初登場、ハビエル・バルベルデ、夢を掴んだプエルタ・グランデ!

2001年5月16日、マドリード、ラス・ベンタス闘牛場。(第1級闘牛場)

 晴れているラス・ベンタス闘牛場。今日は暑い。9割以上の入り。今日は入場行進の後、ホセ・ゴメス・オルテガ“ホセリート”(エル・ガジョとかエル・ガジートとも言った)の命日なので1分間の黙祷が捧げられた。

 ラ・キンタ牧場。見習い闘牛士、レオポルド・カサソラ、プロクナ、ハビエル・バルベルデ。

 レオポルド・カサソラは、初めの牛でパセを繋いでいたがクルサードしないでやっているので口笛を吹かれていた。2頭目では、ファロール気味のカポーテを繋いでラルガを決めると沸いた。メキシコ人なのでカポーテのバリエーションが豊富なようだ。プロクナのキーテは、ホセリートがやるガジョシーナ(って言ったけかな?パセの後、右手から左手カポーテを回しながら持ち帰るパセ)を繋いでラルガで決めた。なかなか良いキーテ合戦だった。

 ムレタでは、相変わらずクルサードしないでパセをしている。ナトゥラルの時は、体が脇に行きムレタがクルサードした状態だった。それでムレタを引くものだから牛が真っ直ぐムレタに走っていった。非常に危なっかしいパセだった。ムレタを回すように振らないと体の方に来るのにと思っていたら案の定コヒーダされた。担がれてカジェホンの中へはいるが、顔面血だらけ。それでもアレナに戻り剣刺しをしようとした。観客は止めたがダメだった。剣はバホナッソに刺さった。自分が悪くて怪我したんじゃない。耳は当然でない。

 3人の中で1番実力があったのが、プロクナ。2頭ともパルタガジョーラを試みた。カポーテ捌きが上手い。牛も判っている。バンデリージャの自分で打つ。これがまた良い。久しぶりに良いキエブロを見せて貰った。ムレタ捌きも良い。クルサードもしている。思うようにムレタを扱っている。右手の長いパセを繋いで観客を沸かせた。ナトゥラルも長いパセを繋ぎ、足を揃えた右手のパセも良かった。剣がピンチャソ3回。耳は取れなかったがいい闘牛士だ。

 プロクナは、ポルトガル人。ビクトル・メンデスに手ほどきを受けた。アポデラードもビクトル・メンデスが務める。ポルトガルの偉大な闘牛士から教えて貰った技を消化しているのが良く分かる。1番若いし将来性を感じさせる。

 今日の開けてビックリは、ハビエル・バルベルデ。カポーテ捌きが下手。危なっかしい。いつコヒーダされるのだろうと心配してしまう。1頭目のムレタは、パセの時、牛を体ギリギリに通した。慌てないし落ち着いている。ちゃんと牛が通るところを知っているみたいだ。右手のパセの時コヒーダされる。角の上に腹が乗っていたが大した事はないようだった。剣刺しは中央でやった。剣は良いところに刺さったが右足をコヒーダされる。右足に体重がかけれずに足を引きずりながらタブラの方に逃げて来て倒れた。担がれてカジェホンの中に入ったが足でタブラを蹴って嫌がり、再びアレナに戻った。牛が倒れた。一斉に拍手がなり観客は立ち上がった。そして闘牛場が白いハンカチで埋まった。耳1枚。場内1周の後、医務室へ向かった。

 治療を終えた後の2頭目は、メディア・ファロールを繋ぎメディア・ベロニカを決めると拍手が沸いた。牛が体を擦って通っていった。ファエナは、ナトゥラルで体の近くを通るパセを繋いで観客をハラハラさせた。右手のシルクラールを2回。角の直ぐ前でクルサードしている。パセの途中で牛が止まっても逃げない。たまげた勇気だ。パセ・デ・ペチョも牛が途中で止まっていてもムレタを持ったまま動かないで立っている。恐ろしいことをする。回りのおばちゃんたちは、何度も声を上げながらハラハラ闘牛に見入っていった。

 剣を代え、また牛をアレナ中央に持っていって物凄い剣を決めた。牛は直ぐに倒れた。白いハンカチが一斉に振られた。観客はみんな立ち上がっている。物凄い口笛が吹かれた。プレシデンテは、耳1枚を出した。決して上手くはないがハラハラドキドキの闘牛だった。そして、物凄い勇気を持っている。ムレタ捌きは良い方だろう。でもこれから色々勉強することが沢山あるような気がする。でも、おめでとう。良くやった。こういう勇気は称賛に値する。これがより根拠のある技術が伴った勇気になっていくことを期待したい。

 ハビエル・バルベルデは、78年12月22日サラマンカ生まれ。22歳。ガナデリア(牧場主)一家。97年サラマンカの闘牛学校入学。19歳と遅かった。デビューは2000年4月23日。今回ラス・ベンタス初出場だった。去年に続きノビジェーロ(見習い闘牛士)はサラマンカから2年連続のプエルタ・グランデを出したことになる。


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