6月の花嫁・・・
「6月の結婚は幸運」という欧米の言い伝えは、「ジューン・ブライド」というフレーズとともに、我が国でもよく知られている。これは、6月が古代ローマの結婚の女神 Juno にちなむことに由来している。
そして、結婚式に花嫁が身につけるものに関する言い伝えを歌ったのが今回の唄である。
この唄に出てくる品物それぞれに意味があり、「古いもの」は「過去」、「新しいもの」は「未来」、「借りたもの」は「福を借りる」。そして「青いもの」は「誠実」、「靴の中の6ペンス」は「富」を表している。
ダイアナ妃も身につけた ・・・
ちなみに、故ダイアナ妃は、「古い」レースと「新しい」シルクのドレスを身にまとい、スペンサー家に伝わるティアラを「借り」、腰に「青い」リボンをつけたという。
「古いもの」は、昔は靴やベールであったが、現代では、さまざまなものが用いられている。また、「青いもの」も、昔はリボンで、それを男性客がはぎ取ったというが、現代では「青いガーター(靴下止め)」が主流。
なお、「花嫁のガーターを手にした男性が次の花婿」という言い伝えがあるので、欧米ではガーター・トスは、ブーケ・トス同様、けっこうおこなわれているようである。
また、1971年に6ペンス硬貨が廃止されたため、最近では、6ペンスのかわりに靴に1ペニーを入れたり、「靴の中の硬貨」そのものを省略したりすることも多いようだ。
クリントン元大統領も用意した・・・???
よく知られている唄なので、新聞や雑誌でも、 もちろん引用されている。たとえば、TIME(Jan.4, 1993) によると、かのクリントン元大統領も、この唄にならったという。ただし、これは、ヒラリー夫人と結婚したときのことではなく、8年前にクリントン政権が発足したときの話である。
その記事によると、彼が任命した閣僚は、前政権からの引き続きの人(Some Old)と、まったく新しく任命した人(Some New)、そしてニクソンやカーター政権時代から借りてきた人(Some Borrowed)であったらしい。マザーグースを用いたタイトルで、記事の内容を、端的かつユーモアたっぷりに表しているのだ。