自己陶酔!ハビエル・コンデ、踊った!耳1枚。モランテ、芸術を語りプエルタ・グランデ!

2003年5月18日マドリード、ビスタレグレ闘牛場(第3級闘牛場)の結果。

 晴れ。屋根付きだから雨が降っても関係ないビスタレグレ闘牛場。エルマノス・トルナイ牧場。闘牛士、フィニート・デ・コルドバ、ハビエル・コンデ、モランテ・デ・ラ・プエブラ。目分量で1/4から1/5の入り。テンディド14でシーラさんjosemiさんと観戦す。

 フィニート・デ・コルドバは、クルサードが足りないピコのパセで牛を動かし観客を沸かせた。剣が決まらず耳を取れなかった。一連のパセが終わった後、牛との距離を取るから牛が動く。ピコだけど。その辺がアンダルシア流1流闘牛士。ベロニカも綺麗だったし退場の時も拍手を貰っていた。

 ハビエル・コンデはラス・ベンタスなどの観客にはうけない闘牛士。でも、こういう3級(資料が手元にないのではっきりしないが)闘牛場では牛が良いと思いきり自分の闘牛が出来る。クルサード?そんなもの俺の闘牛にいるか!という感じでクルサードなどせずにファエナを始めたが、どうだ凄い闘牛だろうと自分に酔ってくるとクルサードを始め、まるでフラメンコの様に踊って牛に近づきモリネーテなどを始める。スペインのワイドショー系闘牛士、ハビエル・コンデはこんなヤツだ。

 強烈な個性(好きか嫌いかは別)。カッコマン。気障。でも良いのだ。こんなに陶酔した僕ちゃんを見て!もう自分の世界の中で闘牛をやっているのに観客に大うけ。パセ・デ・ペチョなんて、ムレタの先っぽをちょっとだけ動かして牛を誘いアレナに着きそうなくらい手を低くしてパセしちゃう。手は低いけど脇が物凄く開いているけど、関係ないジャン。牛に背中を見せて見栄を切るとき、全身が硬直痙攣勃起した男性自身の様。揺れる油をつけたオールバックの髪の毛だってほらセクシーでしょ。これに惚れたのよ、僕の嫁さん、エストレジャは!だって僕、格好いいんだもん。ほーら、パセ・デ・フローレンスだって遠くから牛を誘って出来ちゃうし、牛の角の間に正面を向いて立ちムレタを軽く横に振って牛を誘う。見て見てこれって誰も真似でないでしょう。ほら、綺麗なパセでしょう。僕ちゃん、ちゃんとクルサードしちゃって凄いでしょ。パセだって綺麗でしょ。みんな、「オーレ」言っちゃってるジャン。

 ハビエル・コンデはのったら手が着けられないくらい派手。そして、そういう闘牛の方が面白い。今日は期待以上に張り切っておりました。調子の良いときのバロメーター、クルクル回って牛を誘うのも出たし、今日は大満足でした。剣がピンチャソ・オンダで、デスカベジョ1回。観客は2枚目の耳を要求したが剣が悪かったので耳1枚止まり。残念!でも、場内2周した。初めて闘牛を観たjosemiさんは、「これがワイドショーに良く出ているハビエル・コンデなんだ。可笑しい!」と言って笑っていた。シーラさんも、「私の闘牛の概念を根本的に覆しました。エル・フリは派手だと思っていたけどハビエル・コンデの方がずっと派手」とこちらも笑っていた。josemiさんは、チョコチョコステップを踏んで牛を誘い回ったり、回りながらパセしたりを見て、「踊ってる!」と言っていた。そうこういう踊りが出るときのハビエル・コンデは良いんです。昔の俺だったら怒っていたかも知れないが、今は笑って楽しんで観れますよ、ハビエル・コンデ。俺も成長したもんだ。あれっ、君って全然変わってなかったけ?そっ、ハビエル・コンデだもん!

 モランテ・デ・ラ・プエブラは、3頭目の牛でも耳を取れたが剣が悪く耳が消えた。しかし、最後の牛でグラン・ファエナをした。ハビエル・コンデの余韻が未だ残っている闘牛場でカポーテから美しいベロニカを繋ぐと、「オーレ」がなった。ピカの後のキーテも美しいベロニカをゆっくり繋ぎメディア・ベロニカ、ベルモンティーナ。喝采が沸く。アジェダード・ポル・アルトからナトゥラルを繋ぎパセ・デ・ペチョ。直ぐに音楽がなった。手の低い長いパセをリガールする。闘牛場に「オーレ」が叫ばれる。もう美だ!芸術だ!

 右手の低い長いゆっくりとしたパセを1歩後ろ足を引いてパセをリガールする。肩、腰のラインから足先までの曲線、ムレタと牛の動き全てが美しい瞬間だ。ライトに反射する光の衣装もそれらを味付ける1部に過ぎない。牛とモランテの美しい舞いは今日のハイライトだ。剣を代えて、左のモリネーテ、デレチャソを繋ぎパセ・デ・ペチョ。「オーレ」がなり喝采にかき消された。スエルテ・ナトゥラルで牛を置き、「あっ」と声を出して牛を誘いレシビエンド。見事に決まった。牛は直ぐに座り白いハンカチが振られた。プンティージャ1回。剣はカイーダだったがそれは良いだろう。モランテが1回でレシビエンドを成功させたのを初めて見た。素晴らしく芸術的な闘牛だった。当然耳2枚。プエルタ・グランデした。

 初めて闘牛を観たjosemiさんは、プンティージャで留めを刺しているときに、牛の足がピクピク動くと可哀想に思うと、言っていた。それでもハビエル・コンデ踊りと、モランテの芸術的なファエナには驚いていたようだった。シーラさんは、ハビエル・コンデの闘牛に驚き、モランテの美しさに酔った様だった。僕もハビエル・コンデはとても楽しかった。モランテの美しいファエナとレシビエンドが観れて満足だった。今日はベンタスじゃなくてビスタレグレに来て本当に良かった。


http://www2u.biglobe.ne.jp/~tougyuu/以下のHPの著作権は、斎藤祐司のものです。勝手に転載、または使用することを禁止する。


ホームに戻る   2003年闘牛観戦記に戻る