2000年6月10日、アビラの結果

ホセリート、耳2枚。ホセ・トマス、グラン・ファエナ!
ホセ・トマスは自分の限界に挑戦している。

por 斎藤祐司

 快晴の闘牛。しかし、今日も風が吹いている。ラウレンティノ・カラスコサ。エスパルタコ、ホセリート、ホセ・トマス。ノー・アイ・ビジェテ。

 エスパルタコは、今日は良いとこがなかった。それは、カポーテがエスパルタコ、ホセリート、ホセ・トマス捲れ上がるほどの風の中でやったことと、牛が悪すぎたことと、コヒーダから復帰戦だったことが重なったからだ。1頭目の初めは牛を動かしてパセを繋いで見せた牛は途中から動かなくなってパセの途中で止まった。剣はバホナッソ。2頭目は、カポーテのパセの時はパセ後の帰りが早かったが、ムレタでは、クルサードして誘っても動かない牛だった。でも怖がって足が動いたりしていたのは寂しくなった。もっと堂々とピコで良いからパセを繋いで欲しかった。ただやっていることは全盛期よりもまともな闘牛をしている。しようとしている。それが救いかな。

 ホセリートは、1頭目で耳2枚を切った。風が強くカポーテはちゃんと出来なかったが、ムレタでは、膝を折ったパセから始め、中央へ。右手のパセを繋ぎパセ・デ・ペチョは脇が開いていた。右手でパセした後、左足を一歩引いたパセを繋いでパセ・デペチョ。オーレがなり喝采がなった。パソドブレが鳴る。右手でクルサードしてパセを繋ぎパセ・デ・ペチョ。牛が動かなくなってきたのでナトゥラル。クルサードしてパセを繋ぎパセ・デ・ペチョ。牛が動かなくなったので剣を代えて、スエルテ・ナトゥラルで少しバホナッソ。レガーロの耳2枚。

 2頭目では、パセする前に交換になった。左角が見るからに短かったためか?代わった牛で、シンプルなベロニカ、メディア・ベロニカ。キーテは、チクエリナを繋ぎセルペンティーナ。チクエリナは一歩足を引いていたがオーレがなっていた。ムレタは、タブラの所に座ってのパセから、中央へ。でも、パセの後牛が何度も膝を着いた。その内クルサードしても動かなくなり、剣を刺した。

 ホセ・トマスは、今日1番良かった。1頭目は突進する牛だったが、パセで脚を痛め、ピカで完全なコッホになった。ピカドールは何も知らない。牛はもうパセにならなかった。2,3分で直ぐに剣を刺した。2頭目も突進する牛だった。シンプルなベロニカを繋いでいくといつの間にかアレナの中央にいてラルガを決めた。オーレがなり喝采がなった。キーテは、ガオネラを繋ぎラルガで喝采。

 ムレタでは、中央でクルサードして右手のパセを繋ぎパセ・デ・ペチョ。右手にムレタを持って左手を挙げて綺麗なパセを繋ぐとオーレがなった。パソドブレが鳴る。クルサードしてナトゥラルを繋ぎパセ・デ・ペチョ。剣を代えて、マノレティーナを繋ぐ。クルサードして2mの所から牛を誘ってオーレ。クルサードして角2本目の所に体を置き牛から1mの所から誘ってオーレ。クルサードして角2本を越えたところに体を置き、牛から50cmの所から誘ってオーレ。クルサードして角2本を越えたところに体を置き、牛から30cmの所から誘ってオーレ。この時牛は、ホセ・トマスの体の左側に行っていた。そっから、マノレティーナで牛を誘う奴はいないよ。

 観客は、「ホデール」とか「クイダード」と小声で良いながらこの危険きわまりないパセに釘付けになった。大声を出すと危ないからだ。彼は、自分自身の限界に挑戦しているような、それほど危険なパセを続けた。マノレティーナが終わると観客は総立ちになって喝采を送った。剣は、スエルテ・ナトゥラルでピンチャソ。観客からガッカリした声が漏れ拍手が鳴った。スエルテ・コントラリアでピンチャソ。観客からガッカリした声が漏れ拍手が鳴った。スエルテ・コントラリアでまたピンチャソ。観客からガッカリした声が漏れ拍手が鳴った。4回目で素晴らしい場所に素晴らしい剣が刺さった。牛が倒れると喝采が鳴りやまなかった。そして、闘牛場に、「トレロ、トレロ、トレロ」とコールが沸き起こった。

 ホセリートは耳2枚を切ったけれど今日の主役は文句なしにホセ・トマス。しかし、あのマノレティーナはクルサードから角2本越えてしかも牛のと距離を段々縮めて行くところはちゃんとした手続きを踏んでやっているパセなのだ。ただ危険なだけのパセではない。それはホセ・トマスの技術と自身に支えられているとはいえ。

 とにかくスゲー写真が撮れた。一緒に行った米ちゃんが、「何か危ないことやってもホセ・トマスだと安心してみていられる」と、言っていたがそれは上記の理由だ。


http://www2u.biglobe.ne.jp/~tougyuu/以下のHPの著作権は、斎藤祐司のものです。勝手に転載、または使用することを禁止する。


ホームに戻る