寒ぃー!風が吹いて危なった闘牛士がカポーテ離すと、アレナに落ちたカポーテが強風で3回転した。

2005年4月10日マドリード、ラス・ベンタス(第1級)闘牛場の結果。

 快晴。強風が吹き冬のような寒さ。みんなコートや革ジャンを着てマフラーや手袋をしている。僕はダウン・ジャケットを着て観戦するも風の冷たさに下半身が非常に冷たい。途中から日の当たっているところにわざわざ移動して暖まった。みんなそうしていた。ソンブラよりソルで、しかも日に当たらないととんでもなく寒い。グアダイラ牧場の若牛(Procedencia actual=現在の起源<1つ前の血統>、ハンディージャ牧場)。見習い闘牛士、フラン・モレノ、アンドレス・パラシオス、クーロ・レジェス。観客は1/4弱。テンディド7(ソル)のアンダナーダにて観戦する。開始18時。終了は記録するのを忘れるくらい寒かった。こんなに強風が吹くラス・ベンタスは初めてだ。

 フラン・モレノは、もっと勉強した方が良い。もう遅いかも知れないが・・・。闘牛の知らない観光客が、足も止まっていないパセに、「オーレ」を言われてその気になっていなかった。ちゃんとしたベロニカが出来ていない。クルサードが甘い。ムレタの振り方が悪い。牛が判っていない。風が吹いたときの対処法が・・・。欠点を数え上げたらキリがないからやめるが、上手くできない原因は一杯ある。2頭目の時に観光客たちの無意味な耳要求があった。何なんだろうあれは???

 アンドレス・パラシオスは、1頭目フランの牛の時のキーテでガオネラを3回繋ぎラルガを決めて拍手を受けた。でも、パセの時、足が動いていた。フィグラでもないし、見習い闘牛士だからそれでも良いけど。初めの牛で、強風が吹いていた。その中で手の低い長いデレチャッソを何度も繋いだ。でも、基本的に、2頭目の牛の時にファエナしたテンディド5の所で初めからやらなきゃ。勿論、他の2人にも言えることだけど。剣を代えた後のマノレティーナは、風が吹いて危なかった。やる気だけは買う。疑問の挨拶。

 5頭目の牛のベロニカとメディア・ベロニカは一応合格点。でも、もっと練習しないと。ファエナではクルサード不足。ほら足が止まっていないのに観光客が、「オーレ」の声を上げている。ムレタの振りが悪く何度もムレタがちゃんと開いていない状態で振っていた。だから、綺麗じゃない。風のせいもあるけど、それ以前の問題が大きいような気がする。トゥリンチェラだって他の技だってどうも足腰が決まっていないので醜いパセばかりだ。剣はカイーダ気味に1発で入ったが、デスカベジョ3回。耳要求もないのに、勝手に場内1周をした。そういうアピールも時には必要だよね。

 クーロ・レジェスは、1番強風が吹いているときにやっていた。その意味では可哀想だったが・・・。それにしても頂けない内容だった。初めの牛のキーテでは風が吹いて危なくなりカポーテを離した。逃げていったが、落ちたカポーテが強風で3回転するほど物凄い風だった。4,5キロもあるカポーテがあんな風に、風で転がるのを観たのは初めてだった。闘牛出来るような環境じゃない!だからといって屋根付きの闘牛場の方が良いとは全く思わない。何故なら、闘牛士とはそういう自然環境をも把握して闘牛出来なければならないのだから。闘牛とは、牛(自然)を相手に人間が行う物。だから雨が降ったり、風が吹いたり、するような所でやらなければ闘牛士としての資質がなくなると思う。

 初めの牛は左右両方の角が内側に来る危ない牛だった。でも、腰は引ける、ムレタやカポーテは角にはらわれるどうしようもない内容。最後の牛は、上記2人と同じくテンディド5で始める。カポーテも相変わらず角にはらわれている。腰が引けていくような感じでカポーテを振っている。何これ?ファエナでは膝を折ったデレチャッソから始めたがムレタを角にはらわれたいる。それから案の定何度もムレタを角に取られていた。牛は良いのにちゃんと牛を観ていない。ムレタと角間を一定に保ってパセを通すことが全く出来ない。ねぇ、君が一人前なのはパセが終わった後にする見栄だけだよね。それはもう、格好良い!

 今日は強風が吹き続いて寒くとても闘牛をやるような環境じゃなかった。特に経験の少ない見習い闘牛士には酷だった。でも、牛は素晴らしい牛が多かった。何であんなに良い牛を相手にしているのにチャンスを掴もうとしないのだろうか不思議なくらいだ。クルサードして手の低い長いパセがいくらでも繋がるような牛ばかりだった。みんなやり方を知らなさすぎだ。クーロ・レジェスのアポデラードがマリアノ・ヒメネスだった。彼はもう闘牛を辞めたんだ。


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