2000年5月17日、ラス・ベンタス(マドリード)の結果

何も起こらなかったエル・フリのコンフィルマシオン。
サムエル・フロレスの牛はどうしようもなかった。

por 斎藤祐司

 快晴のラス・ベンタス闘牛場。天気の心配は全くなかった。エル・フリのコンフィルマシオン・デ・アルテルナティーバ。切符は売りきれ。プレミアが付いて1枚、10万ptsの値が付いた。そんな価値が全くない闘牛だった。恐らく、アンダナーダ(三階席)なら5千ぐらいで見れただろう。ソンブラ(テンディド2)の21列目で観戦した。

 今日は牛がどうしようもなかった。マンソばっかり。何もできない牛だった。

 アルテルナティーバなので、エル・フリから始まった。牛は出てきて取りあえずブルラデロに角を立てたがアレナの中央で止まった。ようやくバンデリージャが気を引いて、フリがベロニカを繋ぎメディア・ベロニカを決めたが、動きが悪い。ピカは左側に入った。脚を痛めた。キーテはチクエリナ3回。牛の角が腕を擦っていく。ラルガ。

 ポンセから剣とムレタを受け取り、変わりにカポーテを渡す。フリはポンセ、オルドニェスを抱き合い挨拶をした。アルテルナティーバの儀式が終わった。ポンセはわりと長めにフリに口上を言っていた。ブリンディースは、エレナ王女に捧げられた。

 両足を揃えて両手でパセを始め、ナトゥラルを繋ぎパセ・デ・ペチョ。牛が悪く盛り上がらない。クルサードして牛を誘っているがどうにもならない。両足を揃えたナトゥラルをするが口笛が吹かれる。剣を代えてスエルテ・コントラリアでピンチャソ1回。ピンチャソ・オンダ1回。

 ポンセは、昨日指摘したとおりで、ベンタスでは評価されない。1頭目はマンソ。立ち止まって白線の臭いを嗅いでいる。カポーテを出すと前で頭を下げて突く場所を探しているようで走りきらない。ピカは左側に入る。ピカが入ると牛は飛び跳ねて逃げていった。キーテはベロニカを繋ぎ、メディア・ベロニカを決めた。牛の動きが少し良くなる。リベラが体に近くを通すベロニカをするが腰が揺れている。メディア・ベロニカは良かった。

 ムレタは膝を折ったパセから始めるが、足を踏み出して膝を折っていない。こういうパセはこの牛には有効だろう。クルサードせず、牛をムレタの外側で通している。クルサードもしていない。牛は、ポンセの体を探している。パセを全部ピコ(ムレタの先でするパセ)だ。こういう牛にでもちゃんとパセをしないとベンタスでは認められない。誤魔化しはダメだ。ようやくクルサードしてパセするが口笛を吹かれる。

 風が吹いてパセをする場所を探すが、紙を切ってアレナに入れていないから何処が良いかポンセは判らない。クルサードせずにピコ。ナトゥラルを繋ぎ脇の開いたパセ・デ・ペチョ。パセを続けるが、パセは繋げばいいわけではない。パセ・デ・ペチョで少し沸く。喝采。何処が良いんだこのパセの・・・。アビソが鳴る。スエルテ・ナトゥラルでピンチャソ1回。その後、バホナッソ。口笛が鳴る。それでも、ポンセは挨拶した。

 リベラは、1頭目2頭目と良いところがなかった。牛が悪い。しかしもう少しやりようがある。でも彼にはそれが出来ない。どうしようもない牛で、ブリンディースしたり、どうでも良いパセをしているのに自分はちゃんとやっているような仕草をしている。臆面がない。ボンボンだから仕方ないか。剣刺しはバホナッソしか刺せない。パセすれば腰が揺れる。何もない。セビージャなら受けるだろう。そういう闘牛だ。

 フリの2頭目は、最後だった。この日1番沸いた。初めは足を止めたパセは出来なかったが、落ち着いてから、シンプルなベロニカ繋ぎ、変形のメディア・ベロニカをしたら、「オーレ」を喝采が起きた。キーテは、チクエリナを繋ぎ、ピカは右側に入った。両手にカポーテを持ってファロールを繋ぐとオーレは一層大きくなった。ここで今日の闘牛は終わった。

 ムレタは、膝折ったパセから始めナトゥラルを繋ぎ、パセ・デペチョ。左右の手の時のクルサードしてパセするが良くない。剣代えて、スエルテ・コントラリアでピンチャソ2回。の後、剣を決める。

 何もなかった。何も起きはしなかった。一言で言ってしまえば、牛が悪かったのだ。サムエル・フロレスの牛はここ3年ベンタスでは良くない。もうフィグラがやる牛じゃなくなったのかな。91年6月6日はもう幻になったのか?

 フリのカポーテの時だけ闘牛場が沸いた。ポンセの時は、少数が沸き、半分以上が不満を持った。リベラは語るべきものがない。

 闘牛って難しいね。何せ牛が相手だから。だからこそ良い闘牛が見れたときは感動するんだ。


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