更新:平成29年4月29日

宅建-独学の心構え

平成29年度(2017年度)版

【1】卑屈にならない

宅建受験界の「権威」とされている大手予備校や有名講師の宣伝が花盛りですが、合格者の大多数(8割以上)は独学者で占められているという事実を、まず知って下さい。

だから、独学する方が卑屈になることは全然ないです!


合格者の大多数が独学者なのは、宅建受験界の「権威」とされている大手予備校や有名講師が、受講料に見合った合格率を出せていないからです。
一般に表示されている合格率は「水増し」もいいところで、ひどい所では独学より低かったりします。

【2】丸暗記しようとしない

宅建試験は、横断的な理解(横のつながり)が要求される試験なので、勉強する時は、エピソード記憶を重視して下さい。

「エピソード記憶」とは、皆さまの経験に基づく論理だった記憶のことで、丸暗記とは無縁のものです。

「AがBに不動産を売却した」なんていう民法の問題一つを勉強するにも、AあるいはBになったつもりで「自分なりの物語を作って」「理屈を理解すること」が、エピソード記憶です。

エピソード記憶の正反対にあるのが、経験とは関係ない単なる記憶で、これを「意味記憶」と言います。
9×8=72(くは・しちじゅうに)という九九の計算の覚え方や、「いい国に作ろう鎌倉幕府」(1192年鎌倉幕府成立)なんていう単なるゴロあわせが、この類です。

「意味記憶」だけで宅建に合格した人はいません。
ぜひとも、皆さまの経験に基づく論理だった記憶(エピソード記憶)に重点を置いた勉強をして下さい。

※ 関連記事 丸暗記やゴロ合わせがダメな理由

【3】宅建業法を最優先させ、民法はホドホドに

「民法を制する者は宅建試験を制する」という予備校・講師等がいます。
学問的には正しいのですが、独学合格を目指す方の心構えとしては間違いです。

そうではなく、「宅建業法を制する者が宅建試験を制する」のです。
勉強の質・量ともに、宅建業法を最優先させて下さい。

以下、理由を書きます。

(イ)

宅建は不動産屋さんの試験であり、不動産屋さんに一番必要なのは宅建業法です。
決して民法ではありません。

(ロ)

だから、「民法は宅建業法を理解するための手助けに過ぎない」と考えるべきです。
もし、「民法を十分理解するために民法を勉強する」と考えてしまうと、とんでもない迷路に迷い込んじゃいます。
民法は1044条もある膨大な法律であり、1年や2年の勉強でマスターできるほど甘くはないです。

(ハ)

以上を裏付けるのが、平成21年度本試験から実施されている科目別出題数の見直しです。
平成20年度までは民法の出題数が16問でしたが、平成21年度からは14問に減らされてしまいました。
これに伴い、平成20年度までの宅建業法の出題数(16問)も見直され、平成21年度からは20問に増加されました。何と、全出題数(50問)の4割が宅建業法からの出題です。
平成29年度も、これが踏襲されるでしょう。

(ニ)

実際問題としても、民法を優先させることで「エネルギーを使い果たしてしまう」受験者が毎年すごく多いです。
これは、宅建の勉強が長続きしない最大の原因になっています。

(ホ)

実は民法(不動産登記法・区分所有法を含めた「権利関係」)は、合格者でも半分しか正解していないのが普通なのです。
それに対して、宅建業法は満点を目指すべき科目です(合格者で宅建業法満点はザラ!)。
つまり、民法での失点より宅建業法でのそれのほうが、数倍も命取りになります。

だから、「宅建業法を最優先させ、民法はホドホドに」というのが、正統派の宅建受験技術なのです。

【4】何事も具体的に考えてみる

宅建は、(1)信頼できる教材を使う (2)きちんと勉強する (3)最後まで諦めない、の三拍子を守れば、必ず合格できる試験です。

でも、
(1) 信頼できる教材とは、 具体的には何でしょうか?
(2) きちんと勉強するとは、具体的にはどういう行動なのでしょうか?
(3) 最後まで諦めないは、 具体的にどう保証されているのでしょうか?

