99年5月15日、タラベラ・デ・ラ・レイナの結果

ポンセ、ホセ・トマス、エル・フリ、3人がプエルタ・グランデ。

por 斎藤祐司

 

 牛、サルドゥエンド。闘牛士、エンリケ・ポンセ、ホセ・トマス、エル・フリ。

 1葉目、ポンセ。牛はブルラデーラやタブラに角で突かない、良く走っている。ピカは肩の上に入っている。本当はもう少し前が良いがここでも良いだろう。ポンセは牛を観客に捧げた。ポンセはクルサードして牛を誘っていたが、ピコ気味でパセしている。右手で背中の方から牛を誘って2回パセして観客を沸かせた。剣を代えてスエルテ・コントラリアでメディア。ポンセは右手を振って牛は倒れるとアピールしている。牛は倒れた。耳1枚。

 2頭目、ホセ・トマス。この牛の良い牛のようだ。ブルラデーラ、タブラには行かなかったし、足を止めたベロニカ、近場でのチクエリーナを続けメディア・ベロニカを2回、決めて観客を沸かせた。手抜きのないパセだった。牛は観客に捧げた。アジュダード・ポル・アルトを5回、最後は左手で持ったムレタを体に隠すように振って一連のパセを締めくくった。

 ナトゥラルで牛を綺麗に廻していた。シンプルだが手が低く、背中が弓のように反っていた。ムレタを牛の踏まれて、タキージャドールを折った。ムレタを代える。剣を代えた後、マノレティーナを連続して剣刺しはスエルテ・ナトゥラルで決めた。剣はちょっとだけ横に刺さっているがここなら問題ないだろう。デスカベジョ1回で決めた。耳1枚。2枚目も観客は要求していたが叶わなかった。

 3頭目、フリ。牛は勢い良く出てきてアレナを廻っていたがフリは一歩も動かずパセをした。が、戻って来なかったので位置を変えてベロニカを繋いぎ、メディアで締めた。両足を付けたチクエリナをを続けたが牛がひっくり返ったりして、観客から牛を代えるように抗議された。バンデリージャは自分で撃った。3回とも、角の間で撃った。喝采を受ける。

 牛を観客に捧げようとした時に、牛がやって来て左手のパセ・デ・ペチョを2回やって余裕を持って、牛を観客に捧げた。ファエナは右手左手とも、低いパセをしていたが、特に左手の方が体を過ぎて外へやるようなパセなのでこれはタトの様で良くない。
ファエナの構成の仕方などは非常に良い。スエルテ・ナトゥラルで剣刺しに行ったがピンチャソ。2回目はスエルテ・コントラリアで決めた。ピンチャソ1回あったがフリは耳2枚取った。何故?田舎の闘牛場だからだ。

 4頭目、ポンセ。牛は出てきたときにすでに、左前脚がおかしいような感じだった。ベロニカをポンセがしている時の脚捌きは特に問題はなかったが、真ん中に行ってパセした時に、牛が角を土に突いて1回転した。牛は、ホセリートに捧げられた。2人は友人でもある。美しい光景だ。ファエナは膝を折るパセから始めた。右手の大きなパセを繋いでパセ・デ・ペチョを脇を開きながらやった。ポンセの牛は途中から動かなくなってきてパセがやりにくそうだった。それでも丁寧にパセを繋ごうとしていた。クルサードしてない時もあったが、大体クルサードして牛の前に立って牛を誘っていた。剣を代えスエルテ・コントラリアでピンチャソ。2回目に決めて耳1枚を取った。

 5頭目、ホセ・トマス。牛が出てきたがバンデリジェーロにカポーテを振らせていた。この牛は左側しか通せない。恐らく目が悪いのだ。出てきて直ぐにホセ・トマスはおかしいことに気付いたようだ。偉い。牛交換。

 代わった牛は、ちゃんとパセの出きる牛だ。脚も今の所、痛めてないし、おかしいところはない。ピカは右肩の骨の所に入って、刺し替えて瘤の後ろに入った。キーテはベロニカをやってラルガで締めた。ホセ・トマスは動かない牛をゆっくりとクルサードして、右手左手のパセを丁寧に繋いだ。動かない牛に対して、あれだけ近くでクルサードしてパセをしたのは凄いことだ。剣はスエルテ・ナトゥラルで決めた。この剣刺しは狙って所に狙ったとおりに真っ直ぐ刺した凄く良い剣刺しだった。耳2枚。

 それにしても牛のあれだけ近くでクルサードを続けて、怖くないのだろうか?これが超一流の超一流たる所なのだ。並みじゃない。勿論、大盛りじゃない。闘牛士ランクがどうのと言う問題じゃない。分かっている闘牛ファンは今誰が1番か知っている。これは、ホセ・トマスだ。その事に関して疑うものはいないだろう。

 6頭目、フリ。ベロニカの時に風が吹いて牛を近くを通し過ぎていた。ピカドールの所に牛をチクエリナの連続で持って行って、ベルモンティーナで牛を置いて、観客を沸かせた。フリはまた、観客の要求に応えてバンデリージャを撃った。3回とも牛の角の間で撃って観客の期待に応えた。

 アジュダード・ポル・アルトを4回やって左手のパセ・デ・ペチョをやった。体の直ぐ近くを牛が通っていった。非常に良いパセだった。右手のパセを続けて右手の大きなパセ・デ・ペチョをした。フリは右手、左手のパセをゆっくりホセ・トマスの様に繋いでいた。牛の角の直ぐ前に立って誘ってパセをしている。勇気と技術の必要な事だ。体を動かさずにムレタだけで牛を交わしたりして、それをホセリートが観ていて拍手をしていた。が、剣刺しは、ピンチャソ1回で耳は貰えなかった。

 ポンセには、ホセ・トマスとエル・フリがやった、牛の角の直ぐ前に立って足を動かさずに牛をパセするなんて芸当は出来ない。当たり前だ。そんな闘牛をしたことがないからだ。ホセ・トマスとエル・フリはそれが出来るのだ。いやぁー、ホセ・トマスなら分かるが、エル・フリまでこんな事をやるとは思わなかった。人気だけじゃない。技術も実力も度胸もあるのがエル・フリだ。やぁー凄い。今日は充分闘牛を楽しめた。特にホセ・トマスとエル・フリが凄かった。それからホセリートが闘牛を止めて穏やかな表情をしていたのが印象的だった。でも俺はホセリートの闘牛を・・・。


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