ケ・ナトゥラレス!ケ・モラ!何でそこでバホナッソなんだ!

2001年5月15日、マドリード、ラス・ベンタス闘牛場。(第1級闘牛場)

 快晴になったマドリード、ラス・ベンタス闘牛場。今年始めての、ノー・アイ・ビジェテ(切符が売り切れ)になる。

 2頭目、3頭目、6頭目がバルデフレスノ牧場。1頭目、4頭目、5頭目がエルモノス・デ・フライレ・マサス牧場。闘牛士、ファン・モラ、エル・コルドベス、ビクトル・プエルト。

 ファン・モラは、今日1番良かった。1頭目が素晴らしかった。ブルラデロを突く牛だった。ピカは少し左に入った。バンデリージャを打った後に牛が膝を着いた。ファエナは、右手の低い長いパセを繋ぎトゥリンチェラを決めると闘牛場が沸いた。大きく足を開いて背筋を見事に反った姿勢が綺麗だ。右手のテンプラールのパセが繋がると「オーレ」が鳴り響いた。パセ・デ・ペチョも良い具合に決まった。拍手が沸く。ナトゥラルも手の低い長いパセが繋がると「オーレ」の声はより一層大きな声になった。足を揃えたナトゥラル、トゥリンチェラ。何て素晴らしいんだ。その瞬間が美しさの固まりだ。

 右手のパセを繋いで剣刺しは、スエルテ・ナトゥラルで構えた。彼は真剣を初めから持ってムレタの場を始める唯一の闘牛士。剣は1発で決まったが、なんとなんと、バホナッソじゃないか。ここまで来て耳を逃すとは残念だ。ケ・モラ!こんなスペイン語がないことは知っている。ケ・モロに引っかけてあえて言わせて貰う。ケ・モラ!何でそこでバホナッソなんだ。一斉に口笛が吹かれる。本人もガッカリしたようにブルラデラに帰っていった。ハンカチは振られない。牛が退場してファン・モラに対して喝采が沸いたがショックが大きく出てきて挨拶をしなかった。あーあ。あのナトゥラル。痺れたよ。

 それに引き替えエル・コルドベスは、何て詰まらないパセを繋いでばかりいるんだ。牛が悪いのは判る。見せかけだけのパセなんかここでは通用しないのだ。君なんか牛が悪くても代えて上げないよ。牛を誘うときどうしていつも同じ距離でばかり誘うんだ。角度すら変えないじゃないか。デスカベジョ4回。ホデール。

 ビクトル・プエルトは、悪くなかった。初めの牛はダメで交換して出てきた牛もどうしようもない牛。観客の集中力が切れたと観るやさっさと剣を代え殺した。最後の牛は、良い出方をしたがベロニカでコッホになった。また、牛交換。交換して出てきた牛はベロニカをすると外に逃げていく。ピカから離れると膝を着いた。どう仕様もない牛だ。おまけにマンソ。所がムレタの始まりは良かった。

 アジュダード・ポル・アルトで両足を揃えて左右にパセが繋がると期待が沸いた。しかし、直ぐに牛は本性を出した。動かないのだ。いくらクルサードしてもメディア・パセになってしまう。少し動いても良い動きなど出来るはずがない。

 今日も耳は出なかった。そして、何度も書くけど牛が悪かった。僕はそれなりに面白く観れたけど、牛を何とかして欲しい。それにしても、ファン・モラのナトゥラルは素晴らしい。グラスに注いだ美しい色のコクと味わいのある酒のように気持ちよく酔わせてくれる。今日はこれからファン・モラのナトゥラルに乾杯だ。


http://www2u.biglobe.ne.jp/~tougyuu/以下のHPの著作権は、斎藤祐司のものです。勝手に転載、または使用することを禁止する。


ホームに戻る