流血の日。

2001年5月13日、マドリード、ラス・ベンタス闘牛場。(第1級闘牛場)

 晴れのラス・ベンタス闘牛場。ほぼ満員。

 ファン・ルイス・フライレ牧場。闘牛士、ペピン・ヒメネス、ルイス・ミゲル・エンカボ、エル・レンコ。

 ペピン・ヒメネスは、良くやった。初めの牛はベロニカでコッホ(ビッコ)になった。左利きの牛でベロニカは右側を通した方がやりやすかった。エンカボのキーテはファロールを連続してラルガで締めた。「オーレ」がなり喝采がなる。ムレタになってからは長いナトゥラルを繋いで観客を沸かせた。手の低いナトゥラルで「オーレ」がなった。正面を向いたナトゥラルを繋いだ後、剣を代えた。スエルテ・ナトゥラルでカイーダだった。デスカベジョ1回。

 2頭目も難しい牛だった。パセをしても走りきらない思い切りの悪い牛。パセの後は帰りの早く体の後ろに角を向けて危ない。バンデリージャでフォルミダブレがコヒーダされ牛の上で2,3回跳ね上がった。落下したときには全く動かなくなっていた。彼は重いので5,6人で抱えられて医務室に向かった。脳震とうでも起こしたのかも知れない。ファエナは、右手ではブスカンド(体の方に来る牛)するがナトゥラルでは長目のパセを繋いでいたが帰りが早くコヒーダされて手に血が付いていたから切ったのかも知れない。その後は左右のパセでブスカンドするので剣を代えた。剣刺しは良くなかったが良い仕事をした。

 ルイス・ミゲル・エンカボは、今日1番良かった。それを象徴しているのが1頭目だった。パセで上に飛ぶように跳ね上がる左利きの牛を上手くカポーテで捌いた。キーテは、チクエリナ3回メディア・ベロニカを決めると拍手が沸いた。片手で持ったカポーテをアレナに垂らしながら牛の気を引いて馬の前でラウガ・コルドベサを決めると喝采がなった。牛を良く知っていることが判る仕事だ。

バンデリージャも自分で打って挨拶をして喝采を浴びる。牛は観客に捧げられた。案の定右ではブスカンドする。ナトゥラルでも帰りの早い牛でムレタを振った後危ない。それでも良いムレタ捌きを見せた。特にナトゥラルが良かった。剣刺しが8かピンチャッソになったのが戴けなかったが。

 エル・レンコは、良いんだか悪いんだか良く分からない。初めの牛は話にならない牛。何をやってもダメ。2頭目は、良くなかったが観客に牛を捧げた。疑問がわいてくる行為だ。ナトゥラルでは牛は動かなかったが、右手のパセでは長いパセが繋がった。クルサードして誘っている。牛の角の間30cmの所にクルサードして立っていたらコヒーダされた。幸い大事には至らなかった。また牛に向かったときも逃げずにクルサードしていたが、もう牛が動かなくなって剣を代えた。スエルテ・コントラリアで決めた。デスカベジョ1回。観客の喝采に応えて挨拶をした。

 今日は牛が悪かったが闘牛士たちは良くやっていた。それが救いだよな。フォルミダブレは大丈夫なのだろうか。牛を何とかして欲しいものだ。


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