2000年5月16日、タラベラ・デ・ラ・レイナの結果

耳6枚と尻尾1つ。牛が場内一周!
ガナデロと、3人の闘牛士がオンブロス!

por 斎藤祐司

 快晴のタラベラ・デ・ラ・レイナ。サルドゥエンド牧場の牛で、闘牛士は、ホセリート、エンリケ・ポンセ、ホセ・トマス。今日は当然プエルタ・グランデが見れるだろうと思っていたが、思った通りになった。

 ホセリートは、1頭目で初めて見るパセをやった。マノレティーナの形でムレタを右手で持って、ノーマルは前から牛をパセするが、今日見せたのは後ろから牛をパセした。だからマノレティーナの形で反対から牛を通していた。デレチャソやナトゥラルの反対側を通すのがパセ・デ・ペチョという。マノレティーナで反対を通すのは何というのだろう。剣はピンチャソ2回。耳なし。

 2頭目は、突進する牛。両足を揃えたベロニカから始めると、「オーレ」がなった。形の良いメディア・ベロニカで締めた。ピカは左側に入った。キーテはホセリ−ト・スペシャルと言ったらいいにだろうか、カポーテをパセしたら頭上で回しながら右手から左手へを変えていくパセ(何というパセかど忘れした)を3回続けると観客は立ち上がって拍手した。丁度、フラメンコのブランカ・デル・レイのショール踊りのようなパセ。

 ムレタは、膝を着いて始めた。中央へ移動して、右手の腹を出した手の低いゆっくりとしたパセを繋ぐと、「オーレ」がなりパソドブレが鳴った。手の低い長いナトゥラルを繋ぐ。距離を取って角度に変化を付けて牛を誘っていた。勿論クルサードしている。牛の前で後ろ向きになって右手に持ったムレタを左足の横から出して牛を1回転させるパセを繋いだ。剣を変えマノレティーナ。スエルテ・ナトゥラルで少しバホナッソ。牛は口から血を吹き出してもんどり打って倒れた。耳2枚。

 ポンセは、剣さえ決まっていれば耳4枚取れただろう。1頭目で良いファエナを見せたが剣はメディアだった。おまけにデスカベジョが5回じゃ耳を上げようにも出せない。2頭目は今日1番観客を沸かせた。片膝を着いたベロニカから始めベロニカに移るとカポーテを角に持ってかれた。ピカは左側に入った。キーテは珍しくチクエリナを続けた。外回しのパセ。ポンセらしい。「オーレ」がなった。ラルガを決める。ピカは左側に入った。

 ムレタでは、右手から始め、パセ・デ・ペチョ。脇が開き外から外に通している。ゆっくりしているがこういうのって、テンプラールって言うわけ?だが観客は、「オーレ」を叫びパソドブレが鳴った。右手は牛を近くを通している。クルサードもたまにしている。パセ・デ・ペチョは相変わらず外外を通す。ここはパセが繋がればオーレが出る。ポンセは、誘うとき、手を前に出している。それと右手から左手にムレタを持ち替えるのが上手い。

 足を一歩引いてパセを繋ぎパセ・デ・ペチョ。牛が良いのだ。観客は立ち上がって興奮している。剣を代えて左手の膝を折ったパセを繋ぐ。スエルテ・ナトゥラルでバホナッソ。右手を大きく上げてバンデリジェーロに近づかないように指示を出し、ナトゥラルでパセを繋ぎパセ・デ・ペチョ。オーレがなる。こういうのは嫌いだ。牛のまわりでバンデリジェーロがカポーテを振って牛の体に入った剣の傷を大きくするのと同じじゃないか。耳2枚と尻尾。牛は場内一周。ポンセが場内一周の時1/4周ガナデロを廻った。

 ホセ・トマスは、耳1枚ずつ取った。今日1番気に入ったファエナは彼の2頭目だった。牛が悪く手の低いパセを出来ない牛だった。クルサードをすると危ない牛でもあった。それでもコヒーダされそうになると、意地になってクルサードし始め、牛の近くに立ってナトゥラルを繋いだ。闘牛場は静かに興奮した。手を抜かないで闘牛を彼はやった。それが出来て闘牛で人生を語れるのだ。

 見ていてジーンとくる闘牛だった。あれが男だ。本当の闘牛士だ。一体ホセ・トマスは牛が怖くないのだろうか。不思議なほどの落ち着きで静かに燃えている。右手のモリネーテを2回繋ぎ、体を牛が触りながらパセ・デ・ペチョをして見栄を切る。男だぜ!ホセ・トマス!喝采を受ける。剣は、スエルテ・ナトゥラルでピンチャソ。スエルテ・コントラリアでピンチャソ。マノレティーナを繋ぎ、良いところに剣を決めた。耳1枚。もう1枚の観客は要求していた。ファエナが凄すぎる。

 ホセリートの闘牛を見ていろいろな技を見てきたが、未だ見ていないのは、ナトゥラル・デレチャ・シン・エスパーダと、膝を着いたベロニカ。これが見てみたい。ホセリートは、怪我を抱えながら送った98年のシーズンよりずっと良くなって闘牛場に帰ってきた。これからも楽しみだ。

 ポンセについて、殆ど語るものがない。良い闘牛士とカルテル組んで下さい。

 ホセ・トマスについては、語り足りないほどいっぱい語りたいことがある。やー凄い。何故ベンタスに来ないのだ。みんな待っているのに。


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