Toscanini Rehearsal
掲 載 曲 目
ブラームス  : 交響曲第2番ニ長調作品73 (1943)
ベートーヴェン  : 序曲  『コリオラン』作品62 (1944)
R・シュトラウス  : 交響詩 『死と変容』 (1952)
レスピーギ  : 交響詩 『ローマの噴水』 (1950)
ヴェルディ  : 歌劇 『椿姫』 第二幕、第1場 『もえる心を』 (1946)
ヴェルディ  : 歌劇 『アイーダ』 第二幕 第2場、『凱旋の場』 (1949)


  以上のリハーサル風景は、全て日本語訳です。英語とイタリア語が混在する 原文は掲載致しません。元になっているレコードはRCA AX−55 (特別見本盤)です。オーケストラは全てNBC SOです。 勿論、このリハーサル風景は全曲の一部にすぎませんが、トスカニーニの音楽 に対する情熱と厳格な姿勢を、感じ取って頂ければ幸いです。凄い罵詈の前に、 オーケストラ団員が懸命に練習している風景が想像できます。力で押さえつける だけでなく、時にはジョークをまじえて練習をするトスカニーニは、ほんとうに 心の優しい人柄で、強い意志と厳格さを持った一人の芸術家だということが解っ て頂ければ、掲載した意味がでてくるというものです。 6曲のリハーサル風景をご紹介致しました。
ブラームス : 『交響曲第2番ニ長調』 フィナーレ〜 中間部リハーサル風景
そう、そう・・・名を言っておこう・・・・

・・・神は・・・音楽は録音できたかね・・・うまく・・・

これで三度目だ、わしは・・・

練習記号はどこからだ、どの記号だ。

(団員の声) アイです。

こんちき・・・言っただろう・・・歌うんだ。

歌え、こんちくしょう、歌ってくれよ。

へたっぴー、まったく情けない

なんにも解っちゃおらんのだ

恥っさらし ウーフ

メーノ・モッソの初めのとこから、

五重奏の出は
(団員の声) アイ
アイ、アイ、と言うのは痛い、痛いと言う意味だ。

痛くてい、痛い思いをしろ、イテテ・・・
そうじゃない ・・・ 三連音符はアダージョだ
ギャギャギャギャ・・・タララララレラ、タラ・・・

タラララ、止め、止め、止め・・・

貴様ら馬鹿の塊だな、まったく

ティラララ・・・

又駄目じゃないか、こんなふうじゃ

君ら踊っているんじゃないんだよ・・・川のように

ラララララララ・・・ アダージョ、歌うんだ

音を伸ばして そうそう

まったく本当にもう (直訳だと「神よ聖母よ」となる)

ララ・・・初心者のひどい音楽家だ

どうにもならん、だめな音楽家だ だめだ

へたっぴー・・・ ダメ、ダメ、ダメ

ひどい どうにもならん代物だ

ファゴット屋さん、一緒に揃ってくれよ

めちゃくちゃだ もう一度、同じとこを

同じところだよ。恥っさらし、マー

UP

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ベートーヴェン : 序曲『コリオラン』冒頭のリハーサル風景
エイ、 パン、 パン

・・・ウンタレーラ、ウンタレーラ、ラレーラ (オーケストラと一緒に歌う)

ラレーラ、おい、おい、おい Tの記号だ (オーケストラと一緒に歌う)

コントラバス、解ってないな、ドラマチックにだ

コ・・・ララ、ララ、全部の音を (オーケストラと一緒に歌う)

弦もだ、全員、全奏で・・・みな・・・おまえ・・・(演奏中)

もう一度、Hの記号のところから

私は自分の持っているもの全部出しているんだ(演奏中)

トランタ そうだうまくいったこんちくしょう・・・(演奏中)

恥っさらし ぐーたらめ(演奏中)

エラレーラ、 エラレーラ、 エラレーラ、(オーケストラと一緒に歌う)

