マティアス・テヘラ耳1枚。ファンディ、耳にならず。

2005年5月19日マドリード、ラス・ベンタス(第1級)闘牛場の結果。

 2005年サン・イシドロ第9日目。晴れ時々曇り。時々風が吹いてやりにくい場面があった。エル・ピラール牧場の牛(Procedencia actual=現在の起源<基の血統>、アルデアヌエバ(ファン・ペドロ・ドメク)牧場)。闘牛士、フェルナンド・セペダ、エル・ファンディ、マティアス・テヘラ。プレシデンテ、セサル・ゴメス・ロドリゲス。ほぼ満員の入り。ソルのテンディド5バッホにて、Tさん、Yさんと一緒に観戦する。19時開始、終了時間記録せず。多分21時15分頃終了。

 フェルナンド・セペダって、もう今日やったことが精一杯なのかも知れない。4頭目の牛は、僕には危ない牛に見えた。しかし、闘牛場のオピニオン・リーダーのテンディド7はファエナが出来る牛と判断していた。彼には出来る牛ではなかったと思う。もうそういう力がないと思うからだ。残念なことであるが・・・。

 エル・ファンディは、今日いくつかの間違いを犯した。そういう物が耳にならなかった要因になったいると思う。第1の間違い。2頭目のバンデリージャ打ちの1番始めに、右に回りながら牛の角の間に飛んだがバンデリージャを打てなかった。その時は何故打てなかったのかは判らなかったが、TVのスローで観ると、左手に持ったバンデリージャが上を向いていたために、そのまま打ちに行くと、そちらの側の1本が刺さらない状態になるために打たなかった。でも、その時の闘牛場の反応は、どうしてファンディが打てなかったのか、疑問に思った。牛に飛んでいったタイミングが悪いと判断した。つまり、これほど上手いバンデリージャを打っていた人間でもこんな事をするんだと驚いたのだ。

 間違いその2は、5頭目の牛のファエナの時の、ムレタの振り方である。右(デレチャッソ)でも左(ナトゥラル)でも、パセの最後の部分で手首を返さないで振っていた。だから、牛は体の左右に動くだけでリガールするようなパセにならないし深さも味もないつまらないパセが続いた。牛は動く、パセが繋がるが、「オーレ」が少ない。声が小さい。原因は、ムレタの振り方だった。今TV解説をやっているエミリオ・ムニョスは去年、「手を高いパセをすれば牛はつぶれない。手の低いパセは深さがある」と言った。ファンディのパセには、観客を酔わせるような深さが足りなかった。

 パセの時に首を振る、牛だったが距離の取り方は良かった。足がドタドタしたり腰が揺れたりする場面は少なかった。見方によっては耳に値するファエナと判断した人がいた。剣はスエルテ・コントラリアでテンディダで決まった。闘牛場に白いハンカチが振られた。耳を催促する口笛も吹かれたが、闘牛場全体を包んだがハンカチの白が薄かった。耳にはならず、牛が退場した後にファンディに拍手が沸いたが出てこなかったし、場内1周もなかった。

 マティアス・テヘラは、最後の牛で耳1枚切った。ファンディとの違いは、手首を返すパセを繋いだことだ。手の低い長いパセだったが、早かった。ファンディの方がパセはゆっくりして、テンプラール気味だった。マティアス・テヘラの体系的な事もあるが、パセの時の姿勢が良いのと、綺麗に見えるのだ。そういうところが得をしている。ファンディは逆にそういうところがないのが損をしているのだ。「オーレ」の声もファンディの時より大きくなった。剣は、スエルテ・コントラリアでカイーダ気味に決まったが、白いハンカチが闘牛場を埋めた。明らかにファンディの時よりも多いハンカチが振られていた。プレシデンテは、耳1枚出すことを許可した。

 ファンディは以前に比べれば毎年毎年カポーテもムレタも良くなっている。でも、今日は残念ながら耳は取れなかった。腐ることはない。ここは、世界一厳しいラス・ベンタス闘牛場なのだから仕方がない。5頭目の牛のバンデリージャの最後に打った後、牛の前にて置いて牛を動かして長い距離走ってから牛を止めて喝采を受けた。こういう事を出来るのはファンディとかフェレーラとかしか今はいない。観客はファンディのバンデリージャを心から楽しんでいる。次にも耳を取るチャンスがあるだろう。マティアス・テヘラは徹底的な欠点がないから耳が切れた。僕には面白いパセではなかったが、闘牛は耳が出たから面白いという物でもない。


http://www2u.biglobe.ne.jp/~tougyuu/以下のHPの著作権は、斎藤祐司のものです。勝手に転載、または使用することを禁止する。


ホームに戻る  2005年闘牛