佐々木主浩、最後の登板

横浜ベイスターズのファンだった時期があって、それは、佐々木主浩に衝撃を受けて始まり、佐々木がマリナーズに移籍した頃にほぼ終わった。横浜に復帰した2004年は、札幌にファイターズが来ちゃったしなあ。

ベイスターズには、駒田、ローズ、石井、金城、鈴木尚、三浦などの名選手が揃っていたが、やっぱり横浜=「ハマの大魔神」佐々木だった。ストレートの速球と、それとほとんど同じスピードのフォーク、ストライクゾーンに入れるためのフォーク、メジャーに行ってからはカーブも使うようになったけど、ストレートとフォークだけで、セーブを積み上げた。

相手バッターは、2ストライク取られたら、次はフォークが来ることがわかっているのに、空振ったり、打ち損じた。対戦相手がベイスターズを破るためには、佐々木をどう崩すか、ではなく、どうやって佐々木を出させない=8回までにリードするしかなかった。佐々木が出てきたら、その試合は負けに等しかった。

マリナーズに移籍して、新人王を獲得したが、ベイスターズにいた頃ほどの威力は無くなっていた。横浜に復帰したものの、怪我に悩まされ、全盛期の威力を取り戻すことができず、きょう、最後のマウンドに立った。

地元、宮城のフルキャストスタジアム。ワンポイントでの登板。対戦相手は、同い年で親友の清原和博。目は潤んでいるように見えたが、引退を決めてさっぱりした顔の佐々木と、両目に涙があふれている清原。

勝負はたった4球で終わった。2ストライク1ボールから、外角低めに大きく落ちるフォーク。当然そうあるべきの、清原の大きな空振り。引退は今季いっぱいということだけど、事実上、これで佐々木の最後の登板は終わった。

もう少し、力のある時期に(プライベートの問題もなく)きれいに引退してほしかったと思いもある。でも、そんなのは外から見る側の勝手な願いであって、本人にしてみれば永遠に投げていきたいものなんだろうな。それだけ野球に対して熱い気持ちがあったんだと思う。

セーブポイントの日本記録は高津が持ってるんだっけ? でも、存在感とか偉大さではまだまだ佐々木に及ばんと思うですよ。贔屓目に見ても。

一度は、佐々木の勇姿を生で見たかった。何度かベイスターズの試合を観に行ったが、負け試合ばっかりで、ついに佐々木のフォークを見ることができなかったのだ。