99年5月16日、ラス・ベンタス(マドリード)の結果

ファン・ルイス・フライレ牧場の“ペンサンテ”と言う凄い牛が場内一周をした。
アニバル・ルイスがコヒーダされた。

por 斎藤祐司

 

 牛、ファン・ルイス・フライレ。闘牛士、ハビエル・バスケス、カナレス・リベラ、アニバル・ルイス=コンフィルマシオン・デ・アルテルナティーバ。

 今日はホセリート・エル・ガジョの命日で、闘牛の開始前に1分間の黙祷があった。

 1頭目、アニバル・ルイス。牛が出てきたら拍手が起きた。ピカは肩より後ろの入り刺しなおして肩より後ろに入れた。今日も風が強い。2度目のピカは肩より後ろに入っている。2度目は駄目だったが、1度目と3度目のバンデリージャは角の間で綺麗に刺して喝采を受けた。ハビエルがアニバルのムレタと剣を渡し、代わりにカポーテを渡してアルテルナティーバの儀式が終わった。牛は観客に捧げられた。

 初めの右手の一連のパセの最後にやったパセ・デ・ペチョでコヒーダされた。右足の太股裏を刺されたようだ。足を引きずっている。痛がっているがこのまま続けるだろう。牛が体の方を狙っている。腰が引けたパセしか出来ていない。風も強く非常にやりにくい条件だ。何も出来ずに剣を代えに行った。スエルテ・ナトゥラルで牛を置いて剣を刺す。ピンチャソ2回の後、バホナソ気味に剣が刺さった。

 デスカベジョを何回も失敗してまた剣を刺しに行ってすごく横から刺さって、口笛を吹かれている。ハビエル・バスケスまで出てきてカポーテを振って手伝っているが、デスカベジョを決められないでいる。アビソが2回鳴って、3回目が鳴る前にようやく決まる。拍手をする人、口笛を吹く人、様々。しかし、アニバルはそれなりに頑張ったのだ。

 鼻先をデスカベジョで何回もつついて牛の頭を下げようとしていたがなかなか下がらなかった。何回やっても決まらないので泣きそうな感じになっていた。途中で首を振って駄目だ、分からないと言うような仕草をしていて、バンデリジェーロに頑張れってほっぺたを叩かれていた。アニバルは、恥ずかしいのと、自分が情けない、そういう気持ちだろう。終わって見ている方もほっとした。

 2頭目、ハビエル。牛はグルグル回っているだけでカポーテに向かってこない。牛の動きがおかしいのとマンソ気味。ピカが入ってどうなるか。ピカは右肩の後ろに入っている。2度目のピカは右肩前に入った。ピカを受けたときに牛は膝を着いた。リベラのキーテはチクエリナを3発、ラルガで決めて拍手を受けた。バンデリージャは3回共角の間で撃った。拍手を受けている。

 アニバルは医務室に行ったまま戻っていない。剣を返還する儀式は行われなかった。ハビエルはタブラの所に座ってパセを4回した。ナトゥラルをしようとしたが牛が体の方に来るので危ないので止めて、ムレタを右手に持ち替えてパセをした。危ないにも関わらずまた、ナトゥラルをしようとしている。ムレタをあげるようなパセや引くようなパセを試したが上手く牛が動いてくれない。牛の前でムレタを左右に振って剣を代えに行った。スエルテ・ナトゥラルでピンチャソ。良いところに剣は刺さっているのだが、骨に当たっている。ピンチャソ4回。ムレタを牛の前に置くとき牛が動いて、牛を止めておくことが出来ない。ようやく良いところに決まった。

 3頭目、リベラ。この牛もカポーテに対して全然反応しない。ピカは肩の大分後ろに入って、刺し代えて右肩の骨の所に刺し、また刺し代えて瘤の後ろにピカを入れた。次のピカは左肩前に入った。ハビエルのキーテはナバラを2回、ラルガ。良いキーテだった。右手で始めたパセは直ぐにナトゥラルになった。なかなか思うようにムレタを操れない。クルサードしないで牛を誘っている。右手の方がやりにくそうな牛だ。

