正解は(4)

Aは、Bに対し建物を賃貸し、Bは、その建物をAの承諾を得てCに対し適法に転貸している。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

(1)BがAに対して賃料を支払わない場合、Aは、Bに対する賃料の限度で、Cに対し、Bに対する賃料を自分に直接支払うよう請求することができる。

(2)Aは、Bに対する賃料債権に関し、Bが建物に備え付けた動産、及びBのCに対する賃料債権について先取特権を有する。

(3)Aが、Bとの賃貸借契約を合意解除しても、特段の事情がない限り、Cに対して、合意解除の効果を対抗することができない。

(4)Aは、Bの債務不履行を理由としてBとの賃貸借契約を解除するときは、事前にCに通知等をして、賃料を代払いする機会を与えなければならない。

詳しい解説

(1)正しい。
適法な転貸(賃貸人の承諾がある転貸)があった場合、「転借人は賃貸人に対して直接義務を負う」。
直接義務を負うとは、「賃借人Bが賃貸人Aに対して賃料を支払わない場合、Aは、『Bに対する賃料の限度で』、転借人Cに対し、Bに対する賃料を自分に直接支払うよう請求できる」ということだ。
したがって例えば、AB間の賃料が月8万円でBC間の転借料が月10万円だった場合、Aは、Bに対する賃料8万円の限度で、転借人Cに対し、Bに対する賃料を自分に直接支払うよう請求できる、ということだ。
なお、AB間の賃料が月10万円でBC間の転借料が月8万円だった場合は、Aは、『Bに対する賃料の限度』、かつ、転借料の限度の両方を満たす、8万円の限度でしか、Cに対し、Bに対する賃料を自分に直接支払うよう請求できないので、注意。

(2)正しい。
不動産賃貸の先取特権の問題だ。
この先取特権は、その不動産の借賃その他賃貸借関係から生じた賃借人の債務について、賃借人の「動産」の上に賃貸人が当然に有している法定担保物権だ。
そして、建物の賃貸人のこの先取特権は、賃借人Bが建物に備え付けた動産について存在する。
また、上の「その他賃貸借関係から生じた」ものには、賃借人Bの転借人Cに対する賃料債権も含まれる。
したがって、本肢のように言える。

(3)正しい。
賃貸人・賃借人間の賃貸借契約が、「合意解除によって」終了するときは、特段(特別)の事由がある場合を除き、賃借人・転借人間の転貸借契約は終了しない。
「親亀こけても子はこけない」のだ。
A … B(親亀) → C(子)
したがって、AはCに対して合意解除の効果を対抗できない。
AはCに建物の明渡しを請求できないということだ。

(4)誤り。
賃貸人・賃借人間の賃貸借契約が、「解除(例:賃料不払いを理由にする解除)によって」終了した場合は、賃借人・転借人間の転貸借契約も終了する。
この場合は「親亀こけたら子もこける」のだ。
A … B(親亀) … C(子)
この場合には賃貸人の保護が優先され、転借人を保護する道はない。
したがってAは、事前にCに通知等をして、賃料を代払いする機会を与える必要などない。

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