何事も具体的に考えてからにしないと、時間とお金だけが無駄になります。
そこで、それぞれを掘り下げてみます。

(1)信頼できる教材とは…

どんな世界でもそうですが、歴史や伝統こそが信頼の証」です。
だから、長く使われてきたものは、まず信頼できると言えます。

具体的には…

参考書・テキストでは、
平成29年版パーフェクト宅建 基本書(住宅新報社)

過去問ドリル(一問一答)では、
平成29年版パーフェクト宅建 一問一答(住宅新報社)

過去問題集(四択問題)では、
2017年版過去問宅建塾[壱][弐][参](宅建学院)

であり、これらがオススメです。

以上オススメ教材の平成29年版(2017年版)の発行時期は、平成28年11月から平成29年4月にかけてです

ご注意
平成29年版(2017年版)を謳った書籍でも、発行日が平成28年10月になっているものは、表紙だけ差替えた旧版なので注意して下さい。
「先に売ってしまえば勝ち」式の汚れた発想に基づく本の売り方です。
最近は大手のものにも散見される!のが、残念です。

※ 関連記事 宅建教材の古典や伝統の恐ろしさ

もちろん、「信頼の基礎」をどこに置くかは人それぞれなので、最終的にはご自分で判断することですが、もし判断がつかなかったら、宅建倶楽部のスタッフにメールで相談してみて下さい。匿名可・無料です。

(2)きちんと勉強するとは…

宅建は法律の試験なので、「法律の勉強を」きちんとすることです。 具体的には、下の(ⅰ)と(ⅱ)のようになります。

(ⅰ)実質的な理由を探る勉強をする

そもそも法律は人間が作ったものなので、その法律や条文には必ず意味があります。
その意味を探るのが、「実質的な理由を探る勉強」です。

例えば、平成25年度問33肢1は下のような問題でした。

(問題)
宅地建物取引業者は、自ら売主として分譲マンションの売買を行う場合、管理組合の総会の議決権に関する事項について、管理規約を添付して重要事項として説明をしなければならない。[平成25年度問33肢1] 答はバツ


(よくある解説)
誤り。
分譲マンションの売買に際して重要事項として説明しなければならない内容には、本肢が記述している「管理組合の総会の議決権に関する事項」は含まれない(宅地建物取引業法35条1項、宅地建物取引業法施行規則16条の2)。


この解説に書いてあるのは、形式的な理由だけ!

「形式的な理由」とは、その法律の条文には、
・ こう書いてあるから、マル
・ こう書いてないから、バツ
と、説明することです。

こういう「形式的な理由」を知る勉強だけで済ませると、宅建の合格が、
・ 記憶だけの勝負
・ 我慢だけの勝負
になっちゃうばかりか、応用力が身に付きません

法律や条文には必ず意味があるので、是非、「実質的な理由」を探る勉強をして下さい。

「実質的な理由」とは、その法律の条文に、
・ こう書いてあるのは、なぜだろう?
・ こう書いてないのは、なぜだろう?
と、説明できることです。そうすれば応用力が身に付きヒッカケ問題に泣くことも防げるでしょう。

見本として、私が「実質的な理由」を加えて、さっきの問題を解説してみるので、参考にして下さい。

(問題)
宅地建物取引業者は、自ら売主として分譲マンションの売買を行う場合、管理組合の総会の議決権に関する事項について、管理規約を添付して重要事項として説明をしなければならない。[平成25年度問33肢1] 答はバツ


(迷物講師の解説)
誤り。
そもそも、宅建業法に重要事項の説明制度があるのは、契約締結前のお客さんに、その物件を取引するかどうかの重要な判断材料を与えるためだ。
そうなると、本肢で書いてある「管理組合の総会の議決権に関する事項」は、物件の資産価値とは直接関係ないので(お客さんが、予想外の金銭的負担を強いられるものではないので)、その物件を取引するかどうかの判断材料にならないのが普通だ。したがって宅建業者は、こんな事を重要事項として説明する必要はなく、本問の答はバツになる。

(ⅱ)堅苦しい言い回しに慣れるようにする

宅建倶楽部が公開している1条ずつ引ける宅建専用六法を見てみれば分かりますが、法律は、法律独特の「堅苦しい言い回し」のオンパレード。

この堅苦しさに慣れていない人が宅建に合格するのは、100人のうち10人以下であることをキモに命じて下さい。つまり普通の人の宅建合格率は7~8パーセント以下なのです。

なぜならば、行政書士試験等の合格者、それらの受験勉強を数年経験したことがある人、法学部の出身者など、法律独特の「堅苦しい言い回しにある程度慣れている人」が合格者全体の3割を占めてしまっている、という現実があるからです。

宅建受験界の「権威」とされている大手予備校や有名講師は、ここを完全に隠蔽しています

じゃどうすれば、法律独特の「堅苦しい言い回し」に慣れることができるでしょうか?
三つあります。

第一の方法は、参考書やテキストを読む時、「自分なりの物語を作って」「理屈を理解すること」を心がけることです。
上の方の【2】でも書きましたが、エピソード記憶を重視し、丸暗記を避けるのです。

