99年5月20日、ラス・ベンタス(マドリード)の結果

ビセンテ・バレラ、剣刺しが悪く耳を逃す!

por 斎藤祐司

 

 牛、サムエル・フロレス。闘牛士、エンリケ・ポンセ、ビセンテ・バレラ、ミゲル・アベジャン=コンフィルマシオン・デ・アルテルナティーバ。

 曇り空だが、日が射して暑かった。

 期待のアベジャンは牛も良い牛に当たらなかったが、見せ場らしい見せ場がなく終わった。まだ若いしこれからに期待しよう。去年のサン・イシドロのノビジェーロ(見習い闘牛士)のトゥリンファドール(最優秀見習い闘牛士)も、正闘牛士になって初めて向かえるサン・イシドロでは厳しい評価が待っていた。

 ポンセの1頭目は牛が悪く可哀想だった。2頭目ではクルサードが足りなく観客から口笛を吹かれていた。またパセ・デ・ペチョでは相変わらず、脇が開いて口笛を吹かれた。剣刺しの肺に刺すバホナソで、退場の時は口笛を吹かれた。ポンセはここでは、評価が低い。ホセ・トマスと比べられるとあまりにも違いすぎるので可哀想と言えば可哀想だが実力なのだから仕方がない。

 バレラは初めの牛で観客を沸かせ今日の主役になった。足をあまり開かない彼流のパセで牛を動かしていた。クルサードもしていたし、手も低かった。バレラは彼自身の魅力十分発揮した。剣だけがバホナソだった為に、耳が出なかった。観客の多くは白いハンカチを振っていたが闘牛を分かっている人は、彼の剣刺しが横から入っていることを知っていたので耳にはならないと思ったろう。バレラはブエルタ(場内一周)をする。凄く惜しいことだが、冷静に言えば、それが一流になるかならないかの境目になる。あれで耳切れなきゃなぁ。

 でも悲観することはない。次ぎ出てくるときに切ればいいのだ。次は6月5日だ。

 闘牛は厳しい。特にここラス・ベンタス闘牛場の観客は世界一厳しい。だからこそここで切った耳の価値が大きいのだ。だからこそ、ここでプエルタ・グランデの意味が他とは違うのだ。ここでプエルタ・グランデをすればスペインだけじゃなく、世界の闘牛場から、お呼びがかかるのだ。闘牛士の最高の夢。それがラス・ベンタス闘牛場のプエルタ・グランデを開けることだ。


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