舐めるなよオルドニェス!何故あれが耳2枚?C・リンコン喝采、J・コンデ踊れず座布団の雨が降る。

2005年4月14日セビージャ、レアル・マエストランサ(第1級)闘牛場の結果。

 快晴。Tシャツで暑いくらい。日が暮れて風が吹くと上着が必要。ハンディージャ牧場の牛(Procedencia actual=現在の起源<基の血統>、ファン・ペドロ・ドメク牧場)。ソブレロ、ヌニェス・デル・クビジョ牧場の牛。闘牛士、セサル・リンコン、ハビエル・コンデ、リベラ・オルドニェス。満員。ソルのグラダにて、お客さんを連れて観戦する。開始18時30分。終了は記録していなかったが、21時近かった。始まる前にパティオ・デ・クアドリージャにて闘牛士の写真を撮影した。

 セサル・リンコンは、今日もソルテオで悪い牛を引き当てた。最悪の2頭だった。最初の牛はベロニカが出来なかった。その時点で左角が短く右角の時、動きがおかしいのが判った。カポーテのパセで牛が地面に角を突き1回転した。つまり体のバランスが悪いのだ。ピカが入って離れたときに牛が膝を着いた。ムレタでは、右角がブスカンドした。それでもデレチャッソで長いパセをしたが膝を着く。ナトゥラルでも長いパセを引き出しがブスカンド。牛の動きが止まったが、それでも何とか牛を動かそうと距離を変えたり間を取ったり丁寧に工夫したが、牛は動かなかった。牛の前で命を賭けている姿が観客に伝わった。剣は、スエルテ・コントラリアでカイーダ。牛に対して口笛は吹かれたが、セサル・リンコンへは喝采がなった。

 4頭目の牛は、出てきてブルラデロにぶつかると動かなくなった。しばらくして立ち上がると左後ろ脚が悪くなっていた。おそらく腰をひねって痛めた物だろう。一斉に口笛が吹かれる。ベロニカを繋ぐとパセの最後に飛び跳ねて着地した後の動きも足をかばっていた。プレシデンテが緑のハンカチを出して牛の交換を指示した。そして、牛交換の時にフロリートが登場して直ぐに牛を退場させた。喝采がなる。

 ソブレロは、ヌニェス・デル・クビジョ牧場の牛。ベロニカを繋ぐと「オーレ」がなり、メディア・ベロニカで喝采がなった。牛は前脚が悪かった。2頭とも悪い牛だったので仕方なくという感じで、牛は観客に捧げられた。ファエナは、膝を折ったデレチャッソから始めたが繋がらない。ナトゥラルに変える。クルサードして長いパセ繋がったと思ったら牛が膝を着いた。それから間を取りナトゥラルを丁寧に繋ぎ、手の低いながパセを引き出した。パセ・デ・ペチョで拍手が沸く。それからまた、デレチャッソを繋いだ。クルサードして長いパセを引き出す良い仕事だ。それから3回リガールすると闘牛場が「オーレ」に包まれた。クルサードして長いパセを引き出す。パセ・デ・ペチョの時に返りが早くなり危なかった。コヒーダされそうになる。そんな風にひたむき牛に向かう姿に喝采が沸く。

 デレチャッソ、ナトゥラルを繋いだが、動きが悪くなった。パセの後の返りも早くなり剣を変えた。スエルテ・コントラリアでピンチャソ。アビソが鳴り、カイーダでケインが入って牛は座った。牛が退場するときには一斉に口笛が吹かれたが、セサル・リンコンに対しては喝采がなった。下山さん曰く、あの牛を3回リガールしたのは感動もの。今日のトゥリンファドールはオルドニェスでなくセサル・リンコンです、と。

 ハビエル・コンデ。どうしたの君ぃー。自分のパターンに入らないと出来ない闘牛士。初めの牛はセサル・リンコンの牛よりずっと良かった。でも、それ僕に関係ないもん!それがハビエル・コンデだ。ダメじゃんそれじゃ!言っても分かんないよね、君は。平気平気、次があるから。で、次の牛のベロニカで、「オーレ」がなった。出たハビエル・コンデ!今度こそ踊るか?でも、ピカドールが思いっきり牛を痛めつけるとやる気が萎えたのか全然ダメ。良い牛なのにねぇ。腰が引けたまま何もせずに剣を代えた。スエルテ・ナトゥラルでバホナッソのアトラベサーダ。牛が口から血を吐いて倒れた。口笛が一斉に鳴り罵声が飛ぶ。チューロ!だって僕ちゃんには出来ないんだもん。君の目指すのはドゥエンデの闘牛士?クーロ・ロメロのように年に2,3回驚くような闘牛をする伝説の闘牛士なの?まっ、これもハビエル・コンデなのだけれど、オールバックの髪を1度も振り乱すことなく、湯気が出るほど勃起したペニスのような闘牛はいつも出来ないのは判るけど、ダメなときでもダメなりに努力するって事はしない訳?スペイン的なダメさを抱えた闘牛士よね君は。

 リベラ・オルドニェスは、牛に恵まれた。3流闘牛士はこうじゃなくとばかりに良い牛を引き当てた。それでも、初めの牛ではつまらないパセをだらだら続けただけ。退屈。さすが3流です。このまま終わるかと思った最後の牛で、耳切っちゃいました。僕ちゃん、腕は3流だけど家系は1流。ほら、前の嫁さんだってゴヤの絵に出てくるアルバ侯爵の娘。えへん。離婚しちゃったけど。最後の牛は1番良い牛だった。デレチャッソは面白いように繋がる。パセは面白くないけど。リガールしてパセ・デ・ペチョ。「オーレ」が続き喝采がなる。バンドがパソドブレの演奏を始めた。

 ほらまた、デレチャッソは面白いように繋がる。クルサードしてないけど。あっ、御免。クルサードしているよね、忘れた頃に。ほら、ナトゥラルだってこんな繋いじゃった。クルサードしていないから牛は体からかなり離れて通るけど。でも、「オーレ」がなっちゃうもん。セビージャだから。ここはビルヘンの土地。みんな僕ちゃんに温かい。甘やかされて育ったから、ビルヘンのように全てを温かく包んでくれるセビージャが好き!剣がスエルテ・コントラリアでカイーダでも、ほら、耳2枚出ちゃうもん。誰が観ても1枚だけど。嬉しくって満面笑みで場内1周。最後は肩車されて退場。観客は大喜び。だって、ここはセビージャだもんね。

 良い牛は2頭いた。5頭目と6頭目。3頭目もまあ良い牛だった。悪い牛が2頭とも当たったセサル・リンコンはそれでも命を賭けていた。あの姿が観客の胸を打つのだ。だから退場時に喝采がなった。ハビエル・コンデとリベラ・オルドニェスは、命など賭けて闘牛はしていない。ハビエル・コンデは、退場の時に口笛と罵声と座布団の雨が降った。オルドニェスの耳2枚は甘すぎる。大甘。砂糖、カリン糖、金平糖。お坊ちゃまの闘牛に変わりなし。パセがつまらない。牛が動いてパセが繋がっているだけで、感動など何もない。それでもここ、セビージャの人は満足した。オルドニェス、舐めんなよ。マドリードで待ってるぜ。


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