努力の人、ペピン・リリアが徹底して観客を喜ばせて耳1枚。エル・シド耳1枚。

2006年4月20日セビージャ、レアル・マエストランサ(第1級)闘牛場の結果。

 晴れ。初めはTシャツでも暑いが日が暮れると風が吹き肌寒い。ビクトリーノ・マルティン牧場の牛(Procedencia actual=現在の起源、または<基の血統>、マルケス・デ・アルバセラーダ牧場)。ソブレロ、ホセ・ルイス・ペレダ牧場。闘牛士、ペピン・リリア、ルイス・ミゲル・エンカボ、エル・シド。満員。ノー・アイ・ビジェテ。カメラ席の下などで、下山さんと観戦する。開始18時30分。終了は時間を取っていないので不明。始まる前にパティオ・デ・クアドリージャで闘牛士のアップの写真が撮れた。

 ペピン・リリアの初めの牛はパセをすると直ぐに膝を着く牛だった。おまけに左角が短いし、段々返りが早くなった。こういう牛は難しい。牛が倒れないように大きく外を廻してパセしようとしても、パセの最後で体に向かってくるので危ない。こう言うところは、ビクトリーノの牛らしいが直ぐに膝を着くところはビクトリーノらしくない。剣を代えての、牛の置き方がペピンは上手い。ムレタを振ったりせずに、自分が立っている位置を変えることによって牛を置こうとする所が素晴らしい。剣は2/3テンディダで入った。

 4頭目の牛もやりにくかった。何歳になってもポルタガジョーラをやる。オーレがなりベロニカを繋いだ。こういうファンサービスを常に心がけている。ピカは左後ろに入り離れると牛がアレナに角を突き1回転した。1回目にピカは左前に入った。エンカボがチクエリナ2回メディア・ベロニカをして観客を沸かせたが、牛が体の近くを通っていた。良い牛ではなかったが観客に牛が捧げられた。デレチャッソをするが牛が混乱して足を止めたパセが出来ない。デレチャッソでムレタを牛に踏まれ落とす。牛があらだの近くを通りパセの後の返りが早い。

 しかし苦労しながら丁寧にパセを繋ぎパセ・デ・ペチョのあと牛の前で止まり見栄を切ると喝采がなった。ナトゥラル繋ぐと、ビエンという声がなったが体の近くを牛が通り危なかった。直ぐにデレチャッソに変えてパセ・デ・ペチョ。拍手。デレチャッソからパセ・デ・ペチョ。喝采。デレチャッソからパセ・デ・ペチョ。手の低い長パセが段々繋がるようになりオーレが続く。牛の前で見栄を切ると喝采がなった。しつこいくらい粘ってパセを繋ぐ。観客はそのひたむきな姿に次第に虜になっていく。デレチャッソからパセ・デ・ペチョ。牛の前で見栄を切ると喝采がなった。ようやく剣を代えて、スエルテ・コントラリアで2/3テンディダで決まり耳1枚。嬉しそうに場内1周をした。努力の人、ペピン・リリアが徹底して観客を喜ばせた結果の耳だった。

 ルイス・ミゲル・エンカボの初めの牛は、ベロニカのあと2回角をアレナに突き2回、回転した。パセのあと膝を着く。エル・シドのキーテは、ベロニカ2回メディア・ベロニカ。メディア・ベロニカは良いがベロニカはいまいちだ。バンデリージャは自分で打ち3回とも角の間で打って喝采を浴び挨拶をした。牛は観客に捧げられた。膝を折ったデレチャッソから始め中へ。離れデレチャッソでクルサードしてパセを繋ぎパセ・デ・ペチョ。丁寧にパセを繰り返す。牛はビクトリーノらしくない。キビキビした動きをしない。ナトゥラルを4回繋ぎビエンの声がかかりパセ・デ・ペチョ。ナトゥラルからパセ・デ・ペチョ、トゥリンチェラで拍手。剣を代えてスエルテ・コントラリアで入る。

 2頭目の牛は、ピカドールが乗った馬を牛が倒した。2回目のピカは遠目から牛を呼んで刺したので喝采を受ける。僕はその前の牛の手綱捌きが気に入らなかったので拍手しなかった。今度もバンデリージャを自分で打った。3回とも角の間で打って拍手を受けた。膝を折ったデレチャッソ4回で牛が膝を着いた。ナトゥラルを2回すると角が短かった。直ぐにデレチャッソに変えてパセ・デ・ペチョでまた膝を着いた。またナトゥラル3回で膝を着く。ナトゥラルからパセ・デ・ペチョ。パセが短いのとパセのあとの返りが早い。デレチャッソでもパセが短くなったので剣を代えた。スエルテ・ナトゥラルでピンチャッソ。スエルテ・コントラリアでピンチャッソ。そのあと決まった。今日は良いところを見せられなかった。

 エル・シドは、16日の感じたがカポーテの振り方はノビジェーロの様に拙い感じがする。バンデリージャで牛が膝を着いていたが、牛は観客に捧げられた。膝を折ったデレチャッソから牛をアレナ中央へ。ナトゥラル繋ぐと牛が膝を着いた。ナトゥラルからパセ・デ・ペチョ。パセの時の手の高さをメディア・アルトゥーラにしてパセするとパセが通り始めた。ナトゥラルが3回繋がりパセ・デ・ペチョ。で、オーレがなり拍手がなった。ナトゥラルを4回繋がりオーレがなる。デレチャッソから手を替えてまたナトゥラルを繋ぎパセ・デ・ペチョで見栄を切ると、オーレが続き喝采がなった。この頃から良いパセにならなくなった。牛が良くない。デレチャッソからパセ・デ・ペチョと繰り返すがオーレはならなかった。剣を代えて、スエルテ・コントラリアで入るが耳の要求もなく挨拶。

 最後の牛はピカもしないで、膝を着いたり転んだりしたわけでもないのに、交換になった。意味が判らない。耳を取れるどうかは判らないが面白そうな牛だったのに、セビージャの観客は幼稚な地元びいき。プレシデンテも最低だ。これで何百万ペセタもお金がかかるのに・・・。ソブレロは、ホセ・ルイス・ペレダ牧場良い牛が出てきた。ベロニカで膝を着いたりしていたが、やりやすい牛で、アレナ中央で牛を呼んでデレチャッソから始めた。オーレが続いた。特に手の低いナトゥラルが良かった。オーレがなりパセ・デ・ペチョのあとに見栄を切って喝采を受けていた。もうフィグラの落ち着きだ。剣を代えて、ナトゥラル、トゥリンチェラを繰り返しスエルテ・コントラリアで牛を置きテンディダだったがちゃんと決まり耳1枚。クルサードしての手の低いナトゥラルはラス・ベンタス闘牛場を沸かせたエル・シドそのものだった。

 今日のビクトリーノ・マルティン牧場の牛はダメだった。不発。去年があまりにも良すぎたので今年はダメだったのか。でも、馬でもそうだが毎年良い馬を出す牧場などいないのだ。そういう波は必ずある。ベンタスに期待したいがどうなんだろう?


http://www2u.biglobe.ne.jp/~tougyuu/以下のHPの著作権は、斎藤祐司のものです。勝手に転載、または使用することを禁止する。


ホームに戻る  2006年闘牛観戦記