99年5月18日、ラス・ベンタス(マドリード)の速報

ホセ・トマスが今年のサン・イシドロで初めてのプエルタ・グランデ

por 斎藤祐司

 牛、エル・トレロ。闘牛士、セサル・リンコン、リベラ・オルドニェス、ホセ・トマス。

 小雨がちらついたりする曇り空の下で、ホセ・トマスが耳1枚、耳1枚と続けてプエルタ・グランデをした。大観衆の中で観客の視線を一身に浴びてカポーテから、剣刺しまで自身の魅力を充分に出した。今年もまたホセ・トマスに年になるような気がした。超の付く一流とはこういう闘牛なのだ。

 セサル・リンコンは、牛に恵まれず力を発揮できなかった。この日4頭目の牛は、非道すぎるマンソ。誰がやってもまともなパセが出来なかっただろう。ふてくされもせず、怒りもしない。首を振って「出来ないよ」と言う仕草もせずに真面目にパセをしようとしていた。頭が下がる思いだ。

 それに比べて、リベラ・オルドニェスは良い牛を相手にして何も出来なかった。実力とはそういう風に出るものだ。上の2人と一緒に出ること自体間違ったカルテルだ。

 今日はファン・カルロス国王が来ていた。その母親のバルセロナ侯爵夫人と、娘のクリスティーナも来ていた。そして、エンリ・ケマルティン・アランスの隣には、ホセ・ミゲル・アロージョ・デルガドこと、ホセリートがいた。


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