不動産の登記に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)所有権の登記がない土地と所有権の登記がある土地との合筆の登記は、することができない。
(2)権利の変更の登記又は更正の登記は、登記上の利害関係を有する第三者の承諾がある場合及び当該第三者がない場合に限り、付記登記によってすることができる。
(3)受益者又は委託者は、受託者に代わって信託の登記を申請することができる。
(4)仮登記の抹消は、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。
(1)正しい。
不動産登記法の本質は、登記記録を「分かりやすくする」ことにある。
そこで、複数の土地を合併して登記を1つにすること(土地の合筆の登記をすること)は、それによって土地登記記録が「分かりにくくなる」場合は禁止される。
土地の所有権の登記は一筆の土地ごとにされるので、所有権の登記がない土地とある土地の合併を許すと、一筆の土地の「一部」に所有権が登記されることになり、土地登記記録が「分かりにくくなる」。
だから禁止される。
参照条文:不動産登記法41条5号
(2)正しい。
「変更の登記」とは、登記事項の内容が登記後に変更した(例:登記名義人の氏名が結婚したので変わった)場合にする登記だ。
また「更正の登記」とは、登記に錯誤または遺漏があった(登記名義人の住所が間違っていた)場合にそれを訂正する登記のことだ。
「変更の登記」も「更正の登記」も、付記登記によってすることになっている。
付記登記とは、主登記(独立した順位をもつ登記)と同一の順位を保持しようとするためにされる登記で、既存の登記(主登記)に付け加える形で、その一部を変更する登記のことだ。
ところで、「変更の登記」も「更正の登記」も、@登記上の利害関係を有する第三者の承諾がある場合かAそういう第三者がいない場合に限って、することができる。
登記上の利害関係を有する第三者に無断で主登記と同一の順位が保持されることになる付記登記が変更されてしまったのでは、その第三者が意外な損失をこうむるおそれがあるからだ。
参照条文:不動産登記法66条
(3)正しい。「信託」とは、ある人(委託者)が他の人(受託者)に不動産の運用などを頼むことだ。
そして、信託から上がる利益を享受する人を(受益者)という。
信託が成立すると、信託財産である不動産の名義は、委託者から受託者に移転する。
でもそれは、信託の目的を達成させるために受託者の名義になっているに過ぎず、受託者が本来有している固有財産とは別のものだ。
しかし、外部からはそれが信託財産か受託者が本来有している固有財産かを識別するのは困難だ。
そこで信託法14条では、信託財産については、信託の登記または登録をしなければ、その財産が信託財産に属することを第三者に対抗できないとしている。
この信託法の定めを受けて不動産登記法で設けているのが「信託の登記」という制度だ。
ところで不動産登記法上、信託の登記は受託者が単独申請できることになっているので、受託者が信託の登記の申請を怠っているときは、それが信託財産に属することを第三者に対抗できないことになってしまう。
そこで問題文に書いてあるように、「受益者又は委託者は、受託者に代わって信託の登記を申請することができる」ことになっているのだ。
参照条文:不動産登記法99条
(4)誤り。
登記の真実性を確保する観点から、権利に関する登記(仮登記も権利に関する登記)は、登記権利者(登記することで利益を受ける者)と登記義務者(登記することで不利益を受ける者)が、共同で申請しなければならないのが原則だが、その例外として、仮登記の抹消の場合は、登記名義人が単独で申請できることになっている。
登記名義人の単独申請を許しても、「登記の真実性が侵害されることはあまりない」というのがその理由だ。
登記名義人は登記を申請する(仮登記の抹消を申請する)ことで不利益を受ける者(登記義務者)であること、登記名義人の単独申請を許しても登記識別情報の提供が免除されるわけではないこと等を考えると、「登記の真実性が侵害されることはあまりない」ということが理解頂けるだろうか。
参照条文:不動産登記法110条
宅建の迷物図書館 >> 出来るか過去問 >> 平成23年度(2011年度) >> 問14