繋げば合格だ。剣も決まり耳1枚。これは耳にすべきだ。。そうじゃないと闘牛士としても芽を摘むことになりかねない。来年もサン・イシドロに来いよ。もっと良い闘牛士になって。

 ポンセは、いつものパセを繋いだ。1頭目で観客を沸かせた。ゆっくりした綺麗なパセを繋いで、オーレをならせた。パセ・デ・ペチョはいつもの通り脇が極端に開いていた。それでも半分の観客は美しさに騙されている。近場でクルサードして牛を誘う。どうだやってるだろうと、見栄を切るが、ちっとも良くない。剣は、バホナッソだった。観客は耳をプレシデンテに要求したが出さなかった。当然の判定だった。

 2頭目では、美しいベロニカを決めてオーレがなった。例の外を大きくなわすパセだ。見た目は綺麗だがやることをやってないのは明らか。キーテは、チクエリナを繋いだが、どうしてポンセはカポーテを持った両手を牛を通す方にやるのだろう。ノルマルは、あくまで手は脇の下、辺りにないとダメなのに・・・。それでも、オーレがなる。不可思議。

 ムレタでは、膝を折ったパセから始め中央へ。脇の開いたパセ・デ・ペチョ。半分は拍手をするが、いろんな場所から大きな口笛が鳴る。当然だ。ここは、手加減しないラス・ベンタス闘牛場なのだから。クルサードしたりしなかったりのナトゥラル。パセが繋がらないので直ぐに諦めて剣刺し。スエルテ・コントラリアでバホナッソ。口笛が鳴る。牛も悪かった。観客は牛の交換を要求したが叶わなかった。でも、膝を着いたりしないから代えようがなかった。

 マヌエル・カバジェーロは、1頭目の牛はどうしようもなかった。カポーテから何とか動かそうと努めていたが牛は動かなかった。2頭目では、ちょっとグッと来た。カポーテの誘うとき反対に動く牛だった。非常にやりにくい。ピカは右後ろに入る。ピカ後膝を着いて交換になる。

 代わった牛は、ペーニャハラの牛。動きの悪い牛をカポーテを出来るだけ大きく外に振って牛に動きを教えていった。ピカは良いところに入ったがコッホになる。バンデリージャを刺すとき、カポーテを多く振りすぎた。ムレタは、膝を折った右手のパセから始めた。手の低いパセを繋ぐ。が、闘牛士を探しだした。角は何度もマヌエルの体を探りに来た。後ろのおばさんは何度も、「危ない!」と叫んだ。

 それでも牛の目の前でクルサードしてパセをした。牛が振り向くと一歩だけ引いて動かなかった。逃げない。拍手が沸く。クルサードしていても、後ろのおばさんは、「危ない」と言った。ムレタを何度持つのではらったが、諦めずに丁寧に大胆にパセを繋いだ。あれだけ牛に探られたら途中で投げ出すのに・・・。角が目の前にあっても逃げなかった。男だぜマヌエル・カバジェーロ!剣はアレナの中央でピンチャソ1回。もう1度中央でバホナッソ気味に決まった。やー凄い。剣が決まっていたら耳だっただろう。

 ソトルコは、良くやった。耳にするべきファエナだった。ポンセのは、耳にすべきではないファエナだった。その違いは、正しく仕事をしたかどうかだ。マヌエルは、惜しかった。耳取れたファエナだったぞ。


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