99年サン・イシドロ祭報告

por 斎藤祐司

 今年のサン・イシドロでの4つの闘牛(ビデオ)を紹介した。

 祭り始めての耳は、ホセ・ルイス・ボテ。92年のサン・イシドロで背骨を刺されて下半身不随を宣告された男がリハビリから再起。彼の怪我を数えたらきりがない。腹を刺されて内臓が出たり、左足首もボロボロ。それでも、僕には闘牛しかないと、言ってやっている。予定外の出場も日曜に活躍して機会を得た。

 ファエナは、大きくゆっくりとしたパセで観客を魅了した。地味な闘牛士だがベンタスは彼を愛している。ホセリートと同じマドリード闘牛学校一期生。売れない闘牛士。ファエナの後にボテが言った。「この耳で、カルテルが少しでも増えてくれると良いんだけど」

 今年1番問題になったペピン・リリアのファエナ。6月1日、ホセ・トマスから主役を奪って観客を総立ちにさせた。風が強く吹く条件下で牛の鼻面前に立ったクルサードに観客は熱狂させた。まさにホセ・トマス張りのクルサード。パセの構成も良かった。観客の耳の要求をプレシデンテは拒否して問題になった。この日限りなくPGに近かった。男を上げたファエナだ。ムイ・バリエンテ。

 そして、ホセ・トマスのプエルタ・グランデ(以下PGと記す)。パセの時に首を振る牛でムレタを角で何度もはらわれていたが、逃げずにファエナをやり続けた。牛の誘い方、ナトゥラル、は凄い。良い牛の時だけじゃないのが闘牛。牛が悪くてもファエナにしてしまう魔力がホセにはある。これでサン・イシドロ祭3年連続のPG。恐れ入りました。今や、マドリードのイドロだ。史上最高の闘牛士と言って良いだろう。

 今年もまた、ニュースターの誕生に立ち会うことが出来た。見習い闘牛士のファン・バウティスタ。カポーテ、ムレタ捌きとも見習いでは群を抜いている。牛の前に立って、体の後ろにあるムレタで、牛の動きを止めたりして技量だけじゃなく、落ち着きなど、並々ならぬ才能を見せつけた。フランス人闘牛士として2人目のPG。ニメーニョU以来22年降り。17歳の才能は本場スペインでも受け入れられた。フランス闘牛界の超新星。

−−−東京闘牛の会(TTT)99年6月定例会報告−−−


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