牛の特性を生かし、良いファエナをしたエル・シド、剣刺しで耳1枚を逃す。牛、場内1周。

2002年5月12日マドリード、ラス・ベンタス闘牛場(第1級闘牛場)の結果。

 日が出て暖かいが、日が沈むと寒いマドリード、ラス・ベンタス闘牛場。牛、エルナンデス・プラ牧場。闘牛士、ダビラ・ミウラ、エル・レンコ、エル・シド。満員の入り。いよいよサン・イシドロが始まった始めの日曜日。テンディド6、バッホにてYさんと一緒に観る。

 ダビラ・ミウラは全く良いところなし。彼が相手にした牛は悪かった。1頭目は左目の見えない牛。だからブスカンドする。それでも何とかパセを繋ごうとすればいいがそれもしない。4頭目は、ピカの時、10m離れたところに置いて、呼ぶと向かって来る牛。その特性と生かせばいいのに、そんなことは判らない。左角が体の方を通るとき(ナトゥラルをするとき)、ブスカンドする。そんなことは観れば判ることなのに、観ていない。ファエナをナトゥラルで始めたのに呆れてしまった。良い牛でしか闘牛が出来ない。セビージャのトゥリンファドールは牛を全く知らない。自分の型でしか闘牛が出来ないようだ。剣刺しはピンチャソばかり、デスカベジョ3回。大牧場の一族なのに、牛のことが判らないと言うのは驚きだ。

 可哀想のことだが、エル・レンコは何しに出てきたんだろう。上がっているとか何とかは、ラス・ベンタス闘牛場の観客にとってはどうでも良いことだし、そんなことは言い訳にはならない。牛が悪かったというのも、始めの牛の剣刺しを5回やり、デスカベジョ8回。アビソ2回。これじゃ言い訳できないだろう。罵声を浴びた。5頭目も、マンソ気味の牛に何も出来ず。彼のクアドリージャも全くダメ。罵声と口笛を浴びに出てきたようなもの。

 今日のエル・シドにはビックリした。始めの牛はマンソ気味で前脚を突っ張って止まる牛。ベロニカでは左後ろ脚を痛めた。それでも、ピカの時、遠くに置いて、呼ぶと向かってきた。この牛の特性を、把握してファエナを始めた。アレナ中央に立って、タブラ近くにいる牛を呼ぶと、遠くから牛はムレタに向かって走り出した。その牛をリガールしてパセを繋ぐと闘牛場は感動に包まれて、「オーレ」の大合唱が続いた。何度も、牛を遠くから呼んでパセを始めたので、観客は歓び、パセは繋がった。手の低い長いパセを繋いでパセ・デ・ペチョをすると喝采がなった。

 牛の特性と距離が判っているからこういうファエナが出来る。当然耳だと思ったが剣刺しを何度も失敗して耳を切れなかった。牛は場内一周。正直に言えば、マンソ気味だったことは良いとして、前脚を突っ張って止まったのと、後ろ脚が悪かったことなどがあったので、場内1周には疑問を持った。遠くから呼んで動く牛というのはなかなかいない。その部分が観客の要求になったものと思う。

 最後の牛は、左角が体の方を通るとき(ナトゥラルをするとき)、ブスカンドした。だからだろうか、ファエナでは、右手のパセだけをし、パセ・デ・ペチョも左でやったので右角側だけでパセを通しtことになる。ナトゥラルは1回もやらなかった。このやり方を観ると、危ないというのが良く分かっていたと判断せざるを得ない。始めの牛で剣を決めていたら耳を取れたのにそれが出来ないのは、つきのない闘牛士の特徴かも知れない。ただ、全然期待していなかったからか良い内容の闘牛だったのにはビックリした。


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