99年5月17日、ラス・ベンタス(マドリード)の結果

今年のサン・イシドロ初めての耳。ホセ・ルイス・ボテが耳1枚取る。

por 斎藤祐司

 牛、セプルベダ。闘牛士、ホセ・ルイス・ボテ、フィニート・デ・コルドバ、ハビエル・コンテ=コンフィルマシオン・デ・アルテルナティーバ。モランテ・デ・ラ・プエブラは怪我のため、出場できず、代わりにホセ・ルイス・ボテが出場する。

 小雨が降っていて開始が15分遅れた。

 1頭目、コンテ。コンテはあまり良くないベロニカを繋いで見応えのあるメディア・ベロニカで締めた。ピカは右肩の前に入った。口笛が吹かれて刺し変えて瘤の後ろに刺した。牛は交換になった。

 雨はどしゃ降りになった。アレナの中が水浸しになった。牛は反対側のピカドールの所に行って瘤の後ろにピカが入った。良いバンデリージャが撃たれて闘牛場が沸いた。コンフィルマシオン・デ・アルテルナティーバの儀式が始まる。ボテがコンテに剣とムレタを渡して、コンテからカポーテを受け取ってファエナが始まる。

 膝を折ったパセから始めたがパセの後に牛は膝を着いた。アレナの中央で牛を誘ってパセしようとしたら体の方に来た。右手のパセを止めてナトゥラルを繋いで右手の大きなパセ・デ・ペチョで観客「オーレ」と喝采を沸かせた。ムレタが重くなったので変えに行った。それからは足を止めたパセが出来なくなった。場所を変えて足を止めたナトゥラルを繋いだ。パセを諦めて牛の前でムレタを左右に振って疲れさせてから剣を代えに行った。スエルテ・コントラリアで置いてピンチャソ。3回目にメディアで刺さったが、角度が70度くらいあり、30cm剣が出ている。

 2頭目、ボテ。牛はパセの時に首を横に振っている。悪い牛じゃないが、癖のある牛だ。ベロニカで「オーレ」がなった。馬の前に牛を持っていってラルガで決めて沸かせた。ピカは肩の上に入った。アルテルナティーバの剣とムレタの返還の儀式が終わった。

 ボテは右手の良いパセを繋いで観客を沸かせている。大きいナトゥラルを繋いで「オーレ」の声がなっていた。少し盛り上がりに欠ける。耳は難しいだろう。剣を代えて右手のパセを繋いでパセ・デ・ペチョし、牛の前で見栄を切って喝采を浴びた。剣はスエルテ・ナトゥラルで1発で決めたが少しバホナソ気味だった。観客の耳の要求が少しあったが耳にはならなかった。満場の喝采を浴びて観客に挨拶をした。

 3頭目、フィニート。フィニートは牛をピカドールから少し離した所に置いた。ピカドールは馬の扱い方が拙かった。遠くから牛を呼び込んでピカを刺した。肩より後ろに入った。ピカドールが馬から落ちそうになったが大丈夫だ。満場の喝采を浴びている。フィニートのベロニカは腰の揺れるパセで最後のメディア・ベロニカだけが良かった。またピカドールは遠くから牛を呼び込んで肩の上に刺した。拍手の中ピカドールが退場した。良いバンデリージャが決まったがこの牛は左目が見えないかも知れない。

 パセの後に牛が啼いている。パセ・デ・ペチョの後に牛が膝を着いた。彼はクルサードして右手のパセをしようとしたが牛は体を狙ってきている。全然腰の引けたナトゥラルをやっている。口笛が吹かれている。結局牛の前でムレタを左右に振って剣を代えた。スエルテ・ナトゥラルで剣は1発で決まったが角度が浅く刺さっている。

 4頭目、ボテ。牛はカポーテにあまり反応せずに逃げ回っている。難しい牛だ。初めのパセは首を振って行かなかった。カポーテの前で止まるような感じで横に逃げていった。ベロニカを繋いでいたら直ぐに振り向いて来てコヒーダされそうになった。危なかった。やっはりこういう牛だ。ピカは肩の上に入っている。次のピカのほぼ同じ所に入った。角の間で撃つ良いバンデリージャが3回続いた。

 ボテは観客に牛を捧げてファエナを始める。膝を折ったパセから始めた。距離を取ってから、右手のゆっくりとしたパセを繋いでパセ・デ・ペチョ。「オーレ」と喝采を浴びる。ナトゥラルは手の低いパセを繋いで「オーレ」の合唱が闘牛場になった。風が吹いてムレタがなびいていたが丁寧に右手のパセを繋いだ。風でムレタが揺れて危ない場面があったが、上手く右手のゆっくりとした大きなパセを繋ぎ観客を魅了した。剣を代えて、膝を折ったパセを繋ぎ、牛の首を上げてスエルテ・コントラリアで1発で決めた。牛の前で手を挙げて倒れるのを待っている。が、倒れないのでデスカベジョを1回で決めた。

 牛に向かって何かを叫んでゆっくりとアレナの中央に置いたモンテラ(帽子)取って、ゆっくりプレシデンテの所に歩いていって挨拶した。牛が倒れると闘牛場は白いハンカチで埋まりそれが揺れた。耳を意味する白いハンカチをプレシデンテはなかなか出さなかったが、ボテが挨拶に来ると直ぐに出した。ボテは耳1枚取った。観客が満足するファエナだった。場内一周をしてアレナの中央に行ってボテは満員の観客に挨拶をした。恐らくまた泣いていたのだろう。

 5頭目、フィニート。パセが出来ない。牛が全然向かって来ない。来たと思ったらカポーテの前で止まったり、少し過ぎたりした。まともにパセを1回もしないうちにピカドールが出てきた。牛は馬に向かって行って止まり、また向かっていってピカで刺されると飛び跳ねて逃げていった。次のピカは左肩の上、骨の上に入った。次は肩の上に入った。今度は牛が馬から離れない。この牛は左目が見えないようだ。右目の方でカポーテを振ると反応するが、反対だと反応しない。バンデリージャは1本ずつ刺してテルシオが変わった。

 ファエナが始まっているが全然パセにならない。クルサードはしているが、腰が引けているし、ムレタをまともに振れない。剣刺しに行く。初めから真剣を持っていた。と言うことは初めから直ぐ殺そうと思っていたのだ。ちゃんとムレタを振って剣を刺しに行けない。スエルテ・ナトゥラルでピンチャソ。3回目でメディアに刺さった。デスカベジョ1回。凄い口笛が吹かれた。

 6頭目、コンテ。牛はタブラやブルラデーラに角を突かなかった。ベロニカの時に牛は飛び上がってパセされていた。パセの後に、直ぐに振り向いてくるような牛だ。ピカは首の瘤の所に入って刺し代えて、肩の後ろに刺している。良いバンデリージャが撃たれた。エステラのように真下に直角に刺すような撃ち方だ。2回続いた。満場の喝采を浴びて観客に挨拶をした。コンテは直ぐ剣を代えに行った。何もやらないうちに剣を刺す。スエルテ・ナトゥラルで牛を置いて凄く非道いところ刺さったのでそのまま抜いて、やっぱりバホナソで決めた。大きな口笛が吹かれている。

 ボテだけがまともな闘牛を真面目にやった。この前の日曜日の方が良いファエナで感動的だった。が、今日もいい仕事をやった。日曜日に耳を取るよりは何と言っても、サン・イシドロで耳を取ることの方が価値がある。フィニートやコンテはやる気がないような闘牛だった。雨が降ってアレナが水浸しの中、風も強かったが彼等2人にはそんなことすら関係のないほど内容がなかった。


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