エーエイ、 エーエイ、 解ってるな・・・(オーケストラと一緒に歌う)

a(この音をだしている)・・・エイ・・・ (オーケストラと一緒に歌う)
UP

DOWN
R.シュトラウス : 交響詩『死と変容』 〜 リハーサル風景
リハーサル中の会話
一緒に始めよう、ウォン

弦よ、君らはちがう

君らは第2音をいつでも少し

遅れ気味なんだ。ビーリーウォン

君らは受け取ってくれないのか・・・

なんてテンポだ、仕方ない、やろう

君らは遅いんだ、いつでも、いつでも、いつでも

ここん所で、いつもその悪い癖がでるんだ。

いつでも遅い、いつでも

それで、君らはスタートだ、ティーリー、

テンポはそれでいい。

でも音程が狂っているよ 一緒にだよ。

ウッフ 良いオーケストラも悪い

オーケストラも、ここの所はどいつも同じだ。

君らは良いオーケストラだ。

でも悪いオーケストラと同じだ。

まったく同じだ、まったく

指揮者にとってはまったく同じなんだ。

さあ・・・私はこのアダージョを仕上げるのに

・・・時間は覚悟しているんだよ。
UP

DOWN
レスピーギ : 交響詩『ローマの噴水』〜 夜明けのジュリア谷の噴水 (演奏最中の会話)
ファーストだ、セコンドじゃないといったろ、

ドラレリ、ティラロリ (オケと歌う)

ファーストのパートが聞こえないんだ。

セコンドのパートだけが聞こえる。

トラロリ、 テラロリ、テロロ (オケと歌う)

これがこのパートで、

セコンドのパートだけじゃない

ファーストもいるんだ

目を覚ませ、オタンコナス、起きるんだ

月の女神よ 目を覚ませ

そらもう3時、4時 メーノ・モッソの初めのとこから、

もう15分で、そらいけ

静かに、 もう少し静かに、皆さん

静かに

クラリネットよ、ちがう、チェロもちがう

静かに

嵐を巻き起こしちゃいかん

ここには嵐は3ないんだ

きちっと楽譜通りに演奏してごらん

君らの楽譜にあるように、そう ブラボー

作曲家になると云うことは

非常に大変な・・・

私は作曲家でなくてよかった

(団員の笑い声)

じゃなくて、私は本当によかった

可愛そうな作曲家よ さあやろう
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歌劇 『椿姫』 第二幕、第1場 『もえる心を』 (1946)〜
それゃ、私自身で歌うからな、とにかく

オーケストラの部分がよくないんだから、

クレッシェンドの時でも、ディミヌエンドの

時でも、ハーモニーに気をつけるのだよ、

オーケストラは伴奏の時には

名ピアニストに弾かれている

素晴らしいピアノじゃなけりゃいけないんだ。

さあいこう

僕の煮えたぎる気持ちと

若さに溢れる情熱を...

彼女は、ラリラ、ラレラ...

(テノールの声) 愛の穏やかな微笑で

愛の 彼女が貴男と一緒に生きたい

と言ったあの日から(トスカニーニの声)

私は世間を忘れた世界に生きている。

私はほとんど...ほとんど天国にいるようだ。

(テノールの声)

天国にいるようだ。彼女が貴男に忠実に

生きたいと言ったあの日から、あ、

そうだ、世間を忘れた世界に

(トスカニーニの声)

私は生きている。私はほとんど天国にいるようだ。

ほとんど天国にいるようだ。

世間を忘れた世界に、私は生きている

私はほとんど天国にいるような気持ちだ。

(テノールの声)

世界を忘れた世界に、私はほとんど天国に

いるような気持ちだ。ああ、そう、ほとんど

天国にいる気持ちだ。
UP

DOWN

歌劇 『アイーダ』 第二幕 第2場、『凱旋の場』 (1949)〜
そこんとこ、泣いちゃいかん 泣かないでくれ

これは葬送行進曲じゃない。凱旋行進曲だ!!

伴奏はだな、見てなさい、ララララ...

ファン ファン そうだろう?

ちょいと耳を貸してごらん、どうやるか。

少し強調するようになっているだろう、

そこはいい、凱旋行進曲だ

眠っちゃいかん、死んじゃないよ、ちがうよ。

生き生きと アレグロ、さあ行こう
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