ハビエル・カスターニョの勇気あるファエナ。

2002年5月15日マドリード、ラス・ベンタス闘牛場(第1級闘牛場)の結果。

 時々日が雲に隠れるが暑い、マドリード、ラス・ベンタス闘牛場。牛、バルタサル・イバン牧場。闘牛士、マヌエル・カバジェーロ、リベラ・オルドニェス、ハビエル・カスターニョ。大体満員の入り。テンディド6、バッホにてYさんと一緒に観る。

 マヌエル・カバジェーロは、1頭目で良いファエナをした。ベロニカで牛は走りきらない。パセが短い難しい牛だった。ピカが左側に入ったので前脚が悪くなりパセの後、膝を着くようになる。こういう牛は、手の低いパセを繋ぐと直ぐにつぶれてしまう。アジェダード・ポル・アルトを繋ぐと、右角が体を通る方がパセが短かった。2本ある白線の内側で右手のパセを繋ぐとやはりパセが短かった。ナトゥラルに変えるとパセが長くなった。「オーレ」がなる。パセ・デ・ペチョをすると喝采がなった。ナトゥラル牛に動きを教えてまた、右手のパセ。クルサードするとき、ムレタを体の後ろに隠しそれから牛を誘うから牛が動く。美しいトゥリンチェラが決まると喝采がなった。正面を向いてパセを繋ぐ。こういうやり方でがカバジェーロが良い闘牛をする事に繋がっている。難しい牛だったが、彼でなかったらこれほど牛が動かなかっただろう。剣刺しは、スエルテ・ナトゥラルで良いところに入ったがテンディダだった。

 リベラ・オルドニェスは、殆ど闘牛をやっていない。牛を知らないのは相変わらず。体を張った闘牛など遠い昔の話し。でも、今日は去年よりは良かった。実力がないから仕様がないが、何とかない実力なりに牛を動かそうとしていた。そこを評価しなかったら何も価値のないファエナだった。退場では、いつものように口笛を浴びた。まっそういう意味では当然だが。

 ハビエル・カスターニョは、最後の牛で、コヒーダされても怖がらず、ムレタを体の後ろに隠してクルサードして牛を誘っていた。右手でも左手でもそうやって丁寧に牛を誘ってパセを繋ぐ。このやり方だけでも、良い仕事だ。その後もパセを繋ぐと、「オーレ」が続いた。カポーテは下手で殆ど観るべきものはない。が、ムレタは良い。アジェダード・ポル・アルトからファエナを始めた時から牛が体の近くを通りすぎて危ない。それでも、やることはやってパセを続ける。

 この牛は、止まるときに後ろ脚の蹄の甲の部分をアレナに着くのでもともとからだのバランスが悪いし、変な動きに繋がりやすい。だから、何度か危ない場面があり1度コヒーダされた。服の太股の所が破けていた。この牛は、右角が体の方を通るときにパセが短かった。だから、ナトゥラルの方が長く良いパセが繋がった。クルサードするときにムレタを体の後ろに隠して角の間に入っていって牛を誘っていた。危ない牛でもこういうやり方でファエナをすることは良い闘牛をやることに繋がる。剣はピンチャソ3回の後、良いところに決まった。剣が始めに決まっていても耳は出なかっただろう。

 今日は、カバジェーロと、ハビエル・カスターニョのファエナのやり方を堪能できた。あれで牛が良かったら両方とも耳になっていただろう。去年もそうだけど、最近のバルタサル・イバンの牛は昔に比べるとかなり落ちる。足に欠陥があるのが多い。闘牛士がいくら良い仕事をしようと思っても、牛が悪いとどうしようもない。ハビエル・カスターニョの勇気あるファエナが1番印象に残った。


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