 パセの時、牛が廻って首と肩間に挟まれる様にして廻っているうちにコヒーダされた。白い服が血に染まる。尻、腹、足。自分の血も流しているかも知れない。大丈夫だろうか。ハビエルが行って聞いている。本人はやる気だ。手を洗い顔を洗い出ていった。ナトゥラルから始める。クルサードしてナトゥラル。牛が止まらない。またコヒーダされそうになっている。剣を代えに行った。この牛は危ない。それでも足を止めてパセをしていた。スエルテ・ナトゥラルでピンチャソ。5回目で剣を決めた。リベラは手を振って倒れるとアピールしている。バンデリジェーロにカポーテを振らせない。凄く良いところに剣が刺さっていたのでポーズを取って立っていたが、牛が倒れないのでカポーテをちょっと振ったら、牛は倒れた。良い剣刺しだった。が、遅かった。

 4頭目、ハビエル。この牛は今まで出てきた牛よりはずっと良い牛だ。ピカは首の後ろに入っている。リベラは大丈夫な様でアレナの中にいる。次は左肩上に入った。観客は牛を遠くに置くようにハビエルに言っている。これは良い牛だからと言うことだ。バンデリジャは喝采を受けた。

 ハビエルは、右手のパセで牛をゆっくりを動かして「オーレ」を観客に言わせた。良い牛だが、難しい。ベンタスのファンはこういう牛が好きなのだ。パセの後、体の方に角が向く。ムイ・テンプラールのパセを何度か見せたが何故か途中で剣を代えに行った。ファエナが足りなかった。スエルテ・ナトゥラルで剣はメディアで刺さっている。2回目スエルテ・コントラリアでちゃんと刺した。耳にはならない。もう少しファエナを続けてムイ・テンプラールのパセを繋いでいれば耳は取れたのに何故続けなかったのだろう。牛は難しかったが良い牛だった。この牛は場内一周をした。

 5頭目、リベラ。この牛はパセの時に、左側を通すときに首を左に振る。右側を通すときに飛び跳ねる。癖のある牛だ。1度目のピカは右肩の上、2度目のピカは肩より10cm位後ろに入った。右脚をビッコを引いている。またピカは肩より後ろに入っている。バンデリージャは片手で何回も刺していた。

 右手で膝を折ったパセから初めて牛を小刻みに動かしていた。牛はパセの後、直ぐ振り向いて来る。やりにくそうだ。ナトゥラルをやろうとしているが出来ないで、剣を代えに行った。スエルテ・ナトゥラルでピンチャソ。5回目で剣が刺さったが20cm位出ている。

 6頭目、ハビエル。アニバルは出てこなかった。牛はパセをすると直ぐ振り向いて来る。ピカは肩の上に入った。離されると膝を着いた。2度目のピカは離れた所に置いていて走っていってピカが瘤に後ろに入った。右前脚がおかしい。牛は遠くから来てピカドールに向かっていった。これを観客は楽しんでいた。つまりこの牛も良い牛だと言うことだ。

 せっかく良い右手のムイ・テンプラールのパセなのに牛が膝を着いてしまった。パセが繋がらないが拍手を受けている。もう少し手の低いパセをしないと駄目だ。牛は動いている。ちょっとクルサードが足りない。どうも盛り上がりそうになると牛が膝を着く。剣を代えて、ベルナディーナに行く。3回やったが盛り上がらない。スエルテ・ナトゥラルで1回で決めたがバホナソで刺さっていた。残念。

 終わってからガナデロが観客の拍手に答えていた。今日は牛の日。闘牛士は良い結果を出せなかった事を観客にブーイングや口笛を吹かれて、抗議された。牛は良かった。しかし、難しい牛だった。


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