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平成22年度【問12】の解説


更新:平成22年12月9日

平成22年度【問12】は民法・借地借家法(賃貸借契約)の問題ですが,過去問は解説の良さが命です。「問題文丸写し・条文丸写しの手抜き解説」の過去問集を何千題こなしても,時間の無駄になる場合が多いです。
良い解説とは,
形だけ(条文だけ)ではなく,マルバツの実質的な理由を示してくれるもの
だと信じます。私の解説が,これを充たしているものか確かめて頂くために,このページをアップしました。


【問12】


Aは、B所有の甲建物につき、居住を目的として、期間2年、賃料月額10万円と定めた賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)をBと締結して建物の引渡しを受けた。この場合における次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。

(1)本件契約期間中にBが甲建物をCに売却した場合、Aは甲建物に賃借権の登記をしていなくても、Cに対して甲建物の賃借権があることを主張することができる。

(2)AがBとの間の信頼関係を破壊し、本件契約の継続を著しく困難にした場合であっても、Bが本件契約を解除するためには、民法第541条所定の催告が必要である。

(3)本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約であって、造作買取請求権を排除する特約がない場合、Bの同意を得てAが甲建物に付加した造作については、期間満了で本件契約が終了するときに、Aは造作買取請求権を行使できる。

(4)本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約であって、賃料の改定に関する特約がない場合、契約期間中に賃料が不相当になったと考えたA又はBは、賃料の増減額請求権を行使できる。


【迷物講師の解説】


肢(1)の問題文

本件契約期間中にBが甲建物をCに売却した場合、Aは甲建物に 賃借権の登記をしていなくても、Cに対して甲建物の賃借権があること を主張することができる。


肢(1)の解説

正しい。
甲建物の賃貸借契約は借家契約であり、賃借人Aが有し ているのは借家権だ。
そして借家権は、「借家権(賃借権)の登記」または「借家(建物)の引渡し」のどちらかがあれば、第三者(新所有者)に対抗(主張)できる。したがって、契約期間中にBが甲建物をC(新所有者)に売却した場合、建物の引渡しを受けている本問のAは、甲建物に賃借権の登記をしていなくても、Cに対して甲建物の賃借権があることを主張できる。


肢(2)の問題文

AがBとの間の信頼関係を破壊し、本件契約の継続を著しく困難 にした場合であっても、Bが本件契約を解除するためには、民法第541条 所定の催告が必要である。


肢(2)の解説

誤り(これが正解肢)。
民法第541条所定の催告」とは、履行遅滞があった場合に、履行遅滞された者は、履行遅滞した者に「早くしてくれ!」という催告をし、それでも履行されないときでなければ契約を解除できない、という民法の定めのことだ。でも最高裁判所の判例は、本肢のような事情があるときは、541条所定の催告が必要ない(直ちに契約を解除できる)としている。
例えば、Aが甲建物を極端に乱暴に使った(例:建具類を破壊して燃料にし、かつ、建物全体をゴミ屋敷状態にした)のに、Bから早く修復してくれとの再三の請求に全然応じない場合(履行遅滞があった場合)、賃貸人Bが契約を解除するには催告が要らない、というのがこの判例だ。そもそも賃貸借契約は、当事者相互の信頼関係を基礎とする契約だから、妥当な判決と言えよう。


肢(3)の問題文

本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約であって、造作買取請求権を排除する特約がない場合、Bの同意を得てAが甲建物に付加した造作については、期間満了で本件契約が終了するときに、Aは造作買取請求権を行使できる。


肢(3)の解説

正しい。
賃借人は、賃貸人の同意を得て建物に造作(例:畳・建具)を付加したときは、賃貸借終了の際、賃貸人に対して、時価でその造作を買い取るべきことを請求できる。これが造作買取請求権だ。この造作買取請求権は、定期借家権(定期建物賃貸借契約)の場合にも適用される。


肢(4)の問題文

本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約であって、賃料の改定に関する特約がない場合、契約期間中に賃料が不相当になったと考えたA又はBは、賃料の増減額請求権を行使できる。


肢(4)の解説

正しい。
借家契約の家賃の額が、存続期間の途中で、不相当になった場合、当事者は、契約の条件にかかわらず、借賃の増減(増額や減額)を、将来に向かってのみ、請求できる。本肢は、このことを正しく 表現していると言える。なお、この制度は、定期借家権(定期建物賃貸 借契約)の場合にも適用される。




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