エル・シド場内1周。ヌニェス・デル・クビジョ牧場のダメ牛が闘牛をつまらなくした。

2006年4月16日セビージャ、レアル・マエストランサ(第1級)闘牛場の結果。

 晴れのち曇り。長袖では暑いが日が暮れると肌寒く上着を着ても寒いくらい。ヌニェス・デル・クビジョ牧場の牛(Procedencia actual=現在の起源<基の血統>、カルロス・ヌニェス牧場)。ソブレロ、ヌニェス・デル・クビジョ、ラ・デエシジャ牧場。闘牛士、セサル・リンコン、モランテ・デ・ラ・プエブラ、エル・シド。ノー・アイ・ビジェテで満員。ソルのグラダにて観戦する。開始18時30分。終了時間は記録しなかったが開始から2時間半以上たっていた。おそらく2時間40分ぐらい。始まる前にパティオ・デ・クアドリージャで闘牛士のアップの写真が撮れた。

 セサル・リンコンは、2頭共牛に恵まれなかった。初めの牛は出てきてトリルの前に止まった。なかなか動かない。ベロニカをすると膝を着く。弱いし動きが遅い。ピカが入ると離れるとまたつぶれた。牛交換。今年はラス・ベンタス闘牛場からフロリートが来ていないみたいだが、セビージャの若者がちゃんと牛を交換した。2年間の学習効果があったようだ。この牛はゆっくり出てきた。ベロニカを繋ぐと膝を着いた。この牛も弱い。それと右角が短いのが判った。だからムレタは、デレチャッソが危なかった。なかなかパセが繋がらない。ナトゥラルに変えたが、良いパセなど出来ない。牛の動きもダメ。走り回る。だから、ムレタを広く使うデレチャッソをまた試したら、ブスカンドした。危うくコヒーダされるところだった。剣を代えてスエルテ・ナトゥラルで2/3剣が刺さった。

 4頭目も牛が悪い。この牛は、動きが弱く緩慢。セサルは距離の取り方はしっかり判っていたが、パセを繋ぐと直ぐに膝を着く。ベロニカをすると左角が近くを通った。メディア・ベロニカで牛が角からアレナにつまずいて1回転した。バンデリージャでアドルフォが喝采を浴びた。牛は観客捧げられた。デレチャッソで距離と取りパセを繋ぐ。間の取り方距離もピッタリ。しかし、牛は膝を着く。デレチャッソで良いパセが繋がったと思うとまた牛が膝を着く。牛に力強さがない。この頃になると周りの観客は、「ケ・タルデ」(なんてこった)と嘆き声があちこちから囁かれ始めた。ナトゥラルをするとブスカンドした。セサルは2頭とも危ない牛を引いた。剣を代えて、スエルテ・ナトゥラルでテンディダだったが良いところに決めた。良くこんな非道い牛を揃えたもんだ。

 モランテ・デ・ラ・プエブラは、それなりの観客を沸かせた。それは、パセを繋いでからだ。でも牛がダメなので良いパセが続かない。それとクルサードしない。これはセビージャ仕様の闘牛なのか?良いパセが時々出て、「ビエン」や「オーレ」の声が出るが続かない。5頭目の牛が出てきてブルラデロの突進したら左角が折れて牛が交換になった。代わった牛はパセすると膝ばかり着く。頭が高いのでパセ時になかなか下がらない。それでもデレチャッソやナトゥラルで、オーレがなったがそれだけ。セビージャ仕様の闘牛には興味がない。

 エル・シドは、最後の牛で観客を沸かせた。ベロニカで膝を着く牛。また非道い牛。バンデリージャは、アルカラレニョ・イホが喝采を浴びて挨拶した。隣にいたスペイン人夫婦のアフィショナードが、あのバンデリジェーロは誰?と僕に訊いてきた。ノートを取っているから訊かれるんだろう。ちゃんと教えてあげた。ダメだと思った牛が動き出した。オーレが闘牛場に鳴り響いた。エル・シドは丁寧にクルサードを繰り返しパセを繋いだ。セビージャの観客はこれを待っていたのだ。レマテの後の距離の取り方も良い。言うしに充分休憩を与えてからパセにはいる。ナトゥラルも去年までと変わらない。闘牛場は興奮に包まれた。剣を代えて牛を置くときに左角が短くコヒーダされそうになる。剣も決まったので耳が出ると思った。僕は、カメラをバッグにしまうので観ていなかった。口笛が吹かれる。また、セビージャのことだから耳2枚要求しているんだろうと思っていたら、耳が出なくてみんなガッカリしていたのだ。エル・シドは、挨拶に出てきて場内1周に移った。

 今日はとにかく牛が悪かった。ヌニェス・デル・クビジョ牧場の牛は、アレナが広いセビージャやラス・ベンタスでは、良い闘牛を観るのが難しい。同じ血統のアルクルセンとかだと、結構プエルタ・グランデが観れるけど、どうもこの牧場はダメだ。因みに、フィグラは、ここの牧場が好きだ。特に、ホセ・トマスは1番耳を多く切った牧場だ。最近はモランテが良くやる。牧場も代替わりして息子がやっている。少しずつ変わっていくのかも知れないが、現状では、残念ながら第2級や第3級闘牛場向きの牛である。


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