快晴のマドリード、ラス・ベンタス闘牛場。牛、バルデフレスノ牧場。闘牛士、ペピン・ヒメネス、ホセ・ルイス・ボテ、ダビ・ルギジャーノ。ノー・アイ・ビジェテ。下山さんと行き、テンディド6、バッホにてSさんと一緒に観る。
ペピン・ヒメネスは、4頭目の牛で場内1周した。と言っても口笛を吹かれても勝手に、場内1周したんだけど。始めは牛が悪くて何もできないのは判る。4頭目は何?頭が高くてやり難い牛なのは観れば判る。でも、殆ど危なくないじゃない。それでパセ繋いだからってどうだって言うの。手は高い、腰の入っていないパセ。いつも同じ距離で闘牛やっている。たまたまパセがテンプラール(ゆっくり)だったから、「オーレ」の合唱がなったけど。でもそれは、タダ一点、牛の距離に気を付けてムレタを振っていれば良い訳だよね。まっここまでは、許すとしても、まともなナトゥラルを1度もしなかったのはどういう訳。別に左が危なかった訳じゃないのに。納得できないファエナ。観客からも「イスキエルダ」と何度も言われていたじゃない。剣刺しが、メディアで直ぐに抜けて次がカイーダ。それでも、場内1周する度胸があるなら、それは牛の前で見せて欲しい。
ホセ・ルイス・ボテ。今日は牛が悪かった。5頭目の牛をブリンディースしたのは馬鹿げている。クーロ・ロメロのような生け花を刺すような、やる気のないピンチャソには頭を抱えた。散々口笛と罵声を浴びた。今日は全く観るべきものがなかった。これじゃ、マドリードの観客に相手にされなくなるぞ。ただ一つ良いことがあるとすれば2頭目の牛の時、止まらない牛から距離を取って牛を止めてからパセをしたこと。この辺は当たり前だけど、ペピン・ヒメネスは全く出来ていない。一応、彼はマドリード闘牛学校のプロフェソールなのだ。2頭目の牛のバンデリージャ打ちでエル・チャノが喝采を受け挨拶をした。
ダビ・ルギジャーノは、3頭目の牛で非常に良いファエナをした。でも、もっと良くなっていたはずなのにそれが出来ないのは、目であるものをしっかり見、頭で考え、体で覚える闘牛をしてこなかったからだと思う。この牛は、後ろ脚の甲を着きながら止まる悪い牛だった。しかし、右手の膝を折ったパセから始め、アレナ中央で、牛を遠くから呼ぶと動く牛だった。手の低い長いパセが繋がると闘牛場は盛り上がり、「オーレ」がなった。綺麗なトゥリンチェラを決めたら、充分距離を取って遠くから牛を誘うと、また牛は動き出した。アレナ中央部で、手の低い長いパセでルギジャーノは、牛と舞踏した。
足を大きく開き、手の低い腰の入ったパセは見事なものだった。観客は歓びパセの度に「オーレ」を歌った。パセ・デ・ペチョを決めると喝采が鳴った。それから距離を充分にとってナトゥラル。これが不味かった。牛に近づく。もう誘っても良い位置に来ているのに、それでも距離を詰める。牛が前掻きをしているのに距離を詰めるから、もっと遠くから牛を誘えるのにそれが出来なくなった。牛が前掻きをしているときは、その場に立ち止まるか、ムレタを振って牛の気をこっちに向けてから距離を詰めないと、誘うための動作にならないのだ。だから、折角のナトゥラルも普通のナトゥラルにしかならなくなる。遠くから呼んでナトゥラルを繋いでいたら耳2枚のファエナになっていたような気がする。そこが1番不満だった。
それをやってパセ・デ・ペチョの後、牛の前で見栄を切ったらどんなに格好良かったことか。剣を代え、膝を折ったアジェダード・ポル・バッホを繋ぎ、スエルテ・ナトゥラルでメディア。デスカベジョ4回で場内1周ってのは納得できない。恥を知った方が良い。
6頭目。最後の牛では、全然良いファエナじゃないので何故か沸いた。剣を代え、マノレティーナ。全然良くない。何の感動も、技術も感じなかった。スエルテ・ナトゥラル良いところにテンディダで決まり牛が倒れて、何故か観客は耳を要求し、何故かプレシデンテは耳を出した。剣だけで切った耳?そんな馬鹿な。これで耳を要求した観客も観客なら、耳と出すプレシデンテもプレシデンテ。呆れ返ったもんだ。場内からは抗議の手拍子や口笛が沢山鳴った。そんな中耳を持って場内1周。ちゃんとした闘牛ファンからは口笛が吹かれ、右手の人さし指を1本だけ立てて左右に振って、「ノー」のジェスチャーがそこらじゅうで見られた。
闘牛士の退場の時、1番口笛を吹かれたのは、ダビ・ルギジャーノ。当然だ。恥知らず。田舎闘牛ならともかく、ここはラス・ベンタス闘牛場だ。今日はいつもの観光客相手の日曜日の闘牛と何処が違うのだ。ノー・アイ・ビジェテだった事くらいしか違わない。レベルの低い観客は闘牛をダメにする。これじゃサン・イシドロじゃない。えっ、何であれが耳なんだ!ダビ・ルギジャーノ?君に聞いても判らないか。
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