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どんぐりを食す2


  さて,前回の初どんぐり試食は,そこそこの美味と感じる結果で
あったが,いかんせん,どんぐりの味が隠れすぎてしまい,ただの
団子を食った気しかしなかった。
 おまけに,慣れぬ事とはいえ,下ごしらえの手際が悪く,時間が
かかった割りに今一つスマートさに欠ける結果となったのが,
なんとも口惜しかった。

 そこで,今回は,前回の反省から,
・いかに手際よく調理をこなせるか?
・いかにどんぐりの風味を味わえるか?
・いかに美味しく出来あがるか?

を目指し,「どんぐりクッキー」に挑戦である。















[調理]

  まずは,材料の入手であるが,今回は前回のようになんでも放り込む
のは止め,マテバシイに絞ることとした。(※1)

  原材料の調達係りは娘&家内,採取場所は娘の幼稚園である。

  まず,下ごしらえとして,殻をニッパ(※2)で割って鍋に移していく。

←ニッパ

 どんぐりの良し悪しの見分け方は,水に浸して,沈んだものが良く,
浮いたものは悪いと言われるが,今回の結果では,8割以上の確率で
この説が正しいことが証明された。

  この殻剥きの際には,渋皮は取れればそれに越したことはないが,
取れなくても気にせず鍋に放り込み,一旦熱を加えると,上手くすれば
渋皮が勝手に剥がれてくれるので,最初は気にしないでもよい。


  一回目の加熱。半分位渋皮付きなのが見てとれる。

  この後,渋川を取って,3〜4回煮こぼして,包丁で細かく刻んで
乾燥させて,「どんぐり粒」を作った。
  前回のようにすりつぶさなかったのは,クッキーの具にするためで
ある。

  ただ,この乾燥工程で,電子レンジを使用したが,完全乾燥を狙って
長時間かけすぎたため,どんぐり粒が一部焦げてしまった。(※3)



  ココまでを夜の2時間ほどで済ませた。翌日のクッキー作り本番のために。
  前回に比べれば,圧倒的に手際の良さである。


  Zzzzzz...


  翌日は,普通のクッキー作りを行い,具を混ぜる時点で,前日の
どんぐり粒と,味の比較のために粒ナッツを加えた2種類を作った。(※4)


 ↑ 左がどんぐりクッキー,右がナッツクッキー

  同じ天板で同時に焼いたのだが,どんぐりクッキーの
方が焼き色が薄くしっとり焼きあがった。

  この理由を,専門家(※5)に打診したところ,「生地にどんぐり粒を
混ぜる際に水に浸したため,水分が多く含まれ,ほどよい加減になった
のではないか?」との御神託を得た。(※6)



  上は出来あがりのアップであるが,左側のクッキーに黒い粒々として
見えているのが,どんぐりの粒である。

  さて味の方だが,これが,なんとも美味しい。

  前夜,焦がしてしまったどんぐり粒のやや焦げ臭い味が,丁度,チョコ
チップをまぶしたような感じになり,旨みの芳ばしさに化けていたのである。

  今回の美味さは,私の自己満足ではなく,家族中の意見である。

  それが証拠に,みんなでガツガツ食った挙句,家内などは娘の友人宅に
お裾分けとして持って行かせたくらいである。(※7)

  結果として,市販のナッツを入れたクッキーが残ってしまったほど,人気
の味であった。


↑ クッキーを手にご満悦の娘。
  (実は,「早く食わせろ」とちょっと怒っている)


今回は,まさに 大成功 である。


  


 

(※1)マテバシイも,アク抜き不用
でスダジイのように炒めるだけで
食せると言われているが,実際に
食べた感じでは,やや渋みが多く
やはりアク抜きをする方が無難で
ある。スダジイにはかなわない。
 
(※2)念のために,ニッパとは,
電線などを切断するために使用
する,ペンチの歯だけみたいな
ものである。
今回のような用途用には,100円
コーナーで売っているもので十分
である。(写真中,赤い柄のやつ)
































(※3)電子レンジの原理は,電磁
波で食物中の水の分子を高速度で
振動させてその熱で温める。
振動した熱で温まった水は蒸発し
てしまうので振動するものがなくなる
のでその後は加熱できない筈。
水の蒸発温度は100℃だから,
食物の温度も100℃以上に上がら
ない気もするが,何故,焦げるのか
不思議な気がする...




















(※4)クッキー作りの詳細は省略
する。




















(※5)カカ,もとい家内である


(※6)家内の言う通り,生地に
混ぜる前に,あんまり硬かった
ので,どんぐり粒を水に浸していた
のである。
  何のために,前夜,焦がして
まで乾燥させたのかがわからない
結果となった...





















(※7)自分が食べたくないから人
にあげたなんてことは断じてない。
主婦が近所付き合いを自分から壊す
ような真似は絶対にしないからで
ある。


















ちなみに,今回も,下ごしらえから
クッキー作り,後片付けまで,
すべて私が行った。


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