第二の方法は、その法律の条文に、
・ こう書いてあるのは、なぜだろう?
・ こう書いてないのは、なぜだろう?
と、「実質的な理由」を探る勉強をすることです。上の(ⅰ)で書いたことです。

第三の方法は、ネット上で拾える無料の音声や動画を利用するときは、必ず印刷物に戻って確かめることです。
宅建試験は純粋な書面審査(紙文書の読解力ですべてが決まる試験)だからです。
動画等での有名講師の名調子が、法律独特の「堅苦しい言い回し」に慣れるという点ではマイナスになることもあるのです。ネットが発達したゆえの皮肉な面ですね。

以上三つの方法には、最初は、ゴールが見えないツラサが待っています。

でも、今日は10分、明日は20分という風に、一日10分ずつでいいから、上の三つの方法を取り入れた読書をしていって下さい。

一日10分ずつ増やして行けば、2週間もすれば、2時間くらいはテキスト・参考書を平気で読み込めるようになります。
そうすれば、法律独特の「堅苦しい言い回し」にも慣れてきた実感が徐々にわいてきます。

(3)最後まで諦めないとは…

これは文字通り、合格する最後の瞬間まで諦めないことです。

でもこれは、一種のパラドックス
合格者全員が、最後の瞬間まで諦めなかったから、合格者なのです。
時間の差こそあれ、どこかで諦めた人が合格していないだけの話!

宅建受験界の「権威」とされている大手予備校や有名講師が、このパラドックスを宣伝に利用する傾向があるのは、悲しいことです。

そこで重要なのは、皆さまが最後まで諦めないで合格する点は、 具体的にどう保証されているか? となります。

(ⅰ)受験動機が一番

「受験動機」というのは、皆さまが宅建受験を決意するようになった原因のことです。

もし今年合格しなければ、誰かから「殺される!」という受験動機があったら、偏差値30の人でも今年の合格が保証される、と私は思いますよ! でもそんな人は実際にはいません。

もし今年合格しなければ、身内から「絶縁される!」という受験動機があったら、その次くらいに今年の合格が保証されるかもしれません。

四半世紀以上宅建講師をやってきた私が実際に出会ったのは、もし今年合格しなければ、会社から「リストラされる!」という人です。20年くらい前は、平等を「へいとう」と読んだ人でも合格してしまいました。最近でも、これと似たリストラ不安が受験動機の方は合格率が60パーセントなんていうもんじゃないです!

※ 関連記事 へいとう

最近の感触では、宅建に合格すれば、「カッコ良く思われる!」「内定がもらえそう!」「資産活用に活かせそう!」「転職できそう!」等が多いですが、このくらいの受験動機だと、「最後まで諦めないで合格する」点については、あまり保証されていない気がしています。

(ⅱ)受験環境の良さが二番

皆さまの「受験環境の良さ」が、最後まで諦めないことを保証する二番目の要因です。

実際問題、受験環境に一番恵まれているのは、働かないで生活を楽しめる人。
例えば、親が残してくれた不動産を貸して、その賃料を主な収入源にしている人たちです。
合格者の1割はいるでしょう。
こういう人たちは、一部の例外を除き、「マジメ」で「時間が自由になる」ので、勉強が習慣化している可能性が高く、途中脱落しにくいです。10年かけても合格して行く人が多いのです。

一般の受験者の皆さまは、忙しく働いているので、「時間が自由にならない」ですが、受験環境を良くして、ぜひ、勉強を習慣づけて欲しいです。 私が良く言う「時間を有効に活用する」勉強法を検討してみて下さい。 時間が「自由にならない」かたは、「空き時間の利用」や「ながら勉強」で乗り切るのがベストだと考えます。

※ 関連記事 宅建貴族

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なお、受験環境の良さには、職場環境・身内の協力など時間以外の要素もありますが、それらについては千差万別なので、私がここでアドバイスする資格はないです。

【5】まとめ

以上長々と書いてきましたが、この記事は、「独学合格の心構え」と題して、次のことについてアドバイスしてみたものです。

【1】卑屈にならない

【2】丸暗記しようとしない

【3】宅建業法を最優先させ、民法はホドホドに

【4】何事も具体的に考えてみる

宅建は、(1)信頼できる教材を使う (2)きちんと勉強する (3)最後まで諦めない、の三拍子を守れば、必ず合格できる試験。

(1)信頼できる教材とは…

(2)きちんと勉強するとは…

(3)最後まで諦めないとは…