2000年5月18日、ラス・ベンタス(マドリード)の結果

牛がタブラを越えてカジェホンに・・・
フエルテ・ペティシオンも、ペピン・リリア場内一周。

por 斎藤祐司

 快晴のラス・ベンタス闘牛場。ファン・モラ、ペピン・リリア、ダビラ・ミウラ。今日も、ノー・アイ・ビジェテ。

 ファン・モラは、1頭目で良い仕事をした。膝を折ったベロニカからオーレがなった。ピカは左に入った。キーテは、両足を揃え正面を向いたベロニカを繋ぎメディア・ベロニカが美しい。品の良いボンボン・チョコレートのようだ。ちょっと酔ってしまう。こういうシンプルなベロニカを品良く出来る闘牛士は少ない。

 ムレタでも、膝を折ったパセから始め右手から左手に止まることなくムレタを動かして綺麗な曲線を描いた。オーレがなり、パセ・デ・ペチョも決まった。大きく足を開いた右手のパセを繋ぐとオーレが続いた。ナトゥラルも手の低い長いパセを続けパセ・デ・ペチョ。オーレは続き立ち上がる観客もいた。が、その後が続かなかった。剣はとんでもないところにピンチャソ。牛が止まらなくなる。ピンチャソ2回。非常に刺しにくい。ピンチャソ・オンダ。デスカベジョ前に、牛が座り込む。

 2頭目の牛は、とんでもない牛だった。タブラ(柵)を2回も越えてカジェホンの中に入った。ベロニカ、メディア・ベロニカを決めるとオーレがなった。ムレタでは、右手のパセをすると闘牛士を探しに来た。ナトゥラルは手の低い長いパセを繋いだ。が、パセの途中で牛が止まり、闘牛士を探しだした。ここで出来なくなった。剣は、スエルテ・ナトゥラルでピンチャソ。スエテル・コントラリアで、ピンチャソ・オンダ。デスカベジョ1回。

 ペピン・リリアは、去年と同じ闘牛をした。去年プエルタ・グランデではないかと問題になったファエナと殆ど同じだった。悪い牛を相手に近場でクルサードしてパセを繋ぐものだった。去年は観客を総立ちにさせたが今日はそこまで行かなかったが、ペティシオンとプレシデンテに対する口笛は変わらなかった。

 1頭目の牛は、癖の悪い牛だった。アレナに出てくると、落ちる気がなくカポーテには見向きもせずにタブラの方に何度も寄っていった。その度に観客はざわついたが、ついにタブラを越えてカジェホンの中に入った。出てきてからようやくペピンのベロニカが始まった。ピカドールが下手くそで肩より後ろに何度も刺した。非道いもんだ。

 ムレタは、両足を揃えたパセから始め中央へ行き、ナトゥラルをする。手が低いが脇は開いている。右手のパセの時は探しに来る危ない牛だった。パセの途中で止まる牛を堪えてパセを繋ぐと観客は静かにファエナに引き込まれていった。牛の近くでクルサードしてナトゥラル。クルサードしてナトゥラル。クルサードしてナトゥラル。パセ・デ・ペチョ。クルサードは本当に牛の目の前だった。剣は、スエルテ・ナトゥラルでバホナッソ。ちゃんと刺さっていれば耳が出ただろう。闘牛場に沢山の白いハンカチが揺れたがプレシデンテは耳を出さなかった。この裁定は正しいと思う。観客の催促されて場内一周が始まった。ペピン、惜しい!

 ダビラ・ミウラは、何しに来たんだ。1頭目ではパセすれば腰が揺れ剣を刺せば角度のあるバホナッソ。2頭目は、カポーテまともなパセが出来ずに、バンデリジェーロは闘牛を判ってない。バンデリージャを打とうとしているファン・モンティエルが可哀想だった。ムレタでは、右手ですると牛が探しに来た。パセの途中で止まる。廻りきらない。ナトゥラルもダメ。ちゃんとしない。クルサードなどもしない。セビージャの闘牛士はこうだもんな。でも本人はちゃんとやってるつもりなので見栄なども切ってしまう。ふざけている。アビソが鳴るピンチャソ2回。ピンチャソ・オンダ。ここで席を立った。

 今日は、ファン・モラのベロニカ、メディア・ベロニカ、体に隠すパセ、ナトゥラルで目を洗浄してきた。良い闘牛をする。啓を初めから持ってムレタを振るのでバリエーションがあるとは言えないがいつもシンプルな闘牛をするところが良い。ペピンも魅せた。あんだけクルサードしたらお客さんは喜ぶよ。バリエンテの闘牛士だが好きだ。ペピン!今度だぜ!今度!この2人は男気がある。


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